イザヤ書 41

1 海の向こうの島々よ、わたしの前では口をつぐんで聞け。 どんな難問でも吹っかけてこい。 おまえたちのために法廷が開かれているから、そこで話すがよい。 2 だれが、東の国のあの人物を奮い立たせ、行く先々で勝利を得させたのか。 わたし以外の者であるはずはない。 わたしが彼に、多くの国々を征服し、王たちを踏みにじり、その軍隊を剣の餌食にする力を与えたのだ。 3 彼は敵を追いかけるが、一度も通ったことのない道だというのに安全に進んで行く。 4 その進撃によって歴史は大きく塗り変えられる。 こんな途方もなく大きなことを演出したのは、だれか。 それは、わたし、初めでもあり終わりでもある、このわたしだ。 わたしだけが神なのだ。 5 海の向こうの国々は震え上がり、今度のクロス王の遠征計画はどこかとやきもきする。 遠い国々も震えおののき、戦争の準備をする。 6 互いに肩をたたき合い、「心配するな。 彼が勝つはずはないさ」と気休めを言う。 7 そう言う一方では、新しい偶像作りに駆けずり回る。 彫刻師は鍛冶屋をせかせ、鋳物師は、かなとこをたたく手伝いをして、「もう十分火が通った。 さあ、腕の部分をはんだづけしよう」と言う。 注意深く各部分をくっつけ、堅くしめつけて、ばらばらにならないようにする。 8 だがイスラエルは違う。 おまえはわたしの友人アブラハムの家族だ。 だから、わたしはおまえを選び、わたしのものとした。 9 おまえを地の果てから呼び出し、わたしだけに仕えよと言いつけた。わたしがおまえを選び、しかも、どんなことがあってもおまえを見捨てないからだ。 10 恐れるな。 わたしがついている。 取り乱すな。 わたしはおまえの神だ。 わたしはおまえを力づけ、おまえを助け、勝利の右の手でしっかり支える。 11 いきりたつ敵はみな、無残に踏みにじられる。 おまえに刃向かう者はみな死に絶える。 12 彼らの姿を捜し回ってもむだだ。 一人もいなくなるからだ。 13 わたしがおまえの右手をつかみ、「こわがるな。 おまえを助けに来た」と励ます。 14 イスラエルよ、たとい軽べつされても恐れるな。 わたしは必ずおまえを助ける。 わたしは主、おまえを贖う者だ。 わたしはイスラエルのきよい神だ。 15 おまえは新しい鋭い刃のついた打穀機となり、敵という敵を粉々にし、もみがらの山をつくる。…

イザヤ書 42

1 わたしの支持するしもべ、わたしの喜びとする選ばれた者に目を留めよ。 わたしは彼に、わたしの霊を与えた。 彼は世界の国々に正義を示す。 2 彼は物静かで、路上で大声を出したり言い争ったりしない。 3 いたんだ葦を折らず、今にも消えそうな火でも消さない。 しょんぼりしている人を元気づけ、もうだめだとあきらめる者を励ます。 こうして、痛めつけられた者たちに完全な正義が与えられるのを見届ける。 4 真実と正義が世界中にいき渡り、海の向こうの遠い国々の国民が彼を信頼するようになるまで、手を休めない。 5 天を造ってそれを引き伸ばし、地と地上のすべてのものを造り、すべての人間にいのちと霊とを授けた、神様である主が、ご自分のしもべであるメシヤ(救い主)に、こうお語りになります。 6 「主であるわたしが、わたしの正義をはっきり打ち出すために、あなたを呼んだ。 わたしはあなたを守り、あなたを支える。 わたしの国民と結んだ契約を確かなものとするために、わたしはあなたを彼らのもとへ送った。 あなたはまた、世界の国民をわたしのもとへ導く光となる。 7 盲人の目をあけ、暗い牢獄で希望もなく座り込んでいる人々を解き放す。 8 わたしは主だ。 これがわたしの名である。 わたしは、ほかの者に栄光を譲るようなことはしない。 わたしの名誉を、彫刻した偶像どもに分け与えるようなことは絶対にしない。 9 わたしが今まで預言したことは何もかもそのとおりになった。 だから、もう一度預言しよう。 将来のことを、実際に起こる前から知らせよう。」 10 神様に新しい歌をうたいなさい。 地の果てに住む人たちは、こぞって神様をたたえる歌をうたいなさい。 海も、海の向こうの遠い国々に住む人たちも、こぞって歌いなさい。 11 ケダルとセラの砂漠の町々、山の上に住む人たちも、コーラスに加わりなさい。 12 西の海岸沿いの国々や島々は、神様をあがめ、全能の力を歌いなさい。 13 神様は、だれも立ち向かえない勇敢な戦士となり、激しい怒りを敵にぶちまけます。 ときの声をあげ、敵を蹴散らします。 14 長いあいだ沈黙を守り、じっとこらえてきましたが、今は思うぞんぶんうさを晴らし、子を産もうとしている女のようにうめき、叫ぶのです。 15 山や丘を平らにし、青草を枯らし、川や池の水を干上がらせます。…

イザヤ書 43

1 だが、イスラエルよ、あなたを造った神様は、今こう慰めてくださいます。 「わたしが敵の手から買い戻してやったのだから、こわがるな。 わたしはおまえの名を呼んだ。 おまえはわたしのものだ。 2 たとい水の中をくぐり、大きな困難にぶつかっても、わたしはそばにいる。 悩みの川を渡る時も、おぼれはしない。 反対の火の手が上がり、そこを突き抜けていく時も心配はない。 炎はおまえを焼き殺さないからだ。 3 わたしは主、おまえの神、おまえの救い主、イスラエルのきよい神だ。 わたしはおまえを自由の身とする代わりに、エジプトとエチオピヤとセバを〔クロスに〕与えた。 4 おまえを生かすために他の者が犠牲になった。 おまえのいのちを買い戻すため、他の者のいのちで取り引きした。 わたしにとっておまえは、愛してやまない、かけがえのない国民だからだ。 5-6 わたしがついている。 こわがるな。 わたしはおまえを東西南北から集める。 地の果てから、息子や娘をイスラエルへ連れ戻す。 7 わたしを神として拝む者はみな来る。 わたしはそのような人たちを、わたしの栄光のために造った。 8 わたしが呼ぶと、急に目も見えず耳も聞こえなくなってしまう者たちを、わたしのもとへ連れ戻せ。 9 国々の民を集めよ。 どの偶像が、このようなことを前もって知らせたか。 どの偶像が、一日先のことでも予告できるか。 どこに、彼らのことばを少しでも聞いた証人がいるか。 そんな者は一人もいない。 だとしたら、預言できるのは神だけだと認めないわけにはいくまい。 10 だが、わたしには証人がいる。 イスラエルよ、おまえたちがわたしの証人、わたしのしもべだ。 わたしを信じ、わたしだけが神であることを知るために選ばれたのだ。 わたしのほかに神はない。今までも、またこれからも。 11 わたしが主であって、ほかに救い主はいない。 12 おまえが偶像を投げ捨てるたびに、わたしは力を示した。 ただのひと言で、おまえを救った。 おまえはわたしの救いをその目で見たのだから、わたしの証人だ。 13 永遠から永遠まで、わたしは神だ。 わたしが何かをしようと身構える時、その前に立ちはだかる者は一人もいない。」 14 あなたを贖うイスラエルのきよい神様は、こう宣言なさいます。 「わたしはおまえのために、バビロンに軍隊を侵入させる。 それもほとんど無傷のままだ。 おごり高ぶっていたバビロニヤ人は、恐怖の叫びをあげる。 15 わたしは主、おまえのきよい神、イスラエルを造った者、おまえの王だ。 16…

イザヤ書 44

1 わたしのしもべイスラエル、わたしの選んだ者たちよ。 わたしのことばを聞け。 2 あなたを造り、あなたを助ける神様は、こう宣言なさいます。「わたしのしもべよ、恐れるな。 わたしの選んだエルサレムよ、こわがるな。 3 渇いたのどと干上がった地をうるおす水を、ふんだんに与えよう。 おまえの子供たちには、わたしの霊と祝福とを注ごう。 4 彼らは、水分を十分に吸った青草や土手沿いの柳のように繁栄する。 5 自慢げに、『私は主のものだ』とか『私はユダヤ人だ』とか言い、手にわたしの名かイスラエルの名を入れ墨する。」 6 イスラエルの王である主、イスラエルを救う天の軍勢の主は、こう断言なさいます。 「わたしは初めであり、終わりだ。 わたしのほかに神はない。 7 わたし以外にだれが、これからさき何が起こるかを言いあてることができるか。 もしそのような者がいたら、遠慮なく名乗りをあげ、大きな力があるところを見せてもらいたい。 わたしがずっと昔からしてきたのと同じことを、してもらいたいものだ。 8 どんなことがあっても恐れてはいけない。 わたしは大昔から、きっと救うと言っていたではないか。 おまえたちはわたしの証人だ。 わたしのほかに神はない。 断じて一人もいない。 わたしのほかに岩はない。」 9 偶像を作り、それを神にするとは、なんと浅はかでしょう。 そんな連中の希望はむなしい夢にすぎません。 見ることも知ることもできない偶像を頼みにしているからです。 こんな偶像を拝む者が赤恥をかくのは当然です。 10 少しも頼りにならない偶像を作る者は、大ばか者と言われてもしかたありません。 11 それを拝む者はみな、顔を真っ赤にして神様の前に立つでしょう。 自分は神を作ったと粋がっていた大工も同じことです。 彼らはともどもに、震えおののきながら神様の前に立ちます。 12 金属細工師は斧を作るために炉のそばに立ち、真っ赤に焼けた鉄をかなとこの上で力いっぱいたたきます。そのうちのどは渇くし、腹はへるしで、ふらふらになります。 13 次は、大工がその斧で偶像を作る番です。 木ぎれの寸法を測り、しるしをつけ、人の形に彫ります。 こうして、一歩も歩けないが、見せかけは美しい偶像ができ上がります。 14 彼は杉を切り倒し、糸杉や樫を選びます。 また森に月桂樹を植えれば、雨が育ててくれます。 15 こうして大きくなった木の一部で体を暖め、パンを焼くたきぎとします。 さて、その残りはどうするのでしょう。 なんと、それで人々が拝む神を作るのです。 人々がひれ伏して賛美する偶像を作るのです。…

イザヤ書 45

1 これは、多くの国々を征服させるために神様が選び、油を注いで任命したクロスへのお告げです。 神様が力を与えると、彼は強大な王たちの力を砕きます。 神様が彼の前でバビロンの城門を開くと、門は二度と閉まりません。 2 クロスよ、わたしはおまえの前を進む。 山々を平らにし、青銅の城門をぶちこわし、鉄のかんぬきを飴のようにねじ曲げる。 3 こうして、暗やみに隠された財宝や、だれも知らない富を与える。 その時おまえは、おまえを名ざしで呼ぶ、わたし、イスラエルの神が、このことをしていると気づく。 4 ところで、この仕事のためにおまえを名ざしで呼んだのはなぜか。 わたしのしもべヤコブ、わたしの選んだイスラエルのためだ。 おまえがまだわたしを知らない時に、わたしはおまえを名前で呼んだ。 5 わたしは主だ。 わたしのほかに神はいない。 たといおまえがわたしを知らなくても、わたしはおまえを強くし、どの戦いにも勝利を得させる。 6 世界中の人々に、わたしのほかに神はいないことを思い知らせるのだ。 わたしが主だ。 わたしのほかに神はいない。 7 わたしは光を呼び、やみを招き、時代を良くも悪くもする。 わたしは、このようなことをする者だ。 8 天は窓をいっぱいに開き、空は正義を降らすように。 救いと正義が共々に地から芽を出すように。 わたしが、それらのものを造ったのだ。 9 創造主を向こうに回して戦う者は、ひどい目に会います。 つぼは、それを作った者に議論をふっかけるでしょうか。 粘土は、それを細工する者に、「待ってくれ。 作る物が違ってるじゃないか」と言ったり、「なんてぶきっちょなんだ」と文句を言ったりするでしょうか。 10 両親に、「なぜ私を産んだのか。 産んだのはまちがいじゃないか」とわめきたてる者は、ひどい目に会います。 11 イスラエルのきよい神様であり、イスラエルの創造者である主は、お語りになります。 どんな権限があって、わたしのすることに口をはさむのか。 わたしの仕事にいちいち注文をつけるおまえたちは、いったい何者だ。 12 わたしは地球を造り、その上に住む人間を造った。 自分の手で天を引き伸ばし、無数の星に命令した。 13 わたしの目的を果たすためにクロスを起こし、彼の進む道を整える。 彼はわたしの都を再建し、捕虜になったわたしの国民を解放する。 しかも無報酬でだ。 14 神様は、こうもお語りになります。 エジプト人、エチオピヤ人、セバ人はおまえたちの言いなりになる。 彼らは国の産物を山と積んでやって来る。 それが全部おまえたちのものになる。 彼らは鎖でつながれた囚人のようにおまえについて回り、土下座して「あなたがたの神様だけが本物の神様です」と言う。 15 イスラエルの神様である救い主よ、あなたは全く不思議なことをなさいます。…

イザヤ書 46

1-2 バビロンの偶像ベルとネボは、牛のひく荷車に載せられ、遠くへ運ばれます。 ところが、牛はよろめき、荷車はひっくり返り、神々は地面に放り出されます。 自分が転げ落ちることさえ防げないのに、彼らを拝んでいる者をクロスの手から救い出すことなど、できない相談です。 3 「生き残りのイスラエル人よ、わたしの言うことを聞け。 わたしはおまえたちを造り、生まれた時から面倒を見てきた。 4 おまえたちが生きているあいだ中、たといおまえたちが年をとり、髪の毛が白くなっても、わたしはおまえたちの神となる。 わたしがおまえたちを造ったのだから、道中おまえたちを運び、救い出そう。 5 天と地にあるものの何を引き合いに出して、わたしと比べようというのか。 わたしと等しい者を、だれか捜すことができるか。 6 わたしを、金と銀を惜しげもなく使った偶像と比べるつもりか。 おまえたちの金をふんだくって金細工人を雇う者は、偶像を作り、ひれ伏して拝む。 7 彼らは偶像をかついで運び、下に置くが、それはじっと立ったままで動けない。 どんなに祈っても答えがない。 拝む者を苦しみからも救えないのだ。 8 やましいところのある者よ、このことを忘れるな。 9 わたしがはっきり何度も、将来なにが起こるか告げてきたことを忘れるな。わたしだけが神で、わたしのような者はほかにいない。 10 何が起こるかを教えることができるのは、このわたしだけだ。 わたしの言ったことは、みなそのとおりになる。 わたしは、こうと決めたことはどんなことでも実行する。 11 わたしは猛禽を東から、クロスを遠い地から呼ぶ。 彼は来て、わたしの言いつけておいたことをする。わたしは、すると言ったことは必ず実行する。 12 強情で性悪なおまえたち、わたしの言うことを聞け。 13 わたしはおまえたちを救う。 それも遠い将来ではなく、今すぐだ。 すでにおまえたちを救う準備は整った。 わたしは、わたしの栄光であるエルサレムとイスラエルを再建する。

イザヤ書 47

1 負け知らずのバビロンよ、下って来て、ちりの中に座れ。 栄光の日々は終わり、おまえたちの華やかさと名誉は色あせたからだ。カルデヤの娘よ、おまえは二度と、優雅で美しい王妃と呼ばれない。 2 重いひき臼で粉をひけ。 売春婦のようにベールを取り、王妃の衣を脱ぎ捨て、人々の目に身をさらせ。 3 おまえは裸になり、赤恥をかく。 わたしはおまえに報復し、少しも後悔しない。」 4 バビロンの強大な力からイスラエルを救う、私たちの救い主は、こう宣言なさいます。 この方の名は天の軍勢の主で、イスラエルのきよい神様にほかなりません。 5 バビロンよ、黙って暗がりに座れ。 おまえは二度と、「国々の女王」と呼ばれない。 6 バビロンよ、わたしはイスラエルを怒っておまえの手に渡し、少しばかり罰しようとした。 ところがおまえは、少しも手ごころを加えなかった。 それどころか、老人に重い荷物を運ばせるようなことまでした。 7 おまえは、自分がいつまでも世界の女王として君臨するものと思った。 わたしの国民を少しもあわれまず、また彼らに危害を加えたらどうなるかも考えなかった。 8 大国だと自慢し、安逸をむさぼり、快楽を追い求める国よ。 おまえの罪に対する、わたしの法廷での判決を聞け。 おまえは、「私だけが神だ。 天地が引っくり返っても、私が未亡人になるわけがない。 子供を失うこともない」とうぬぼれている。 9 それも今のうちだ。 次の二つのことが、一日のうちに、しかも、あっという間に実現する。 どんなに魔法や魔術に頼ってみても、おまえは未亡人となり、子供を失う。 10 おまえは、どんなに悪いことをしても大丈夫だと考えていた。「だれも見ていない」と、おまえは言った。 その「知恵」と「知識」が災いして、わたしに背き、自分こそ神だと言うまでになった。 11 だからこそ、大きな災難が突然おまえに襲いかかる。 あまり突然なので、それがどこから来たのかわからないほどだ。 その時には、おまえの罪をきよめる神への供え物はない。 12 長いあいだ拝んできた悪鬼の群れを、呼び出してみよ。 彼らの助けを借りて、もう一度多くの人々を恐れさせることができるかどうか、試してみよ。 13 助言者は掃いて捨てるほどいる。 星占い、星を見る者といった、未来の出来事を言いあてる者はわんさといる。 14 しかし彼らは、火がつくとぱっと燃え上がる枯れ草のように、役に立つどころか手がつけられなくなる。 自分さえ救えないのだから、とても頼りにはならない。 その火は、そばに座って体を暖める火ではない。 15 おまけに、子供のころの友人まで、みなこそこそと逃げ出し、姿を隠し、力になってくれない。

イザヤ書 48

1-2 わたしの国民よ、わたしの言うことを聞け。 おまえたちは、きよい都に住んでいることを自慢し、イスラエルの神に信頼していると大きな口をたたいているが、口先だけのことだ。 おまえたちの神への忠誠心は、全く看板倒れだ。 3 わたしは何度も、これから何が起こるかを知らせてきた。 そして語り終えるか終えないうちに、言ったとおり実行した。 4 わたしは、おまえたちがどんなに強情で頑固か知っている。 首はまるで鉄棒のように曲がらず、頭は石のようにこちこちだ。 5 だからこそ、これからしようとすることを、あらかじめ知らせておいたのだ。 そうでもしなければ、おまえたちは「私の偶像がしたのだ。 私の彫像が、そうなるようにと命令したのだ」と言うに決まっている。 6 おまえたちはわたしの預言を聞き、しかも実現するのを見た。 ところが、わたしがそのようにしたことを認めない。 今度は、今まで話したこともない、新しいことを知らせよう。 一度も耳にしたことのない秘密をな。 7 だからおまえたちは、「ああ、そのことなら、ずっと前から知っていた」と言うことはできない。 8 わたしは全く新しいことを告げる。 おまえたちがどんなにひどい裏切り者で、ものごころついたころから背き続け、芯まで腐りきっているかを、よく知っているからだ。 9 だがわたしは、自分のため、自分の名誉のために怒りをぐっとこらえ、おまえたちを根絶やしにはしない。 10 わたしはおまえたちを悩みの炉で精錬したが、銀は見つからなかった。 おまえたちは、少しも良いところのないがらくただ。 11 それでもわたしは、自分のためにおまえたちを助ける。 滅ぼしはしない。 そうでないと、外国人は、彼らの神々がわたしを征服したと言うだろう。 彼らにわたしの栄光を譲り渡すようなまねは、絶対しない。 12 わたしの国民、わたしの選んだ者らよ、わたしの言うことを聞け。 わたしだけが神だ。 わたしは初めであり、終わりだ。 13 この手で地の基礎をすえ、この右の手で天を引き伸ばした。 わたしが命じると、たちまちそのとおりの物ができた。 14 みな集まって、よく聞け。 おまえたちの偶像のうちで、次のように知らせてくれたものが一つでもあったか。 「主はクロスを愛し、彼にバビロン帝国の息の根を止めさせる。 主はカルデヤ人の軍隊を根こそぎにする。」 15 こんなことが言えるのは、このわたしだけだ。 わたしがクロスを呼び出し、使者として送り出した。 わたしは彼のすることをきっと成功させる。 16 近寄って聞きなさい。 私はこれまでいつも、どんなことが起こるかをはっきり知らせてきました。 あなたがたが十分に理解するためです。 今度も、神様とその御霊のお告げを伝えます。…

イザヤ書 49

1 遠い国々の皆さん、私の言うことを聞きなさい。 神様は生まれる前から私に目をかけ、母の胎内にいた時から私を名ざしで呼びました。 2 神様は私のさばきのことばを、剣のように切れ味するどくします。 秘密兵器のように、私を御手の中に隠しました。 私はちょうど、神様の矢筒の中にある、先のとがった矢のようです。 3 神様は私に告げました。 「おまえはわたしのしもべだ。 神の力を授かった王子として、わたしのすばらしさを示す。」 4 「おことばですが神様、私のこれまでの仕事はみな失敗に終わりました。 すっかり力を使い果たしましたが、何の手ごたえもありません。 どうぞ、おこころのままに報いてください。」 5 ところが、神様の国民イスラエルを立ち返らせる使者として、私を母の胎内で形づくり、この仕事を成し遂げる力を与え、私を特別扱いしてくださった神様は、さらに告げたのです。 6 「おまえはイスラエルをわたしに立ち返らせる以上のことをする。 国々の光となって、外国にまでわたしの救いをもたらす。」 7 イスラエルのきよい神様である救い主は、さげすまれている者、のけ者にされている者、支配者の足もとにうずくまる者を慰めます。 「おまえが通ると、王は立ち上がって敬意を表わす。 わたしがおまえを選んだので、地方長官は深々と頭を下げる。 イスラエルのきよい神であるわたしが、おまえを選ぶのだ。」 8-9 神様はまた、こうお語りになります。 「おまえは、ちょうどよい時に願い事をした。 わたしはまだ危害が及ばないうちからおまえを守り、イスラエルへの約束のしるしを与える。 わたしが国を再建し、そこに人を住まわせるという証拠だ。 わたしはおまえの口を借りて、暗やみの中に閉じ込められた囚人に、『さあ、出て来い。 おまえたちはもう自由だ』と語りかける。 彼らはわたしの羊となり、緑の牧草地と青々とした丘で草を食べる。 10 ひもじくなることも、のどが渇くこともない。 こげつくような太陽も、焼けるような砂漠の風も、二度と害を与えない。 わたしが彼らを思いやり、冷たい水のわく所へ連れて行くからだ。 11 わたしは彼らのために、山々を平らな道とし、谷の上高く幹線道路を通す。 12 わたしの国民は遠くから、北、西、南から帰って来る。」 13 天は喜んで歌いなさい。 地は歓声をあげなさい。 山々は歌声を響かせなさい。 神様が、悲しみに沈んでいたイスラエルをやさしく慰めるからです。 14 ところが、あなたがたは言います。 「神様は私たちを見捨て、私たちをお忘れになった。」 15 「そんなはずはない。 母親がわが子を忘れ、愛さなくなることがあるだろうか。 だが、たといそんなことがあっても、わたしはおまえを忘れない。 16 わたしはおまえの名をてのひらに入れ墨した。 わたしの目の前にはいつも、くずれたエルサレムの城壁がちらついている。…

イザヤ書 50

1 神様は問いかけます。 わたしはおまえたちを債権者に売り飛ばしただろうか。 そのために、おまえたちはここにいないのか。 わたしがおまえたちの母親と離婚し、追い出したから、彼女の姿が見あたらないのか。 とんでもない! おまえたちが、自分の罪のために自分を売ったのではないか。 母親は借金のかたに連れ去られたのだ。 2 わたしに力がなくて、おまえたちを救えないのだろうか。 それがために、わたしが帰宅してみると、家はからっぽで静まり返っているのだろうか。 わたしにはもう、おまえたちを救い出す力がないとでも言うのか。 とんでもない! そのつもりになれば、海をしかりつけ、干上がらせることも何でもない。 多くの川が流れる平野を砂漠とし、死んだ魚でいっぱいにすることもできる。 3 空一面をやみでおおうことさえできるのだ。 4 神様は私に、知恵のことばを授けました。 疲れきった人に何を言ったらいいかを教えるためです。 朝ごとに、神様は私の目を覚まし、理解力を深め、みこころを示してくださいます。 5 神様のおことばを、私は耳をすまして聞きます。 逆らったり、そっぽを向いたりはしません。 6 私はむち打つ者に背中をさらし、ひげを抜き取る者に顔を差し出しました。 恥さらしになっても、逃げも隠れもしません。 彼らは私の顔につばをはきかけました。 7 神様のお助けがあるので、私はうろたえたり、気を落としたりしません。 断固として決意を固め、神様の命じることを行ないます。 しかも、必ず勝つと確信しています。 8 私が正しいと認めてくださる方が、そばにおられるのです。 さあ、だれが相手になるのか。私の敵はどこか。 いたら、姿を現わしてもらいたいものだ。 9 神様が味方である以上、だれも、私に罪があるときめつけることはできません。 敵はみな、しみに食われた古着のように、ぼろぼろになります。 10 あなたがたのうち、神様を恐れ、主のしもべに聞き従う者はだれですか。 もしそのような人が今、やみの中にいて、一筋の光もないというなら、主に頼り、神様にすがってもらいたいものです。 11 しかし、自分の光の中を歩き、神様の火ではなく、自分の火に暖まっている者よ。 あなたがたは悲しみに明け暮れるようになります。