詩篇 1

1 悪人の入れ知恵に耳を貸したり、罪人といっしょになって神様をあざけったりしない人は、なんと幸いなことでしょう。 2 そうした人は、神様がお望みになることを何でも喜んで実践し、いつも、おきてのことを考えては、どうしたらもっと神様に近づけるかと思いめぐらします。 3 そのような人は、川の土手に植えられた木が、毎年欠かさず甘い実をつけるのに似ています。 その葉は決して枯れず、することなすこと、みな栄えます。 4 ところが罪人には、まったく逆の運命が待っています。 まるで風に吹き飛ばされるもみがらのようで、 5 神様のさばきの日には不安にかられます。 彼らは、信心深い人と肩を並べて立つことはできません。 6 神様は信心深い人の願いも成り行きも、すべて見守ってくださいます。 それに引き替え、不信心な者の行き着く先は滅びです。

詩篇 2

1 身のほど知らずめ! なぜ、国々は主に向かって怒り狂うのか!人が神様を出し抜こうなんて、そんなばかな! 2 地上の王たちは一つとなり、神様と、王なるキリストに反逆する陰謀を練りました。 3 彼らはうそぶきます。 「さあ、神の鎖を断ち切ろう。 もう神の奴隷なんかじゃないぞ。」 4 しかし、天におられる神様は一笑にふすだけです! 取るに足りない計画を聞いて、吹き出すだけです。 5 それから、激しい怒りを燃やしてしかりつけ、彼らを恐れおののかせます。 6 主は断言なさいます。 「これがわたしの選んだ王だ。 わたしは彼をわたしの聖なる都エルサレムで即位させた。」 7 選ばれたお方がお答えになります。 「神の永遠の目的を明らかにするのは、このわたしです。 主が、『わが子よ、きょうはおまえの戴冠式だ。 今、子にふさわしい栄誉を与える』と告げてくださいました。」 8 「わたしに願い出よ。 そうすれば、世界中の国々を授けよう。 9 それらを鉄の杖で治め、粘土細工のつぼのように砕くがよい。」 10 ああ、この世の王、支配者たちよ、手遅れにならないうちに聞きなさい。 11 敬虔な恐れをいだいて主に仕え、おののきをもって喜びなさい。 12 神のひとり子の前にひれ伏し、その足に口づけするように。 神様の怒りにふれて、滅ぼされたりしないうちに。 その怒りがまもなく燃え上がることを、警告しておきます。 しかし、主に信頼する人は、なんと幸いでしょう。ダビデが王子アブシャロムに追われて逃げた時の賛歌。

詩篇 3

1 ああ神様。 どうして、こんなに大ぜいの人が私に逆らうのでしょう。 どうして、こんなに大ぜいから命をつけ狙われるのですか? 右も左も敵ばかりです。 2 神様が私をお助けになるはずはないと、だれもが口をそろえて言います。 3 しかし、神様は私の盾、栄光であり、たった一つの望みです。 神様だけが、今は恥じてうなだれている私の頭を、高く持ち上げてくださるお方です。 4 私が大声で叫ぶと、主はエルサレムの神殿から答えてくださいました。 5 それで、安心して横になり、ぐっすり眠りました。 主が見守ってくださったからです。 6 今はもう、たとい一万の敵に包囲されても、恐れません。 7 私は主に叫びます。 「主よ、立ち上がってください! 神様、お救いください!」 すると、主は敵の顔に平手打ちをくらわせて侮辱し、歯をへし折ります。 8 救いは神様から来ます。 神様はご自分の国民に、なんと大きな喜びをお与えになることでしょう。

詩篇 4

1 ああ神様。 神様は私を、御目にかなった完全な者だとおっしゃってくださいました。 私が苦しんでいる時、いつも介抱してくださいました。 今また、私は神様を呼んでいます。 どうか答えてください。 あわれんで、私の祈りを聞いてください。 2 主は問いただします。 「人の子よ、こんなくだらない偶像を拝んで、いつまでわたしの栄光をはずかしめるつもりか。 その偶像の肩書きなど、ぜんぶ偽物なのに。」 3 いいですか、よく心に留めておきなさい。 主は救われた人々を、ご自分のためにえり分けました。 ですから、私の声に耳をそば立てていて、答えてくださいます。 4 恐れかしこんで、主の前に立ちなさい。 また、主に罪を犯してはいけません。 寝床で、静かに思いめぐらしなさい。 5 主に信頼し、喜ばれる供え物をささげなさい。 6 神様が助けるはずがないと、だれもが言っています。 ああ主よ、御顔の光で私たちを照らし出し、彼らの誤りを実証してください。 7 あなたからいただいた喜びは、刈り入れ時に、人々が穀物の山を眺めて喜ぶのより、幾倍もまさっています。 8 私は安心しきって横になり、眠ります。 たとい一人ぼっちであっても、ああ主よ、あなたはすべての危害から守ってくださるからです。

詩篇 5

1-2 ああ主よ、この祈りを聞いてください。 王である神様、私の嘆きに耳を傾けてください。 私は神様以外のだれにも、決して祈ったりしません。 3 朝ごとに、天におられる神様を見上げ、御前に願い事を申し上げ、ひたすら祈ります。 4 神様は、これっぽっちの悪も喜んだりなさらず、どんなささいな罪でも大目に見たりはなさいません。 5 ですから、おごり高ぶる罪人どもは、神様の鋭い視線に色を失うのです。 神様は不法な行為を徹底的に憎むからです。 6 うそはあばかれ、彼らは滅ぼされます。神様は、殺人と欺きをどんなにお嫌いになることでしょう。 7 しかしこの私は、あわれみと愛に守られて、神殿へまいります。心の底から恐れかしこんで神様を礼拝します。 8 主よ、お約束のとおり、私を導いてください。 そうでないと、敵に踏みにじられてしまいます。 何をなすべきか、どちらへ曲がるべきか、はっきりお教えください。 9 彼らは嘘ばかりつき、心は悪い思いでいっぱいです。 彼らの誘いには、罪と死の悪臭がただよい、邪悪な目的のためには、おべっかを使いまくるのです。 10 ああ神様、彼らに責任をとらせてください。 自分でしかけた罠にかからせてやってください。 自らの罪の重みに耐えかねて、その下敷きになりますように。 彼らは神様に背いたのです。 11 しかし、すべて神様を信頼する者には、喜びをお与えください。神様がかばってくださることを知って、彼らがいつまでも喜びの声を張り上げますように。 神様を愛する人たちを、幸福にひたらせてください。 12 神様は信心深い者を祝福なさいます。 ああ主よ、あなたは愛の盾で囲んでくださいます。

詩篇 6

1 主よ、お願いです! 怒りにまかせて私を罰しないでください。 2 ああ主よ、あわれんでください。 か弱い者です。 いやしてください。 私は病気なのです。 3 狼狽し、頭が混乱しています。 心は不安に駆り立てられ、気分がすっかりめいっています。 ああ、早く元どおりにしてください。 4 ああ主よ、帰って来て、私を健康にしてください。 あわれんで、お救いください。 5 死んでしまえば、友の前で神様をほめたたえることができません。 6 痛みのため、私はやせ細りました。 夜ごと涙で枕をぬらします。 7 回りは敵ばかりなので、嘆いて目も衰え、かすんできました。 8 不法を行なう者ども、さあ、あっちへ行け。 私の泣き声は天に届き、 9 訴えも取り上げられた。 主は私の祈りにすべて答えてくださいます。 10 敵はみな、突然、名誉をはく奪され、恐れにわななき、恥辱を受ける。 神様は彼らに赤恥をかかせて、追い返します。

詩篇 7

1 ああ私の神、主よ。 頼りになるのは、あなただけです。 どうか、迫害する者からお救いください。 2 だれも助ける者がいないために、彼らがライオンのように襲いかかり、私をさらって行くことがありませんように。 3 主よ。 もし、私が悪事を働いているというなら、話は別です。 4 悪をもって善に報い、えり好みして人を不当に攻撃しているというのなら、話は別です。 5 もしそうであれば、敵が私を滅ぼし、地に押しつぶし、ちりの中でこの命を踏みにじるのを、神様がお許しになったとしても、文句の言いようはありません。 6 しかし、主よ! 怒り狂う敵に対しては、怒りを込めて立ち上がってください。 目を覚ましてください! どうか、正しい裁判をお開きください。 主よ! 7-8 諸国民を召集し、いちだんと高い座から、彼らの罪をさばいてください。 そして、この身の潔白を明らかにしてください。 全員の前で、私の名誉を回復し、誠実さを証明してください。 9 ああ主よ、いっさいの悪を根絶やしにし、心底から主を礼拝する者を祝福してください。 正しい神である主は、人の心の奥底まで見抜き、いっさいの動機と思いとをお調べになります。 10 神様は私の盾。 私を守ってくださるお方です。 神様は、心と生活が真実で正しい人をお救いになります。 11 神様は公平そのものの裁判官。 日々、悪人には怒りを燃やします。 12 悔い改めない者を、とぎすました剣で血祭りにあげます。 神様は弓を引きしぼり、 13 恐ろしい火の矢をつがえています。 14 悪者は良からぬことをたくらみ、陰謀を企てては、偽りと背信行為に走ります。 15 そんな連中は、自らしかけた罠に落ち込めばいいのに。 16…

詩篇 8

1 ああ私たちの神、主よ。 御名の威厳と栄光は全地に満ち、天にみなぎっています。 2 神様は幼子たちに、神様を真心からほめたたえよとお教えになりました。 その子供たちの姿に、敵が恥じ入って、口をつぐみますように。 3 夜空を仰いで、神様がお造りになった月や星を眺めると、 4 なぜ、ちっぽけで取るに足りない人間を、神様が相手にし、目をかけてくださるのか、わからなくなります。 5 ところが神様は、御使いにほんの少し及ばないだけのものとして人間を造り、栄光と誉れの冠をお与えになりました。 6 神様は、お造りになった万物を、人間の手におゆだねになったのです。 いっさいのものが人の支配下にあります。 7 牛も羊も、また野獣も、 8 鳥、魚、すべての海の生物も。 9 私たちの神、主よ。御名の威厳と栄光は全地に満ちています。

詩篇 9

1 ああ主よ。 心の底からあなたをたたえます。 目を見はるばかりのお働きを、すべての人に伝えます。 2 私はうれしいのです。神様のおかげで喜びが込み上げてきます。 あらゆる神々にまさる神様。 私はあなたをほめ歌います。 3 敵は御前でたじろぎ、滅んでしまいます。 4 神様は私を弁護してくださいました。 御座から私の行為を支持し、この身の潔白を保証してくださいました。 5 神様は諸国民をしかり、悪者を滅ぼし、その名を永久に抹殺なさいました。 6 よいか、敵対する者ども。 おまえたちの行き着く先は、永遠の滅びだ。 主はおまえたちの町々を廃墟となさるので、その町があったことさえ、人々の記憶から消えうせるだろう。 7-8 しかし、主は永遠に生きておられます。 主は御座につき、世界中の国々を正しくおさばきになります。 9 虐待された人々はみな、主のもとに来ます。 主は苦しんでいる人々の隠れ家です。 10 主よ。主のあわれみを知る者はみな、お助けを期待しているのです。 主はいまだかつて、頼って来る者をお見捨てになったことがないからです。 11 エルサレムに住まわれる神様に、賛美の歌をささげよう。 世界中の人に、永久に銘記すべき神様のみわざを伝えよう。 12 殺人者に報復なさるお方は、正しいさばきを求める者の叫びに耳を貸します。苦しんで助けを求める者の祈りを、無視したりはなさいません。 13 ああ主よ、私をあわれんでください。 私を憎む者の手にかかって私がどんなに苦しんでいるか、目を留めてください。 主よ、死の口から私を引き出してください。 14 どうかお救いください。 そうなれば、エルサレムの門の、並み居る人々の前で、神様をたたえ、救い出された喜びを語ることができます。 15 諸国民は、人を落とそうと掘った穴に落ち込みます。 自分のしかけた罠にかかります。 16 主は、悪者に自業自得の罰を与える名手です!…

詩篇 10

1 主よ、なぜ、遠く離れてお立ちになるのですか。 主をいちばん必要としている時に、なぜ、お隠れになるのですか。 2 そばに来て、貧しい者を邪険に扱う、高慢ちきな者どもの相手になってください。 連中の悪だくみを、その頭上に返してやってください! 3 やつらときたら、汚ない欲望を自慢するしまつです。 神様をののしり、主に忌みきらわれる者どもと意気投合しています。彼らにとっては、金だけが人生の目的なのです。 4 この悪者どもは、お話にならないほど高慢で横柄で、神様は死んだとみなしているかのようです。 彼らには、神様を求める気持ちなど、これっぽちもありません! 5 ところが、手がけることは片っぱしから成功し、敵をなぎ倒していきます。 神様の刑罰が待ち受けていることなど、まるで眼中にないのです。 6 「神も人もさしたる相手ではない」と、彼らはうそぶきます。 そしてどういうわけか、道を切り開いていくのです! 7 彼らの口には、神様への冒涜と偽りと欺きとが満ちています。常に悪だくみを自慢の種にしています。 8 薄暗い裏通りに待ち伏せては、道行く人を殺すのです。 9 ライオンのように息をひそめてうずくまり、貧しい者に今にも襲いかからんばかりです。 猟師のように罠をしかけ、えじきを得ます。 10 不運な人は彼らの並はずれた腕力に圧倒され、一撃のもとに倒されるのです。 11 彼らは自分にこう言い聞かせています。 「神はご存じないさ! 見てもいないんだから。」 12 ああ主よ、立ち上がってください! ああ神様、彼らをひねりつぶしてください! 貧しい者を忘れないでください。 13 なぜ、悪者が神様を侮るのを放っておかれるのですか。 「神から責任を追求されることはない」と、彼らは高をくくっているのです。 14 主よ。あなたは彼らの仕打ちをご存じのはずです。 悪行の数々をじっとご覧になったはずです。 彼らがどれだけ悩みや悲しみを引き起こしたかご存じです。 さあ、罰してください。 ああ主よ。 貧しい者はあなただけが頼りなのです。 あなたは無力な者の助け手として知られています。 15 悪者どもの腕をへし折ってください。 最後の一人に至るまで、追い回して滅ぼしてください。…