士師記 11
1-2 さて、エフタはギルアデ出身の勇士でしたが、母親は遊女の身でした。 父ギルアデには、正妻の産んだ数人の息子がいました。 息子たちは成長すると、腹違いの兄弟エフタを、ギルアデから追い出してしまったのです。 「遊女の子に、おやじの財産などこれっぽちもやるわけにはいかん」というわけです。 3 エフタは父の家を飛び出し、トブの地に移り住みました。 まもなく、そこで不平分子の一団を従えるようになり、盗みを働いて日を送っていました。 4 そんな時、アモン人がイスラエルに宣戦布告をしてきたのです。 5 ギルアデの要人たちはエフタを呼びにやり、 6 指揮官としてアモン人と戦ってくれと頼み込みました。 7 しかし、エフタは冷ややかに答えるばかりです。 「私を憎むあまりに父の家から追い出しておきながら、どうして、ここへおいでになったんです。 今さら困ったからって、よくも来られたもんですな。」 8 「どうしてもあんたに帰ってもらいたいんだ。 もし総指揮官としてアモン軍と戦ってくれたら、ギルアデの王になってもらうよ。」 9 「ほんとうかね。 とても信じられないな。」 10 「神かけて誓うよ。」 11 こう言われて、エフタも気を変え、彼らの願いどおり総指揮官となり、王になりました。 この契約は、人々がミツパに集まった時、神様の前で結ばれたのです。 12 エフタはアモン人の王に使者を送り、イスラエル攻撃の理由を尋ねました。 13 すると、「そこはもともとアモン人の土地だったのだ」という返事です。 王の言い分では、エジプトから移って来たイスラエルが、アルノン川からヤボク川、ヨルダン川に至るアモン人の全領地を奪い取ってしまった、というのです。 「すみやかに、わしらの土地を返してくれ」と、王は要求してきました。 14-15 エフタは答えました。 「イスラエルはその土地を奪ったのではない。 16 真相はこうだ。 イスラエル人がエジプトを出て紅海を渡り、旅を続けてカデシュに来た時、…