詩篇 11

1 なぜ、あなたたちは臆面もなく、「身の安全のため山へ逃げろ」と言うのですか。 私は主に信頼しているというのに。 2 なるほど、悪者どもは弓を張り、弦に矢をつがえ、神様の国民を射ようと待ち伏せています。 3 「法も秩序もあったものじゃない。こうなれば、正しい者は逃げるより手がない」と、人々は言います。 4 しかし、主はいぜんとして聖なる宮に住み、天から何もかも支配しておられます。 地上での出来事をことごとく監視しておられます。 5 主は正しい者と悪者とをふるいにかけ、暴虐を好む者を憎みます。 6 悪者の上に火と硫黄の雨を降らせ、燃える風で彼らをあぶります。 7 神様は正しく、正義を愛します。 信心深い者はその御顔を拝することができるでしょう。

詩篇 12

1 主よ、お助けください! 神様を敬う者がどんどん減っていきます。 世界中さがしても、頼りになる人などいません。 2 だれもかれもがだまし合い、お世辞を並べ立て、嘘をつきます。 もはや、一かけらの誠実も残っていません。 3-4 しかし、このように振る舞う者を、主が優遇なさるはずがありません。 「好きなだけ嘘をついてやるさ。 どうせ自分の舌じゃないか。 だれに止められるわけじゃなし。」 こんな鼻持ちならない嘘つきどもを、主は滅ぼすのです。 5 主の答えはこうです。 「立ち上がって、虐待された者、貧しい者、困っている者を守ろう。 わたしの救いを待ちこがれてきた人々を助け出そう。」 6 主の約束は確実です。 不用意なことばが主の口からもれることはなく、七度も精錬された銀のように、純粋そのものの真理ばかりをお語りになります。 7 ああ主よ。 あなたはご自分の国民を、悪者の手の届かない所に永久にかくまってくださるはずです。 8 たとい、連中がぐるりをうろつき、国中に不道徳が横行しようとも。

詩篇 13

1 主よ、いつまで私を顧みてくださらないのですか。 永久にですか。 こんなに困っているというのに。 いつまで知らん顔で、よそをご覧になっているのですか。 2 いつまで日々つきまとう苦悩に耐えなければならないのですか。 いつまで敵が先手を取るのでしょう。 3 教えてください。 ああ主よ、私の神よ。 私が死なないように、 暗がりに光を投じてください。 4 敵に、「あいつをやっつけたぞ!」と言わせないでください。 私が倒れたと言って、彼らがほくそ笑んだりしませんように。 5 私は常に、主とそのお恵みによりすがり、主の救いを喜びます。 6 身にあまる祝福をいただき、心から主に歌います。

詩篇 14

1 「神なんかいやしない!」と言う者の愚かさよ。 この手の人間は、決まって偏見をいだいており、絶対に根っからの善人ではありません。 2 主は天から全人類を見下ろし、神様をお喜ばせしたいと願う賢い者をお探しになります。 3 ところが、いないのです。 だれもが道を踏みはずし、罪のために腐りきっています。 善人はいません。ただの一人もです! 4 彼らはわたしの国民をパンのように食いものにし、祈ろうなどとは思ってもみない! もっとましな生き方があることを、ほんとうに知らないのだろうか。 5 そのうち、彼らは恐怖に取りつかれるに決まっています。 神様はご自分を愛する者とともにおられるからです。 6 貧しい者や謙そんな者が悪人に虐待される時、神様は避け所となってくださいます。 7 ああ、今すぐ救出の時がきますように。 ご自分の国民を救うため、神様が即刻、シオン(エルサレム)から駆けつけてくださいますように。 ああ、イスラエルが救い出される時は、どんなにうれしいでしょう!

詩篇 15

1 主よ。 聖なる山にある神の天幕に行き、身の避け所を見いだす人はだれでしょう。 2 それは、非の打ちどころのない生活を送る、誠実そのものの人です。 3 口が裂けても人を中傷せず、うわさ話に耳を貸さず、決して隣人を傷つけたりしない人です。 4 大胆に罪を告発し、罪に落ち込んだ者を批判しては、主に忠実に従う者をほめる人です。 たとい危害を受けようとも、約束は破らない人です。 5 高い利息で負債者を窮地に追い込むようなことはせず、わいろを受け取って、無実の人に不利な証言をしたりなど、まちがってもしない人です。 このような人は大地にしっかり根を下ろし、いつまでたっても、びくともしません。

詩篇 16

1 ああ神様、どうかお救いください。 私は隠れ家を求めてまいりました。 2 「あなたは私の主です。 神様のもと以外に助かる場所はありません。」 私はこう申し上げました。 3 私はこの国の神様を敬う人々の仲間に加わりたいのです。 彼らこそ、真に高貴な人々です。 4 ほかの神々を選んだ者は、すっかり悲しみに打ち沈むことでしょう。 私は彼らのように供え物をささげず、その神々の名を口にすることもありません。 5 神様こそ、私の相続財産、また宝です。 私の血となり肉となるもの、また最高の喜びです! 主は私の全所有物を守ってくださいます。 6 美しい谷川と青々とした牧場が、分け前としていただけますように! なんとすばらしい譲りの地でしょう! 7 助言者である主をほめたたえます。 夜になると、主は知恵を授けてくださいます。どうしたらよいかを教えてくださいます。 8 私は、いつも主のことを思っています。 主がすぐそばにいてくださるので、つまずいたり、倒れたりする心配もありません。 9 心も体もたましいまでも、喜びにあふれています。 10 神様は私を死人の中に置き去りにせず、墓の中で朽ち果てるのをお許しにならないからです。 11 神様は生きる喜びを教え、永遠に伴ってくださることによって、無上の楽しみを経験させてくださいます。

詩篇 17

1 ああ神様、お願いです。 どうかお助けください。 私はまっとうに生き、正しいことだけをしてきました。 ですから、どうしても、この切なる叫びを聞いていただきたいのです! 2 主よ、人前で私の嫌疑を晴らしてください。 神様はいつも公平なお方だからです。 3 神様は私を取り調べて、やましいところがないと確認してくださいました。 神様は夜中に来られましたが、不正は何一つ見いだせず、私が真実を語ってきたことをお認めになりました。 4 私はご指示に従ってまいりましたし、残忍な悪人とは行動を共にしませんでした。 5 私の足は、神様の道から一歩たりともすべり落ちたりしませんでした。 6 なぜ、私はこのように祈っているのでしょう。 お答えがいただけると信じているからです。 ああ神様! どうかこの祈りを聞いてください。 7 ああ、敵から助け出されたいと願う者すべての救い主よ。 その大いなる愛を、目をみはるほどに見せてください。 8 私をひとみのように守り、御翼の陰にかくまってください。 9 敵は殺意をいだいて私を取り囲んでいます。 10 情け知らずで、横柄なやつらです。 豪語する彼らの声に耳を傾けてください。 11 私を追いつめ、今にも地面に投げつけんばかりです。 12 私を引き裂こうと目を光らせるライオン、チャンスをうかがって待ち伏せる若いライオンのようです。 13-14 主よ、立ち上がり、対戦してください。 彼らを追い返してください。 早くおいでになって、地上の利得しか眼中にないこの世の人々から、救ってください。 彼らの家には神様の宝がうなっているので、子々孫々栄えています。 15 しかし、私の関心は富にはなく、神様を見ているかどうか、また、神様との間がうまくいっているかどうかにあります。 天で私が目覚める時、この上ない満足感にひたるでしょう。 神様の御顔をじかに見るからです。主が、サウルをはじめとする多くの敵から救い出してくださった時、ダビデはこの歌を書きました。

詩篇 18

1 主よ。 どれほどお慕いしていることでしょう! こんなにもすばらしいことをしてくださった主を。 2 主は、安心して立てこもれるとりでです。 だれ一人、そこまで入って来て、私を殺すことはできません。 主は、身を隠すのに絶好の険しい山、私の救い主、だれも近づくことのできない岩、安全を保証する塔です。 また私の盾、めっぽう強い闘牛の角です。 3 私はただ、主に叫び求めさえすればよいのです。 そうすれば、あらゆる敵から助けてくださいます。 ああ、主をほめたたえよ。 4 死の鎖が私に巻きつき、滅びが洪水のように押し寄せてきました。 5 私は罠に落ち、助けてくれる人もなく、死へと引きずり込む綱の力に抵抗してもがきました。 6 力尽きる思いの中で、私は主の助けを叫び求めました。 その声を、主は天から聞いてくださいました。 叫びは届いたのです。 7 その時、大地は大揺れに揺れ、山々は震えわななきました。 その揺れ方といったらありません。 神様のお怒りのせいです。 8 神様の口からはすさまじい炎が吹き出して、地を焼き尽くし、鼻からは煙が立ちのぼりました。 9 主は天を押し曲げて降りて来て、私を救ってくださいました。 御足の下には、暗やみがたちこめていました。 10 主はケルビム(天使)にまたがり、風を翼とし、矢のように速く、助けに来てくださいました。 11 暗やみを身にまとい、一寸先もわからない濃い黒雲におおわれて、近づいてくださいました。 12 突然、いなずまと雹の嵐を伴って、お姿が、雲間から輝きました。 13 雷のような声が天空にとどろき、神の中の神がお語りになったのです。 ああ、雹が。 そして、火が! 14 主はいなずまを恐怖の矢として放ち、私の敵をかき乱しました。 あの逃げ惑うさまを見てください。 15 主よ、ご命令のままに海の水は引き、あなたのすさまじい鼻息で、海の底はむき出しになりました。…

詩篇 19

1 天は、神様の栄光を物語る、神様の手になる傑作です。 2 そして、昼となく夜となく、神様について語り続けます。 3-4 大空は、音もことばもなく、静まり返っているのに、その意味するところは全世界に知られます。 太陽は神様の定めた空間を回ります。 5 結婚式の花婿のように晴れ晴れと、競技を待ちわびる選手のようにうれしげに、大空を闊歩します。 6 天の端から端まで渡り、その熱を免れるものは何一つありません。 7-8 神様のおきては完全無欠です。 私たちを守り、賢くし、喜びと光を与えます。 9 そのおきては純粋で、正しく、すたれることがありません。 10 また、金よりも慕わしく、蜜ばちの巣からしたたる蜜よりも甘いのです。 11 それは、危険に近づくなと警告し、従う者には祝福を約束するからです。 12 しかし、心にひそむ罪を、どうして知りえましょう。 どうか、隠れた罪からもきよめてください。 13 故意に悪に走ることからも引き止め、守ってください。 そうすれば、私は過ちを犯さず、大きな罪からも逃れることができます。 14 私の口のことばと、秘めた思いが、神様に喜ばれますように。ああ、私の岩、私の救い主、主よ。

詩篇 20

1 苦難の日に、神様があなたとともにおられますように! ヤコブの神が、いっさいの危険から守ってくださいますように。 2 主がシオン(エルサレム)の聖所から、助けの手を伸べてくださいますように。 3 あなたのささげ物、完全に焼き尽くすいけにえを、喜んで心に留めてくださいますように。 4 あなたの願いをかなえ、計画をことごとく実現させてくださいますように。 5 あなたの勝利の知らせが伝わると、喜びの声がわき上がり、神様があなたのためになさったすべてを記念して、神様をたたえる旗が高く掲げられますように。 あなたの祈りが、ぜんぶ答えられますように! 6 神様が王をお救いになるのを、今こそ知りました。 神様は高い天から答えて、大勝利をもたらしてくださいます。 7 他の国々は軍隊や武器を誇りますが、私たちは私たちの神、主を誇ります。 8 国々はやがて衰え、滅びます。 しかし、私たちは立ち上がり、大地に根を下ろしてびくともしません。 9 ああ主よ、王に勝利をお与えください。 どうか、この祈りをお聞きください。