ホセア書 1

1 ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤ、というユダ王国の四人の王の治世に、ベエリの子ホセアに神様のお告げがありました。 その間のイスラエルの王の一人は、ヨアシュの子ヤロブアムです。 2 最初のお告げはこうです。 「遊女と結婚せよ。 その女から生まれる子供のうちには、ほかの男が父親である場合もある。 そのことは、わたしの国民のわたしに対する不誠実を表わしている。 彼らは他の神々を礼拝し、わたしを無視して、おおっぴらに姦淫している。」 3 こうしてホセアは、ディブライムの娘ゴメルと結婚しました。彼女はみごもり、男の子を産みました。 4-5 すると、次のお告げがありました。 「その子をイズレエルと名づけよ。 わたしは、イズレエルの谷で、エフーが犯した殺人〔王国衰亡記下一○・一一参照〕に報復するため、エフー王家を罰しようとしている。 そうだ、わたしはイズレエルの谷で、イスラエルの独立を失わせ、その国の力を打ち破ろう。」 6 やがてゴメルは、もう一人の子を産みました。 今度は女の子です。 またホセアに、お告げがありました。 「ロ・ルハマ〔『もうあわれみをかけない』の意〕と名づけよ。 わたしは二度とイスラエルにあわれみをかけず、イスラエルを赦そうとは思わないからだ。 7 だが、ユダ部族にはあわれみをかける。 ユダ王国の軍隊や武器の力を借りることなく、わたし自身の力で、ユダを敵の手から救い出して自由にする。」 8 ロ・ルハマが乳離れすると、ゴメルはまたもみごもり、今度は男の子を産みました。 9 例によってお告げがありました。 「ロ・アミ〔『わたしのものではない』の意〕と名づけよ。 イスラエルはわたしのものではなく、わたしも彼らの神ではないからだ。 10 それでも、イスラエルが栄え、大きな国民となる時がくる。 その日には、海岸の砂のように数えきれないほどの人口となる。 その時は、彼らに、『おまえたちはわたしの国民ではない』と言わずに、『おまえたちはわたしの息子、生ける神の子供だ』と言おう。 11 それから、ユダとイスラエルは統一され、一人の指導者が立てられる。 人々は捕囚の地から手を携えて帰る。 それが実現する日は、なんとすばらしいことか。 その日、わたしはわたしの民を、彼らのものである肥沃な地に、再び住まわせる。」

ホセア書 2

1 イズレエルよ、おまえの弟や妹の名を改めよ。 弟をアミ〔「今、あなたはわたしのもの」の意〕、妹をルハマ〔「あわれみを受けた」の意〕と呼ぶのだ。 神様があわれみをかけようとしておられるからだ。 2 おまえたちの母親を責めよ。 彼女はほかの男の妻になったのだ。 私はもう彼女の夫ではない。 姦淫をやめ、ほかの男たちに身を任せないよう、懇願するがいい。 3 もしやめなければ、私は彼女の着物をはいで裸にし、生まれたままの姿にする。 ききんや日照りで地割れした土地のように、彼女をやせ衰えさせ、干からびて死ぬようにさせる。 4 わが子を愛するようには、彼女の子供たちに愛を注ぐことはしない。 私の子供ではなく、ほかの男の子供だからだ。 5 それというのも、その母親が姦淫したからだ。 彼女は、「男たちを追いかけ、食べ物、飲み物、着物のために、身を売ったのさ」と言い、あさましいことをした。 6 わたしは、いばらの茂みで彼女を囲み、進む道をふさいで路頭に迷わせる。 7 それで、彼女が恋人たちを追いかけても、つかまえることができない。 捜し回っても、見つけることができない。 そこで、「夫のもとに戻ろうかしら。 今より、あの人と暮らしていた時のほうが、ずっとよかったわ」と考え直すようになる。 8 彼女は、持っているものはすべて、わたしが与えたものであることに気づかない。 彼女の神バアルを拝むために使った金や銀も、全部わたしが与えたものだ。 9 それで、今からは、わたしが欠かさず与えたぶどう酒と穀物を取り戻そう。 彼女の裸をおおうために与えた着物も、はぎ取ろう。わたしはもう、季節ごとの豊かな収穫を約束せず、ぶどうの収穫時にも、ぶどう酒を与えない。 10 さあ、彼女の裸を人前にさらして、恋人たちに見せつけよう。 だれもわたしの手から彼女を救い出すことはできない。 11 彼女のすべての喜び、宴会、休日、楽しい祭りを、ぴたりとやめさせる。 12 彼女が恋人たちに、報酬として要求したぶどう畑と果樹園をめちゃめちゃにして、ジャングルのようにする。 野獣がその実を食い散らす。 13 彼女が、偶像の神バアルのために香をたき、イヤリングや宝石を身につけ、わたしを捨てて、恋人たちを捜し求めて行ったこと、その他もろもろの悪事のために、わたしは彼女に仕返しをする。 神様がこう言われるのです。 14 だが、わたしは再び彼女をくどいて荒野に連れて行き、やさしく語りかけよう。 15 そこを彼女のためにぶどう畑とし、「苦しみの谷」を「望みの門」に変えよう。 彼女はそこでわたしに答え、遠い昔、彼女が若かった日に、わたしがエジプトの奴隷から解放してやった時のように、喜びにあふれて歌うようになる。…

ホセア書 3

1 それから、神様は私にこうお語りになりました。 「さあ、もう一度、妻を連れ戻せ。 たとい姦通の女であっても、彼女を愛せ。 イスラエルが他の神々に心を向け、その祭壇に高価な贈り物をささげても、わたしはなおもイスラエルを愛しているからだ。」 2 そこで私は、六百円と大麦五百四十リットルで、〔奴隷であった〕妻を買い戻し、 3 こう言い渡しました。 「当分、一人で暮らすのだ。 ほかの男たちと出かけたり、遊女になることはやめろ。 いいな。」 4 これは、イスラエルが今後ずっと、王も、君主も、祭壇も、神殿も、祭司も、また偶像もなく過ごすことを示します。 5 のちに、彼らは、彼らの神様と、彼らの王であるメシヤのもとに帰って来るでしょう。 終わりの日に、彼らは震えおののきながら、うやうやしく神様とその恵みに近づいて来るのです。

ホセア書 4

1 イスラエル国民よ、私のことばを聞け。 私はあなたがたを訴え、非難しているのだ。 イスラエルの地には、誠実もなく、親切もなく、神を知ることもない。 2 やたらに毒づき、うそをつき、人を殺し、盗み、姦淫にふけっている。 至る所に暴虐があり、流血は後を断たない。 3 それで、この地には産物がなく悲しみだけが満ちる。 すべての生き物は病んで倒れ、動物も鳥も、果ては魚までも姿を消す。 4 だれかを指さして、責めるようなことをするな。 ほら、祭司よ。 わたしの指はおまえをさしている。 5 その罪のため、おまえは真昼でも、夜と同じようにつまずく。 頼みの綱の偽預言者も同じだ。わたしは、おまえの母であるイスラエルを滅ぼす。 6 わたしの国民は、わたしを知らないために滅ぼされる。 それもみな、おまえたち祭司のせいだ。 おまえたちが、わたしを知ろうとしなかったからだ。 それで、わたしも、おまえたちをわたしの祭司とは認めない。 おまえがわたしのおきてを忘れてしまったので、わたしもおまえの子供たちを祝福することを忘れよう。 7 おまえは数を増せば増すほど、わたしに罪を犯すようになった。 神の栄光を偶像の恥に変えたのだ。 8 祭司は、国民が罪を犯すのを喜び、それに自分もはまり込み、もっと罪を犯すことを願うかのように、舌なめずりする。 9 だから、「祭司も国民も変わらない」と言われる。 祭司が悪いから、国民も悪くなるのだ。 だから、祭司も国民も、その邪悪な行ないに応じて罰する。 10 彼らはいくら食べても腹がへる。 いくら姦淫しても、望む子供は生まれない。 わたしを見捨てて、他の神々へ心を向けたからだ。 11 酒と女と歌は、わたしの国民から判断力を奪ってしまった。 12 驚いたことに、彼らは木片に向かって、自分がどうしたらよいか、うかがいを立てている。 神の真理を占いによって知ろうとしている。偶像を恋い慕ううちに、ろくでなしになってしまった。 他の神々に仕えて遊女とたわむれ、わたしなど捨ててしまった。 13 山のいただきで偶像にいけにえをささげ、丘に登って、樫やポプラやテレビンの木の心地よい木陰で香をたく。 おまえたちの娘はそこで売春婦に身を持ちくずし、おまえたちの嫁はそこで姦淫をする。 14 だが、どうして彼女らを罰することができよう? 男のおまえたちも同じことをし、遊女や神殿娼婦とともにいけにえをささげ、罪を犯しているからだ。 大ばか者め! いっこうに目が覚めないので、おまえたちの運命は定まっている。 15…

ホセア書 5

1 祭司とイスラエルの指導者よ、よく聞け。 王家の者たちよ、聞け。 おまえたちに判決が下る。 おまえたちはミツパやタボルで、国民をたぶらかして偶像に走らせた。 2 心の曲がった者は、深い穴を掘って彼らをその中に落とし込んだ。 そのことは決して忘れないぞ。 おまえたちがしでかしたことの決済は必ずする。 3 イスラエルよ。 おまえたちの邪悪な行ないはお見通しだ。 売春婦が夫を置き去りにするように、おまえたちはわたしを捨てた。全身汚れきっている。 4 その行ないが、おまえたちに神のもとへ帰ろうという気を起こさせない。 姦淫の思いで心の底まで腐り果て、神を知ることができなくなっているからだ。 5 イスラエルの鼻持ちならない思い上がりは、わたしの法廷では不利な証言となる。 イスラエルは罪の重荷によろめき、ユダも倒れる。 6 それからやっと、羊や牛の群れを引いて、神にいけにえをささげにやって来る。 だが、もう遅い。 もうわたしを見いだすことができない。 わたしは彼らから離れて行き、彼らだけが取り残される。 7 彼らはわたしの子でない子供を産んで、わたしの顔にどろを塗ったからだ。 あっという間に、彼らも彼らの富も消えうせる。 8 警告のラッパを吹け。 ギブアとラマで、ベテルまでもラッパを吹き鳴らし、警告せよ。 ベニヤミンの地も震えおののけ。 9 イスラエルよ、この知らせを聞け。 刑罰の日がくれば、おまえたちは瓦礫の山となるのだ。 10 ユダの指導者たちは、最もたちの悪い盗人となる。 だから、滝のように激しい怒りを、彼らにぶちまける。 11 イスラエルは偶像に従う決心をしたので、罰を受けて押しつぶされる。 12 しみが羊毛を食い荒らすように、わたしはイスラエルを滅ぼす。 木材が腐るように、ユダの力を取り去る。 13 イスラエルとユダが自分たちの病状を知ると、イスラエルはアッシリヤの大王に頼ろうとする。 だが、大王は助けることも、治すこともできない。 14 ライオンが獲物を引き裂くように、わたしはイスラエルとユダとを引き裂き、連れ去る。 彼らを助けようとする者たちも追い散らす。 15 非を認めて、わたしに助けを求めて来るまで、彼らをほったらかし、家に戻っていよう。 苦しい目に会うと、たちまち彼らはわたしを求め、次のように言うのだ。

ホセア書 6

1 「さあ、神様に帰ろう。 私たちを引き裂いたのは神様だ。 その神様が治してくださる。 神様は傷つけたが、傷口に包帯を巻いてくださる。 2 ほんの二日で、いや、せいぜい三日で、私たちを立ち上がらせ、愛のうちに生かしてくださる。 3 そうだ、神様を知ろう。 ほんとうに、神様を求めよう。 必ず夜明けが訪れ、早春の雨期がくるように、神様は必ず報いてくださるのだ。」 4 イスラエルとユダよ。 おまえたちをどうしたらいいのか。 おまえたちの愛は、朝もやのように消えうせ、露のように消え去る。 5 預言者たちを遣わして、おまえたちに迫る滅びを警告した。 「おまえたちは死ぬぞ」と脅しつけることばで、おまえたちを切り殺した。 突然、前ぶれもなく、ちょうど昼のあとに夜がくるように、わたしのさばきがおまえたちを打ち倒す。 6 いけにえなど、欲しくもない。 ただ、わたしを愛してほしいのだ。 ささげ物もいらない。 何よりも、わたしを知ってもらいたいのだ。 7 ところが、おまえたちはアダムのように契約を破り、わたしの愛をはねつけた。 8 ギルアデは罪に満ちた町で、血の足跡がついている。 9 どろぼうが犠牲者を待ち伏せるように、祭司も徒党を組み、シェケムへ通じる道で人を殺し、ありとあらゆる犯罪を重ねている。 10 まさに、わたしはイスラエルの中に身の毛もよだつようなことを見た。 エフライム(イスラエル)は他の神々を追い求め、イスラエルはとことんまで身を汚している。 11 ユダよ。 おまえたちにも、重い刑罰の刈り入れがどっさり待ち受けている。 わたしはおまえたちを、どれほど祝福したかったことか。

ホセア書 7

1 わたしはイスラエルをどうしても赦したかった。 だが、イスラエルの罪はひどすぎた。 うそつきやどろぼうや追いはぎにでもならなければ、だれもサマリヤには住めないほどだ。 2 国民は、わたしが見ていることなど気にもかけない。 彼らの罪深い行ないが、あらゆる面から彼らの正体をあばき出している。 わたしはそれを見届ける。 3 王は彼らの悪をうれしがり、王子たちは彼らのうそに笑いこける。 4 彼らはみな姦通者だ。 パン屋が小麦粉をこね、それがふくらむのを待つ間を除いて、パン焼きがまがいつも燃えているように、この国民はいつも欲望を燃やしている。 5 王の誕生日に、王子たちは王に酒を飲ませる。 王は笑い者にされ、自分をあざける連中と酒をくみ交わす。 6 彼らの心は陰謀で炉のように燃えさかる。 その計略は夜通しくすぶり続け、朝になると、めらめら燃え上がる。 7 彼らは次から次へと王を殺す。 だが、だれ一人、わたしに助けを呼び求めようとしない。 8 わたしの国民は異教徒とつき合い、その悪に染まっている。 だから、生焼けの菓子のように、何の役にも立たなくなる。 9 外国の神々を礼拝するうちに、彼らの力が抜けてしまった。 だが、それに気づいていない。 白髪になっているのに、自分が老い衰えたことを知らない。 10 ほかの神々を自慢して、公然と自分を罪に定めている。 自分の神のもとには帰らず、神を求めようともしないのだ。 11 イスラエルは愚かで、思慮の欠けた鳩だ。 エジプトに呼びかけ、アッシリヤに飛んで行く。 12 だが、わたしは飛んでいるイスラエルに網を投げ、空から舞い落ちる鳥のように、彼を引き落とす。 わたしは、そのすべての悪行に報いる。 13 わたしを捨て去ったわたしの国民は、のろわれよ。 わたしに罪を犯したのだから、滅びうせよ。 わたしは彼らを救い出そうとしたが、彼らは強情を張り、真理を受け入れようとしなかった。 14 彼らは心配のあまり眠れない。 それでも、わたしに助けを求めない。 それどころか、異教の神々を拝み、それらに穀物をささげて、繁栄を願い求めている。 15 わたしは彼らを助け、また強くした。 それでもなお、彼らはわたしに背を向けている。…

ホセア書 8

1 警告を発せよ。 敵が来る。 はげたかのように、敵が神の国民を襲って来る。 彼らがわたしとの契約を破り、わたしのおきてに背いたからだ。 2 今になってイスラエルは、「神様、助けてください」と泣きつく。 3 だが、もう遅い。 イスラエルはまたとない機会を踏みにじってしまった。 だから、今度は敵に追いかけられる破目になるのだ。 4 イスラエルは、わたしの同意なしに、かってに王や君主を立てた。金や銀で偶像を作り上げ、それを拝んで、わたしの助けをはねのけた。 5 サマリヤよ。 わたしはあの子牛など認めない。 あんなものはおまえたちが作った偶像だ。 おまえたちには全く腹が立つ。 いつになったら、正直者をただの一人でも見つけることができるだろう。 6 いつになったら、おまえたちは、自分が礼拝しているあの子牛を、人間の手で作られたものだと認めるのだろう。 そんなものは神ではない。 そんなものは、粉々に砕かれてしまうのだ。 7 彼らは風を蒔いて、つむじ風を刈り取る。 麦には穂が出ず、茎だけが立っている。 そのうち枯れて病気になり、実を結ばなくなる。 たとい少しばかり実を結んでも、外国人に食べられてしまう。 8 イスラエルは滅ぼされ、こわれた壺のようになって、国々の間に横たわる。 9 一人ぼっちでさまよう野生のろばのようになる。 友と言えば、自分が雇い入れた者たちだけで、アッシリヤもその一人だ。 10 たとい多くの国から友を雇い入れても、わたしはイスラエルを国外に追放する。 ほんのしばらくの間、イスラエルは王の重荷から解放される。 11 イスラエルは多くの祭壇を築いたが、わたしを礼拝するためのものではない。 それは罪を積み上げる祭壇だ。 12 たといわたしが万という法律を授けても、彼らはそれを自分のものとはせず、遠くにいるだれかのものだ、と言うだろう。 13 この国民は、いけにえの儀式を好むが、わたしにとって、それくらい無意味なものはない。わたしは彼らの罪の勘定を清算し、それを罰する。 彼らはエジプトに帰る。 14 イスラエルは大きな宮殿を多く建て、ユダは町々の防備を固めた。 だが、どちらも、自分たちを造った神を忘れてしまった。 だから、わたしはそれらの宮殿に火を放ち、それらの要塞を燃やしてしまう。

ホセア書 9

1 ああ、イスラエルよ、ほかの国々の民のように喜ぶな。 おまえは自分の神を捨て去り、すべての麦打ち場で、ほかの神々にいけにえをささげたからだ。 2 それゆえ、収穫は乏しく、ぶどうの木も枯れ果ててしまう。 3 おまえはこの神の地にこれ以上とどまることができず、エジプトやアッシリヤに連れ去られる。 そこで残飯を食べて生活するようになる。 4 祖国を遠く離れたその地では、神にささげるいけにえのために、ぶどう酒を注ぐこともできない。 その地でささげられるいけにえは、どれも神を喜ばせることができない。 それは、まるで葬式の食物のように汚れている。 そのようないけにえを食べる者は、だれでも汚れた者となるのだ。 自分のためにそれを食べるのはかまわないが、神にささげることは許されない。 5-6 アッシリヤに奴隷として連れて行かれる時、聖なる日や神の祭りの日に、何をしようとするのか。 あとに残された財産は、だれが相続するのか。 その相続者はエジプトだ。 エジプトはおまえたちの死体を集め、メンピスがそれを埋葬する。 その廃墟には、いばらとあざみが生える。 7 イスラエルの刑罰の日がきた。 ついに報復の日が訪れた。 やがてイスラエルは、そのことをいやというほど思い知らされる。「預言者たちは頭が変だ。」「霊感を受けた人たちは気が狂っている。」 こう言って人々はあざ笑う。 それは、この国民が罪のうちに沈み、神を愛する者たちに憎しみしか示さないからだ。 8 わたしは自分の国民を守ろうと預言者を任命した。 だが、この国民はことごとに預言者たちを妨害し、公衆の面前で彼らへの憎しみを露骨に示し、神の神殿でも同じように振る舞った。 9 今わたしの国民がやっていることは、昔ギブアでやったこと〔カナン征服記下一九・一四以下参照〕と同じように、堕落しきっている。 わたしはそれを忘れず、必ず罰を下す。 10 ああ、イスラエルよ。 わたしは荒野でおまえたちを導いた、あの最初の楽しかった日々のことを、よく覚えている。 おまえたちの愛は、なんと新鮮であったことか! 夏の初物のいちじくのように、その愛は満ち足りていた。 だが、バアル・ペオル(イスラエル人が偶像礼拝をした山)でわたしを捨て、ほかの神々に身をゆだねてしまった。やがて、偶像の神々と同じように、おまえたちは汚れてしまった。 11 イスラエルの栄光は鳥のように飛び去る。 おまえたちの子供は出産と同時に死に、あるいは胎内で消えうせ、はらまれることもなくなる。 12 たとい子供たちが育っても、わたしは彼らを取り去る。 すべてが滅びに定められている。 ほんとうに、わたしがおまえたちから離れ、おまえたちを放り出す時は、悲しみの日となるのだ。 13 私は幻のうちに、イスラエルの息子たちが滅びに定められているのを見た。 父親は、息子たちを虐殺される場所までむりやり連れて行かせられる。 14 神様。 あなたの国民のために、何を願ったらよいのでしょう。 子を産まない胎と、乳を出して養うことをしない乳房とを、私は求めます。 15 彼らのすべての悪事はギルガルで始まった。 わたしも、その地で彼らを憎み始めた。 その偶像礼拝のゆえに、わたしは彼らをわたしの地から追い出す。 二度と彼らを愛さない。 彼らの指導者はみな反逆者だからだ。 16 エフライムも滅びに定められている。 イスラエルの根は枯れ、もう実を結ばなくなる。 たとい子を産んでも、わたしはそのいとし子をも殺す。…

ホセア書 10

1 イスラエルの繁栄ぶりの、なんとすばらしいことよ。 まるで実を豊かに結んだぶどうの木のようだ。 ところが、わたしが富をふやせばふやすほど、異教の神々の祭壇に多くの物が供えられる有様だ。 収穫を豊かにすればするほど、それだけ多くの美しい彫像や偶像を立てるしまつだ。 2 イスラエル国民の心は偽りで満ちている。 彼らには罪があり、刑罰を受けなければならない。 わたしは彼らの作った異教の偶像を砕き、その祭壇を打ちこわす。 3 そのとき彼らは言う。 「私たちが神様を捨てたので、神様は王を取り去ってしまわれた。 だから、どうだというのだ。 王なんか要るものか!」 4 彼らは守る気もないのに約束事をする。 それゆえ、畑のうねの間に生える毒草のように、刑罰が彼らの間に生え出る。 5 サマリヤの住民は、ベテルの子牛像が倒されはしまいかと震えおののく。 祭司も国民も共に、打ち砕かれた偶像の、失われた栄光のために悲しむ。 6 この像は、彼らがアッシリヤに奴隷となって行く時、そこの大王への贈り物として持ち去られる。 こんな偶像に信頼していたのかと、エフライムはあざけられ、イスラエルは赤恥をかく。 7 サマリヤの王は、大海の波間にただよう一片の木切れのように消えうせる。 8 イスラエルが罪を犯した、ベテルにある偶像の祭壇もくずれ落ち、いばらやあざみが回りに生い茂る。 人々は山や丘に、「私たちの上に落ちかかり、押しつぶせ」と叫ぶ。 9 ああ、イスラエルよ。 あのギブアでの恐怖の夜以来、ただ罪、罪、罪の連続だ。 おまえたちには全く進歩が見られない。 ギブアの人々が一掃されたのも当然ではないか。 10 わたしはおまえたちの不従順に立ち向かう。 山のように積み上げられた罪を罰するために、わたしは諸国の軍隊を集めて、おまえたちを攻めさせる。 11 イスラエルは麦打ち場で麦を踏むことに親しみ、そのたやすい仕事が好きだ。 わたしはこれまで、イスラエルに重いくびきをかけたことがなかった。 そのか弱い首をいたわったのだ。 だが今、イスラエルにくびきをかけて馬鍬をひかせ、畑を耕させる。 気楽に過ごす時代は終わったのだ。 12 正義の種をまけ。 そうすれば、わたしの愛の実を刈り取るだろう。 堅くなった心を耕せ。 わたしが救いの恵みを注ごう。 今は神を求める時なのだ。 13 ところが、実際はどうか。 おまえたちは悪を耕し、はびこる罪の実を育ててきた。 巨大な軍事力があれば安全だと信じたので、そのような偽りに信頼した報いを、十分に受けることになったのだ。 14 それで、戦争の恐怖が民の中に起こり、シャレマンがベテ・アレベルを破壊したように、おまえたちの要塞はみな打ちくずされる。母親は子供もろとも、その場で一気に殺される。 15 イスラエル国民よ。 それもみな、おまえたちの罪悪があまりにもひどいからだ。 ある朝、イスラエルの王は滅ぼされる。