ヨシュア記 1

1 神様に忠実に従ったモーセが死ぬと、その従者で、ヌンの息子ヨシュアに、神様は命じました。 2 「よいか。 わたしのしもべモーセは死んだ。 〔おまえこそ次のイスラエルを担う新しい指導者だ。〕 さあ、人々を率いてヨルダン川を渡り、約束の地へ行け。 3 モーセに約束したとおりのことを、おまえにも約束しよう。 『おまえたちの行く所はどこでも、イスラエルの領地となる。 4 南はネゲブの砂漠から北はレバノン山脈まで達し、西は地中海から東はユーフラテス川まで至り、ヘテ人の全領地も含まれる。』 5 一生の間、おまえに手向かう者などいない。 わたしが、モーセと共に歩んだように、おまえとも共に歩むからだ。決して見放したり、期待を裏切って見捨てたりはしない。 6 雄々しく立ち、勇気を出せ。 りっぱな指導者になるのだ。 わたしが先祖に与えると約束した地を全部、占領するのだ。 7 しっかりと男らしく勇気を出せ。 モーセが命じた法律を、きちんと守るのだ。 一つ残らず守れば、何もかもうまくいく。 8 人々に、法律をいつも思い出させよ。 まずおまえが、昼も夜も法律を忘れず、それを完全に守るよう心がけることだ。 模範を示し、どんなことでも、法律どおりきちんと行なうのだ。 成功するもしないも、すべてその一点にかかっている。 9 さあ、男らしく勇気を出せ。 恐れや迷いを蹴散らせ。 いいか、どこへ行っても、おまえの神であるわたしが、ついているのだ。」 10-11 ヨシュアはイスラエルの指導者たちを集め、みんなにヨルダン川を渡る準備をさせるよう命じました。 そして、きっぱり言ったのです。 「三日以内に、われわれはヨルダン川を渡る。 神様が下さる地を占領し、そこに住むのだ。」 12-13 それから、ルベン部族とガド部族、およびマナセの半部族の部族長たちを召集し、彼らがモーセと取りかわした協定を思い出させました。 その協定とは、こうでした。 「神様は、ヨルダン川の東側のこの地を、あなたがたの安住の地としてお与えになった。 14 だから、妻子と家畜はここに落ち着いてよい。 ただし、完全武装した軍隊は、他の部族よりも先にヨルダン川を渡り、川の西側の約束された領地を占領するために、手を貸すこと。 15 他の部族がその地を完全に征服するまで、共に行動すること。 その任務を果たしてはじめて、ヨルダン川の東側の地に落ち着くこと。」 16 部族長たちは、この協定を心から受け入れました。 そして、ヨシュアを総指揮官とし、その命令に従うことを堅く誓いました。 17-18 「私どもは、モーセに従ったと同様、あなたに従います。 神様が、モーセと共におられたように、あなたにも伴われますように。ご命令に逆らう者は、だれであろうと死刑です。 どうぞ遠慮なく、断固とした態度でびしびしやってください。」

ヨシュア記 2

1 さてヨシュアは、シティムの野営地から対岸へ、二人のスパイを送り込むことにしました。 任務は、特にエリコの様子を調べることでした。 二人は売春婦ラハブの宿に着きました。 そこで夜を過ごす計画だったのです。 2 ところがエリコの王に、「イスラエル人のスパイらしい、あやしい二人組が、今晩、町に忍び込みました」と通報する者があったのです。 3 王はさっそく、憲兵隊をラハブの家に差し向け、二人の引き渡しを要求しました。 「あいつらはスパイだぞ。 イスラエルの隊長が送り込んだのだ。どうすりゃわしらをやっつけられるか、探りに来たんだ。」 4 しかしラハブは、二人をかくまったまま、憲兵隊長に答えました。「ああ、あの人たちならとっくに帰りましたよ。 ここにいたんだけどねえ。 そりゃ、まさかスパイだなんて、思いもよらないもの。 5 町の門が閉まるころ、夕やみにまぎれて町から出て行ったみたいよ。 行き先までは知らないけど、急いで追いかけりゃ、捕まえられるかもしれませんよ。」 6 ところが実際は、二人を屋上へ連れて行き、乾燥させるために積み上げた亜麻の中に隠していたのです。 7 そうとは知らず、憲兵隊員は、二人のあとを追って、道中くまなく捜しながら、ヨルダン川まで下って行きました。 その間に、町の門は堅く閉ざされたのです。 8 ラハブは、二人がまだ寝ないうちに、屋上へ来て言いました。 9 「あんたたちの神様が、この地をあんたたちのものにしようとしていることは、よくわかってるのよ。 みんなこわがってるわ。 イスラエルと聞いただけで震え上がるほどにね。 10 だって、イスラエルの人たちがエジプトを出た時、神様が紅海に、道をつけられたっていうじゃない。 それに、ヨルダン川の東側にいたエモリ人の王様を二人、あのシホン王とオグ王をどんな目に会わせたかも、みんな聞いてるわ。 何でもあそこを廃墟にし、住民は皆殺しですって? 11 そんなことを聞いたら、こわがらないほうが変よ。 戦う勇気なんか、ふっ飛んじゃうわ。 あんたたちの神様はただの神様じゃないわね。きっと、天地を支配なさるありがたいお方に違いないわ。 12-13 だから、お願いよ。 一つだけ聞いてほしいの。 エリコを占領する時、いのちだけは助けてもらえないかしら。 両親や、兄弟、それにその家族もね。 そのことを、あんたたちの神様の聖なる御名にかけて、誓ってくださいな。 あんたたちを助けてあげたんだもの、これくらいのことは聞いてくれたっていいでしょ。」 14 二人はうなずきました。 「われわれのことをしゃべらなければ、あんたも家族も傷一つ負わんよ。 いのちにかけても、あんたを守ってやる。」 15 ラハブの家は町の城壁の上にあったので、二人は綱で窓からつり降ろしてもらいました。 16…

ヨシュア記 3

1 翌朝はやく、ヨシュアに率いられたイスラエル人は、シティムを出発し、夕方にはヨルダン川の岸に着きました。 川を渡る前に、そこで幾日か野営したのです。 2-4 三日目に、指導者たちは野営地を巡って、次のような命令を伝えました。 「神の箱〔契約の箱〕をかついでいる祭司たちの姿が見えたら、あとに従いなさい。 これから行く所は見知らぬ地だから、祭司が先導するのです。 ただし、箱との間は、約一キロの距離を保ちなさい。 それより近づいてはなりません。」 5 それから、ヨシュアは人々に、各自、身をきよめる儀式を行なえと命じ、「あす、神様が偉大な奇蹟を行なわれるからだ」と宣言しました。 6 翌朝、ヨシュアは祭司たちに命じました。 「神の箱をかつぎ、先頭に立って川を渡りなさい。」 言われたとおり、祭司たちは出発しました。 7 神様はヨシュアに、「きょう、おまえに大きな栄誉を授けよう。わたしがモーセと共にいたように、おまえと共にいることを、イスラエルの人々に知らせるためだ。 8 箱をかつぐ祭司たちには、水ぎわに来たら水の中に立つよう命じなさい」とお語りになりました。 9 ヨシュアは人々を召集し、こう話しました。 「さあ、よく聞きなさい。 神様のおことばを告げよう。 10 生ける神様があなたがたのうちにおられ、カナン人、ヘテ人、ヒビ人、ペリジ人、ギルガシ人、エモリ人、エブス人など、やがて占領する地の全住民を必ず追い払ってくださるということが、きょう、はっきりわかるでしょう。 11 いいですか。 全地の支配者である神様の箱が、先頭に立って、ヨルダン川を渡ろうとしているのです。 12 今、各部族から一人ずつ、特別な務めにつく十二人を選びなさい。 13-14 箱をかつぐ祭司たちの足が川に入った瞬間、流れはダムでせき止められたように、止まるだろう。 まるで見えない壁にはばまれたように、水は盛り上がるはずだ。」 15 ちょうど刈り入れの季節を迎えたヨルダン川は、岸いっぱいに水をたたえていました。 人々が川を渡ろうと出発し、箱をかつぐ祭司たちが足を入れた瞬間、 16 はるか上流のツァレタン付近の町アダムで、水はダムにせき止められたように、盛り上がり始めたではありませんか。 ですから、その地点より下の水は塩の海(死海)に注いでしまって、ついに川床がむき出しになりました。 こうして人々はみな、エリコの町に近い所を渡ったのです。 17 箱をかつぐ祭司たちは、川の真ん中のかわいた地面に立ち、全員が渡り終えるまで待っていました。

ヨシュア記 4

1 人々が無事に渡り終えた時、神様はヨシュアにお語りになりました。 2-3 「特別な任務のために、各部族から一人ずつ選ばれた十二人に命じて、ヨルダン川の真ん中の、祭司が立っている地点から、一つずつ石を拾わせなさい。 その十二の石を集めて、今夜、野営する地に、記念碑として積み上げるのだ。」 4 ヨシュアは十二人を呼び出し、 5 こう命じました。 「あの箱のある、川の真ん中に行き、一つずつ石をかついで来なさい。 つまり、十二部族にそれぞれ一つずつ、全部で十二だ。 それぞれの石は十二部族を象徴する。 6 その十二の石で記念碑を建てよう。 そうすれば、将来、子供たちに『これは何の記念碑ですか』と尋ねられて、 7 『ヨルダン川を神の箱が渡った時、水がせき止められたことを忘れないためだよ』と話して聞かせることができる。 この記念碑は、その途方もない奇蹟を、イスラエル人が永久に忘れないためのものなのだ。」 8 十二人はヨシュアの命令に従い、川の真ん中から十二の石を拾いました。 各部族のために一つずつです。 まさに、神様がヨシュアに命じたとおりです。 彼らは石を野営地まで運び、記念碑として建てました。 9 ヨシュアはまた、川の真ん中の祭司たちが立っていた場所にも、十二の石で、記念碑を築きました。 それは、今もそこに建っています。 10 箱をかついでいた祭司たちは、モーセからヨシュアに与えられた神様の命令がことごとく成し遂げられるまで、川の真ん中に立ち尽くしていました。 その間に、人々は急いで川床を渡ったのです。 11 全員が渡り終えると、みんなの見守る中で、箱をかついだ祭司たちが、川から上がって先頭に立ちました。 12-13 モーセの命令どおり完全武装した、ルベン部族とガド部族、それにマナセの半部族からなる四万の軍勢は、一隊となって、神様のために戦う他部族の先頭に立ち、エリコの平原めざして進みました。 14 その日は、ヨシュアにとって生涯忘れることのできない日となりました。 神様はイスラエル人全員の目の前で、ヨシュアに大きな栄誉をお与えになったのです。 人々は、モーセを敬ったと同じように、ヨシュアを心から敬いました。 15-16 ヨシュアこそが、神様の命を受けて、箱をかつぐ祭司たちに命令を下した人だったからです。 「川から上がりなさい」と祭司たちに命じるよう、神様はヨシュアを促しました。 17 ヨシュアがそのとおりに命じ、 18…

ヨシュア記 5

1 ヨルダン川の西側の諸国民、エモリ人および地中海沿岸に住むカナン人の王はみな、神様がヨルダン川の水をからしたので、イスラエル人が川を渡って来たと聞いて、すっかり意気消沈し、恐怖におののきました。 2-3 その時、神様はヨシュアに、日を定めて、イスラエルの男子全員に割礼(男子が生まれて八日目にその生殖器の包皮を切り取る儀式)を施せ、と命じました。 この儀式が行なわれたのは、イスラエルの歴史上、二度目のことです。 神様は、このために火打ち石でナイフを作るよう、指示なさいました。 この時の場所は「包皮の丘」と呼ばれています。 4-5 二度目の割礼の儀式を行なった理由はこうです。 イスラエルがエジプトを出た時、兵役につける年齢の男子は、すべて割礼を受けていました。 しかしその世代の人々はみな、荒野を旅する間に死んでしまい、そののち生まれた子供たちは、だれひとり割礼を受けていなかったのです。 6 人々は、四十年も荒野を行きつ戻りつ旅して回り、とうとう、エジプトを出たとき兵役につける年齢にあった男子は、みな死に絶えたわけです。 つまり、彼らは神様に従わなかったので、約束されていた「乳と蜜の流れる」地に入らせはしない、と言われたのです。 7 ですから今、ヨシュアは彼らに代わって兵役についた息子たちに、割礼を施したのです。 8-9 神様はヨシュアにお語りになりました。 「きょう、わたしは、割礼を受けていないという恥を、おまえたちから取り除いた。」 それで、この出来事のあった場所はギルガル〔「終わらせる」の意〕と呼ばれ、現在でもそう呼ばれています。 この儀式ののちも、人々はみな傷が治るまで、野営地にとどまっていました。 10 エリコの平原にあるギルガルに滞在中も、イスラエル人は三月二十八日(ユダヤ暦では一月十四日)の夕方になると、過越の儀式を守りました。 11-12 そして翌日、自分たちの占領下にある畑から収穫したものを食べ、イースト菌を入れないパンを焼いたりしました。 すると、次の日からマナは降らなくなり、二度とマナを見ることはありませんでした。 それ以来、人々はカナンの地の産物を食べるようになりました。 13 さて、ヨシュアがエリコの町を見上げていた時、一人の人が目の前に現われました。 その人は抜き身の剣を手にしていました。 ヨシュアは歩み寄り、「味方か、それとも敵か」と問いただしました。 14 すると、「わたしは神様の軍勢の最高司令官だ」という答えが返ってきたのです。 その声を聞くと、ヨシュアは地にひれ伏して拝み、「どうぞご命令を」と申し上げました。 15 その最高司令官なるお方は、「くつを脱げ。 ここは聖なる地だ」と命じました。 ヨシュアはそのことばに従いました。

ヨシュア記 6

1 さて、エリコの城門は堅く閉ざされていました。 だれもがイスラエル人を恐れていたからで、人っ子ひとり出入りできないほどでした。 2 ところが、神様はヨシュアにこう命じたのです。 「おまえたちは、もう勝ったも同然だ。 町も人も、みなおまえたちのものだ。 3-4 六日間、全軍を率いて、日に一度、町の周囲を回れ。 そのあとに、ラッパを手にした七人の祭司、神の箱と続く。 七日目には七度回り、祭司がラッパを吹き鳴らす。 5 祭司がラッパをひときわ高く、長く吹き鳴らしたら、全員、大声でときの声をあげよ。 町の城壁はくずれ落ちるだろう。 その時、四方八方から町へ攻め込むのだ。」 6-9 ヨシュアは祭司たちを召集し、指示を与えました。 すなわち、武装した人々が行進の先頭に立ち、そのあとに七人の祭司がラッパを吹き鳴らしながら続くこと、そのうしろを神の箱をかつぐ祭司が進み、さらに、護衛兵がしんがりを務めること、などです。 10 ヨシュアは命じました。 「ラッパの音以外、音を出すな。 ひと言も発してはならない。 私が『ときの声をあげよ』と言ったら、いっせいに大声で叫べ。」 11 その日、神の箱は一度だけ、町の周囲を回りました。 人々は野営地に帰り、夜を過ごしました。 12-14 翌朝、夜明けとともに、もう一度町の周囲を回り、野営地に戻りました。 こうして六日間が、同じように過ぎたのです。 15 七日目、夜の白むころ、またも人々は立ち上がりましたが、この日は一度ではなく、七度回りました。 16 七度目に、祭司たちが高らかに、長くラッパを吹き鳴らすと、ヨシュアは大声で叫びました。 「ときの声をあげよ! 神様はこの町をわれわれに下さったのだ! 17 住民は皆殺しだ。 だが売春婦のラハブと、その家の中の者たちは助けてやれ。 ラハブはわれわれのスパイをかくまってくれたのだ。 18 戦利品には手を出すな。 すべて破壊しろ。 もしこれに背けば、災いがイスラエル全体を襲うだろう。 19 ただし、金、銀、および青銅や鉄の器具は、みな神様のために特別にきよくされたものだから、取れ。」 20 祭司の吹き鳴らすラッパの音を聞くと、人々はあらん限りの大声を出して、いっせいにときの声をあげました。 と、どうでしょう。突然、城壁がくずれ落ちたではありませんか。 それーっとばかり、四方八方から攻め込み、たちまち町を占領しました。 21 町中のものは全部、男も女も、老いも若きも、また牛、羊、ろばも、皆殺しです。…

ヨシュア記 7

1 しかしイスラエル人の中に、罪がひそんでいたのです。 神様のものとするもの以外はすべて滅ぼせ、というヨシュアの命令が、実は守られていなかったのです。 ユダ部族のカルミの子で、祖父はザブディ、曾祖父がゼラフであるアカンが、戦利品の一部をふところに入れていました。 そのために、神様の激しい怒りが、イスラエル人全員に下ったのです。 2 エリコ陥落後すぐに、ヨシュアはまた、ベテル東方の町アイに、数人のスパイを送り込みました。 3 彼らは戻って報告しました。 「小さな町ですから、二、三千人もいれば十分です。 すぐに占領できるでしょう。 全員で攻めるまでもありません。」 4 そこで、およそ三千の兵がアイに送り込まれました。 ところがどうでしょう。 彼らはさんざん痛めつけられたのです。 5 三十六人が攻撃中に殺された上、大ぜいがアイの住民に石切り場まで追われ、次々に倒れました。 イスラエル軍は、この敗北ですっかりおびえてしまいました。 6 ヨシュアと長老たちは心を痛め、衣服を裂き、頭にちりをかぶって、夕方まで神の箱の前にひれ伏しました。 7 ヨシュアは神様に叫びました。 「ああ神様。 エモリ人の手によって私たちを滅ぼすおつもりなら、どうして、ヨルダン川を渡らせてくださったのですか。 どうして、すでに得ていたもので、満足させてくださらなかったのですか。 こんなことになるくらいなら、ヨルダン川の東側にとどまっていればよかったのです。 8 ああ神様。敵に背を見せてしまった今となっては、どうすることもできません。 9 カナン人や近隣の民族がこれを聞けば、攻めて来るに決まっています。 もはや全滅です。 そうなれば、神様の大いなる御名の栄誉はどうなるのでしょう。」 10-11 しかし、神様はお答えになりました。 「顔を上げて、立て。イスラエルは罪を犯したのだ。 わたしの命令に背いて、取ってはならないと命じた戦利品を盗んだのだ。 盗んだだけではない。 偽って、自分の持ち物の中に隠しているのだ。 12 だから、おまえたちは敗れた。 これで、敗北の原因がわかったろう。 今では、イスラエルのほうが滅ぼされる運命にある。 その罪が完全に取り除かれなければ、もう、おまえとは共に歩まない。 13 立て。 みなにこう告げよ。 『各自、あすに備えて、きよめの儀式を行なえ。 イスラエルの神様である主がこう言われるからだ。だれかが神様のものを盗んだ。 この罪を処分するまで、敵を破ることはできない。 14 明朝、あなたがたは部族ごとに進み出なさい。神様が犯人のいる部族を摘発なさるだろう。 その部族は氏族に分かれて進み出なさい。 神様が犯人の属する氏族を示してくださるだろう。 次に、その氏族は家族ごとに進み出なさい。 そして、犯人を含む家族はみな、一人ずつ前へ出るのだ。 15 神様のものを盗んだ者は、全財産もろとも、火で焼かれるがいい。 神の契約を破って、全イスラエルに災難をもたらしたからだ。』」 16 翌朝はやく、ヨシュアは神様の前に、イスラエルの各部族を連れ出しました。 すると、ユダ部族に犯人がいることがわかったのです。…

ヨシュア記 8

1 それから、神様はヨシュアに命じました。 「恐れるな。 勇気を出せ。 全軍を率いて、アイを攻撃せよ。 勝利は目前だ。 わたしは、アイの王と全住民をおまえの手に渡した。 2 エリコとその王にしたとおり、アイとその王にもせよ。 ただし、今回は奪い取ったものや家畜を自分たちの戦利品としてもよい。 町の後方には伏兵を置け。」 3-4 本隊がアイに向かう前に、ヨシュアは三万の精兵をひそかに派遣し、いつでも行動を起こせるよう、アイの後方の、そう遠くない場所に、伏兵として忍ばせました。 5 ヨシュアはこう説明しました。 「さて、作戦だが、まず本隊が攻撃をしかける。 アイの連中は前回同様、町から出て戦うだろう。 すると、こっちは逃げる。 6 連中が追いかけて来る。 町は空っぽになるというわけだ。 彼らは『イスラエル軍がまた逃げて行くぞ。この前のとおりじゃないか』と言うに決まっているからな。 7 そうしたら、隠れていたおまえたちが飛び出し、町に攻め入るのだ。 神様は町をおまえたちの手に渡してくださる。 8 ご命令どおり、火をかけろ。 いいな。」 9 こうして三万の精兵は、夜中に本隊を離れ、アイの西端とベテルとの中間の地点に隠れました。 もちろん、ヨシュアの率いる本隊は、エリコの野営地にとどまって夜を過ごしたのです。 10 翌朝はやく、ヨシュアは将兵を起こし、長老たちを伴ってアイを目ざし、 11-13 アイの北にある谷を前にして陣を敷きました。 その夜、ヨシュアはさらに五千の兵を選んで、町の西方に隠れている別働隊に合流させ、自分は、その谷で夜を過ごしました。 14 アイの王は、イスラエル軍が谷を渡って来るのを見ると、翌朝はやく、アラバの平原で迎え撃とうと町を出ました。 もちろん、町の後方に伏兵がいるなどとは、夢にも思いません。 15 ヨシュアの率いるイスラエル軍は、さんざん痛めつけられたように見せかけ、いっせいに荒野へ退却しました。 16 すると、町中の兵士が追跡に駆り出されたのです。 案の定、町は無防備になりました。 17 アイからもベテルからも、兵士は一人もいなくなり、町の門も開け放されたままです。 18 その時、神様はヨシュアに命じました。 「手にしている投げ槍を、アイの方に差し伸べよ。 わたしがアイをおまえの手に渡すからだ。」 言われたとおりにすると、…

ヨシュア記 9

1-2 さて、エリコでの出来事を耳にした周辺の王たちは、さっそく連合し、ヨシュアとイスラエル軍に全力をあげて対抗しようとしました。それは、ヨルダン川西域で、北はレバノン山脈までの地中海沿岸に住む、ヘテ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の王たちのことです。 3-5 しかしギブオンの住民は、エリコとアイでの一部始終を聞いて、なんとか生きのびようと策略をめぐらし、使者をヨシュアのもとへ送りました。 使者の一行は、いかにも遠い国から旅して来たかのように、ぼろぼろの服を着て、繕ったくつをはき、風雪にさらされた袋と、つぎはぎだらけのぶどう酒の皮袋と、かび臭いかさかさのパンを、ろばに積んでいました。 6 一行はギルガルのイスラエルの陣営に着くと、ヨシュアと人々に、こう言ったのです。 「私どもは、友好条約を結んでいただきたくて、遠い国からまいりました。」 7 人々は、このヒビ人たちに答えました。 「おまえたちがこの近くに住んでいないという確証はないぞ。 このあたりの住民は滅ぼせと、神様から命じられている以上、条約を結ぶわけにはいかない。」 8 「私どもを奴隷にしてくださってもけっこうです。」 「それにしても、おまえたちはいったい何者だ。 どこから来たのか。」 ヨシュアは尋ねました。 9 「私どもは遠い国からまいりました。 あなた様の神様の偉大なお力と、エジプトでなさったすべてのことは存じております。 10 それに、あなた様がエモリ人の二人の王、あのヘシュボンの王シホンとバシャンの王オグとを、どんな目に会わせなさったかも、よく存じております。 11 それで、私どもの長老や住民が申しますには、『さあ、長旅の用意をして、イスラエルの人々を訪ねてほしい。 そして、奴隷になると申し上げて、和平を求めてくるように』といった具合なのです。 12 このパンなど、出発した時には焼き立てのほかほかでしたが、今はご覧のとおり、かさかさにひからびて、かび臭くなっております。 13 このぶどう酒の皮袋も新品でしたが、今は古びて、ひびが入っておりますし、着物もくつも、難儀な長旅で、すっかりぼろぼろになってしまいました。」 14-15 このことばに、ヨシュアもほかの指導者たちも、ついにその一行を信用し、神様の指示を仰ぐこともせず、友好条約を結んでしまったのです。 そして、指導者たちは厳粛な誓いを立て、協定を批准しました。 16 それから三日して、事実が明らかになりました。 この人々が近くの者だというのです。 17 イスラエル軍は直ちに調査を開始し、三日目に彼らの町々に踏み込みました。 その町の名は、ギブオン、ケフィラ、ベエロテ、キルヤテ・エアリムです。 18 しかし、町は無傷でした。 イスラエルの指導者たちが、先に神様にかけて誓っていたからです。 しかし、おさまらないのは一般のイスラエル人です。友好条約を結んだことで、指導者の面々に食ってかかりました。 19…

ヨシュア記 10

1 エルサレムの王アドニ・ツェデクは、ヨシュアがエリコ同様アイを占領し、破壊し、その王を殺害したことや、ギブオンの住民がイスラエルと和平交渉を行ない、同盟を結んだことなどを聞いて、 2 ひとかたならず驚きました。 それは、ギブオンが実質的には王国の都のようで、アイよりも大きく、住民は非常な勇士として聞こえていたからです。 3 そこで王は、次の諸王に使者を送りました。 ヘブロンの王ホハム ヤルムテの王ピルアム ラキシュの王ヤフィア エグロンの王デビル 4 そして、こう言わせたのです。 「さあ、ギブオンを滅ぼすために手を貸してくれ。 やつらはヨシュアやイスラエル人どもと和を講じたからだ。」 5 この五人のエモリ人の王は、連合軍を編成してギブオンを攻撃しました。 6 ギブオンの人々は急いで、ギルガルにいるヨシュアのもとへ伝令を走らせました。 「しもべどもをお助けください。 少しでも早く援軍を出してください。 山地のエモリ人の王たちが、連合して攻めて来ます。」 7 そこでヨシュアは、イスラエル軍を率いてギルガルを立ち、救援に向かいました。 8 神様はヨシュアにお語りになりました。 「恐れることはない。すでに打ち負かしたも同然だ。 彼らを滅ぼすため、おまえの手に渡した。 一人としておまえに立ち向かえる者はいない。」 9 ヨシュアはギルガルから夜通し行軍して、敵の連合軍に不意打ちをかけました。 10 神様が敵を大混乱に陥れたので、イスラエル軍はギブオンで大ぜい殺し、逃げる者を、ベテ・ホロンとアゼカとマケダまで追って倒しました。 11 敵がベテ・ホロンの丘を下って敗走する時、神様はアゼカへ至る道に大粒の雹を降らし続け、滅ぼしてしまいました。 事実、イスラエル軍が剣で殺した者よりも、雹に打たれて死んだ者のほうが多かったのです。 12 イスラエル軍が敵を追いつめ、さんざん悩ましていた時のことです。 ヨシュアは大声で祈りました。 「太陽よ、ギブオンの上にとどまれ。 月よ、アヤロンの谷から動くな。」 13…