イザヤ書 3

1 天の軍勢の主は、エルサレムとユダ王国の食糧と水の補給路を断ち、

2 指導者たちを殺します。 軍隊、裁判官、預言者、長老、

3 将校、実業家、法律家、魔術師、政治家などです。

4 イスラエルの王たちはまるで赤ん坊のようになり、子供のような政治をします。

5 おかげで手のつけられない無政府状態となり、だれもが人を踏みつけ、隣人同士で牙をむき合い、権威に盾をつき、身分の低い者が高貴な人をあざ笑うようになるのです。

6 そのとき人は、兄弟にまですがって哀願します。 「おまえには余分の着物があるじゃないか。 頼むから王になってくれよ。 この混乱した社会を何とかしてくれっ!」

7 ところが、相手は口をとがらせるばかりです。 「冗談じゃないよ。 おれに何ができるって言うんだい。 着物も食べ物も、余分なんかありゃしない。 変な巻き添えを食わすのはよしてくれ。」

8 イスラエルがすっかり落ちぶれたのは、ユダヤ人が神様の悪口を言い、神様を拝もうとしなかったからです。 彼らは神様の顔に泥を塗りました。

9 彼らの顔つきを見ればそれもうなずけます。 なるほど罪の深そうな顔をしています。 おまけに、自分たちの罪はソドムの住民の罪といい勝負だとうそぶき、恥ずかしいなどとは少しも思っていません。 もう手の施しようもありません。 自分で自分の滅亡の運命を決めてしまったのです。

10 しかし神様を敬う人は、何もかもうまくいきます。 そういう人には、「すばらしい報いがありますよ」と励ましなさい。

11 ただし悪者には、「おまえにもそれ相当の報いがある。 今に恐ろしい刑罰を受けるだろうよ」と言ってやりなさい。

12 かわいそうな国民よ、支配者がどんなにあなたがたを惑わしているか、わからないのですか。 女のように弱く、子供のような世間知らずが、王のまね事をしているのです。 これでも指導者でしょうか。 とんでもない! あなたがたを滅びへと真っさかさまに突き落とす連中です。

13 神様は立ち上がります。 検察官として、ご自分の国民の起訴状を読み上げます。

14 真っ先に神様の怒りに触れるのは、長老や重臣です。 彼らは貧しい人から腕ずくで巻き上げ、力のない小作人から取り上げた穀物で、倉をいっぱいにしました。

15 天の軍勢の主は、「どうしてわたしの国民をこんなに踏みにじったのか」と、彼らをなじります。

16 次に神様は、お高くとまったユダヤの婦人をさばきます。 彼女たちは気取って歩き、鼻をつんと高くし、くるぶしの飾り輪をちゃらちゃら言わせ、男の気をひこうと人ごみの中で流し目を使います。

17 神様はその頭をかさぶただらけにし、裸にして人々のさらし者にします。

18 もう二度と、これ見よがしに外を歩けません。 美しい化粧や装飾品、

19 ネックレス、腕輪、それに薄いベールもみな、はぎ取られるからです。

20 スカーフ、くるぶしの飾り輪、ヘア・バンド、イヤリング、香水、

21 指輪、宝石、

22 夜会服、チュニック・コート、ケープ、彫り物のついたくし、さいふ、

23 鏡、美しい肌着、高価なドレス、ベールなどはなくなります。

24 香水の香りは消え、体からは、吐き気をもよおしそうな匂いがただよいます。 きれいにセットした髪はぜんぶ抜け落ち、帯の代わりに荒なわをしめ、夜会服の代わりに麻袋を着ます。

美貌は跡形もなくなり、あるものといえば恥と屈辱だけです。

25-26 夫まで戦場で死んでしまいます。 こうして何もかも失い、地面に座り込んで泣くのです。