ヨエル書 1

1 ペトエルの息子ヨエルに、神様から次のようなお告げがありました。 2 ユダの老人たちよ、よく聞け。 ほかの者たちもだ。 一生のうちに、いや、イスラエルの全歴史で、これから話すようなことを、聞いたことがあるか。 3 やがて時がきたら、このことを子供たちに話してやれ。 この恐ろしい話を代々語り伝えよ。 4 歯のするどいいなごが作物を食いちぎると、いなごの大群が残りを食いあさる。 そのあとに、ばったが襲い、青虫も来て食い尽くす。 5 酔いどれどもよ、目を覚まして泣け。 ぶどうが全滅し、ぶどう酒がなくなるからだ。 6 いなごの大群がこの地をおおう。 とても数えきれないほどの大群だ。 まるでライオンのような鋭い歯を持った恐ろしい軍隊で、 7 わたしのぶどうの木を荒らし、いちじくの樹皮を食いちぎり、幹も枝も白く、丸裸にしてしまう。 8 婚約者の死を悲しむおとめのように、泣き悲しめ。 9 神殿にささげる穀物とぶどう酒がなくなり、祭司たちは喪に服す。 神に仕える者たちの泣き叫ぶ声を聞け。 10 畑には作物がなく、どこもかしこも嘆きと悲しみでいっぱいだ。 穀物も、ぶどうも、オリーブ油もなくなる。 11 その衝撃で、農夫は打ちのめされる。 ぶどうを栽培する者は悲嘆にくれる。 小麦も大麦もだめになる。 だから、嘆き悲しめ。 12 ぶどうの木は枯れ、いちじくの木はしおれる。 ざくろやなつめやしの木は弱り果て、りんごの木も干からびた実をつける。 すべての喜びが消えうせてしまった。 13 祭司たちよ、荒布をまとえ。 神に仕える者たちよ、祭壇の前で夜どおし泣き明かせ。 おまえたちに必要な穀物やぶどう酒のささげ物が、もうないからだ。 14 断食を布告し、聖なる集会に集まるよう呼びかけよ。 神殿に、長老たちと全国民を集め、神の前で泣き悲しめ。 15 ああ、恐ろしい刑罰の日が、すぐそこまで来ている。 全能の神から臨む破壊が、戸口まで来ている。…

ヨエル書 2

1 さあ、エルサレムに警報を鳴らせ。 わたしの聖なる山に警告のラッパを響かせよ。 すべての者よ、恐れおののけ。 神のさばきの日が近づいているからだ。 2 陰うつな暗やみの日。 暗雲の重くたれこめた日。 なんという大軍か。 山々を夜のようにおおい尽くしている。 なんと強大な国民か。 このような国民は、世界が始まって以来、見たこともないし、これから見ることもないだろう。 3 その行く先々には火の手が上がり、回りにも広がる。 前には、エデンの園のように美しい地が横たわっているが、彼らはそれを根こそぎ破壊してしまう。 4 まるで小馬のように、ぐるぐる駆け回る。 5 山々のいただきを跳びはねる様子を見よ。 そのざわめきに耳を傾けよ。 まるで戦車の押し寄せる響き、野原をなめ尽くす炎の音のようだ。 また、戦場に突入する強大な軍隊のようでもある。 6 迎える国民は、恐怖のあまり青ざめる。 7 その兵士は歩兵のように突撃し、えり抜きの精兵のように城壁をよじ登る。 列を乱すことなく、まっすぐに進む。 8 互いに群がることもなく、整然と行進する。 どんな武器も、彼らをとどめることができない。 9 たちまち町に殺到し、城壁をよじ登る。 また、窓から押し入る強盗のように、家々の壁をもよじ登る。 10 彼らの前で、地は揺れ動き、天も震え上がる。 太陽と月は光を失い、星も姿を消す。 11 神様はひと声で、彼らを指揮する。 これは神の大軍で、そのご命令に従う。 神のさばきの日は、ほんとうに恐ろしい。 だれが、それに耐え得ようか。 12 それゆえ、神様はこうお語りになります。 「まだ、間に合うぞ。 さあ、わたしに立ち返れ。 全身全霊をわたしに傾けよ。 断食し、嘆き悲しみながら来い。 13 悪かったと心底から認め、衣を引き裂くのではなく、心を引き裂け。」 神様に立ち返れ。 神様は恵み深く、あわれみに富んでおられるからだ。 神様は親切で、むやみに怒ることもなく、あなたがたを何とか罰しないでおこうとしておられるのだ。 14 だれが知ろう。 もしかすると、神様は恐ろしいのろいをかけるのをやめ、あなたがたにそのまま祝福を下さるかもしれない。 以前と変わらず、神様に穀物やぶどう酒をささげることができるように、それらをいっぱい恵んでくださるかもしれない。 15 シオン(エルサルム)にラッパを吹き鳴らせ。 断食を呼びかけ、すべての人に聖なる集会のふれを出せ。…

ヨエル書 3

1 神様はこうお語りになります。 「ユダとエルサレムの繁栄を回復させる時、 2 わたしは世界の軍隊をヨシャパテ〔『神はさばく』の意〕の谷に集めて、罰する。 彼らはわたしの国民を傷つけ、わたしの相続人を諸国に追い散らして、わたしの地を分割したからだ。 3 彼らはわたしの民を分け合って、奴隷にした。 若い娘は遊女に売り飛ばし、幼女は酒代の足しにした。 4 ツロとシドンよ、邪魔だてするな。 ペリシテの町々よ、わたしに報復する気か。 気をつけるがいい。 わたしはすばやく、おまえたちの頭を打ち返すぞ。 5 おまえたちは、わたしの金銀と高価な宝石とを奪い、異教の神殿に運び込んだ。 6 ユダとエルサレムの住民をギリシヤ人に売り渡し、ギリシヤ人は遠い祖国に彼らを連れて行った。 7 だがわたしは、おまえたちが売り飛ばした所から、彼らを連れ戻す。 そして、おまえたちがしたこと全部に、お返しをする。 8 おまえたちの息子や娘をユダの国民に売り渡そう。 ユダの国民は、遠くのシェバ人に彼らを売りつける。 神であるわたしがこう約束する。」 9 このことを、できるだけ遠くまで告げ知らせよ。 戦いの準備をせよ。 精兵を集め、全軍を召集せよ。 10 鋤を溶かして剣に打ち変え、鎌を打ち直して槍にせよ。 弱い者を強くせよ。 11 諸国民よ。束になってかかって来い。 神様、今こそ、神様の勇士たちを遣わしてください。 12 諸国民をヨシャパテの谷に連れて来い。 そこで、わたしは全員に判決を下す。 13 さあ、鎌を入れよ。 時がきて、刈り入れを待っている。 酒ぶねを踏め。 彼らの悪が満ちあふれているからだ。 14 谷は、群衆、また群衆でうずまっている。 運命の判決が下るのを待っているのだ。 さばきの谷に神の日が近づいているからだ。 15…