コリント人への第二の手紙 6

1 私たちは、神様と共に働く者として、お願いします。 神様の大きな恵みに関する、すばらしい知らせを聞き逃さないように、気をつけてください。 2 神様はこう言われるからです。 「歓迎の門が大きく開かれている恵みの時に、 あなたの叫びはわたしに届いた。 救いが差し出されている日に、 わたしはあなたを助けた。」 まさしく今、神様はあなたがたを、喜び迎えようとしておられます。 今日、救おうとしておられます。 3 私たちの行動が、だれかをつまずかせたり、主との出会いを妨げたりすることがないように、生活態度には気をつけています。 私たちの欠点が、主を非難する口実に用いられたら大変だからです。 4 事実、あらゆる点で、自分がほんとうに神様に仕える者であることを示そうと努めています。 次から次へと襲ってくる悩み、苦しみ、困難にも、しんぼう強く耐えています。 5 むちで打たれたことも、投獄されたことも、怒り狂う暴徒に取り囲まれたこともありました。 ある時は力尽きるまで働き、ある時は一睡もせずに夜を明かし、また食べる物のない日もありました。 6 健全な生活と良い知らせに対する理解と、忍耐とによって、自分の口に偽りがないことを証明してきました。 いつも親切にし、愛に富み、聖霊様に満たされてきました。 7 何をするにも、神様の力に助けられて、真実を貫いてきました。 神様を敬う人に備わる、すべての武器――防衛と攻撃の武器――を、いつも手にしていました。 8 人に尊敬されようと軽べつされようと、あるいは非難されようと賞賛されようと、主への忠誠に変わりはありません。 人からはうそつきと呼ばれようと、私たちは正直です。 9 この世から無視されても、私たちは神様に認められています。死に直面しながら生きていても、こんなに生き生きしています。 傷つけられたこともありますが、死を免れてきました。 10 心に痛みがありますが、主の喜びも同時に持っています。 貧しくても、ふんだんに霊の贈り物をしています。 何も持っていなくても、あらゆるものに満たされています。 11 愛するコリント教会の皆さん。 私は心にあることをみなお話ししました。 私は心の底から、あなたがたを愛しているのです。 12 今なお私たちの間に冷たいものがあるとしても、私に愛が欠けているせいではありません。 あなたがたの愛があまりにも少なくて、私まで届かないのです。 13…

コリント人への第二の手紙 7

1 愛する皆さん。 私たちは、このようにすばらしい約束を与えられているのですから、肉体と霊を汚すいっさいの悪ときっぱり縁を切って、自分をきよめようではありませんか。 そして心から恐れかしこみつつ、ただ神様だけに、自分をささげようではありませんか。 2 どうか、もう一度心を開いてください。 だれ一人、私たちから害を受けた人はいないはずです。 また、惑わされた人もいません。 私たちがだましたことも、人をうまく利用したこともありません。 3 あなたがたをしかったり、責めたりするつもりで、こう言うのではありません。 前にも言ったように、私はいつも心の中であなたがたのことを思い、あなたがたと生死を共にしているのです。 4 限りない信頼を寄せ、あなたがたを、たいへん誇りに思っています。 おかげで大いに勇気づけられました。 さまざまの苦しみの中でも、いつも幸福でした。 5 マケドニヤに着いた時、私たちには、少しの安らぎもありませんでした。 外側には四方八方に困難が立ちふさがり、内側は恐れと不安でいっぱいでした。 6 その時、意気消沈している者を励ましてくださる神様は、テトスの到着によって、元気づけてくださいました。 7 また、テトスの到来もさることながら、彼があなたがたのところですばらしい時を過ごしたと聞いて、とてもうれしく思いました。 あなたがたが、どんなに私の訪問を待ちこがれているか、この前の事件でどんなに嘆き悲しんでいるか、また、どんなに私に忠実であり、心から愛してくれているかを、彼が報告してくれました。 それを聞いて、私はほんとうに喜びました。 8 あの手紙を書き送ったことを、もう後悔してはいません。 実は、あれが、あなたがたをどんなに苦しめたかを知って、一時はとても後悔したのです。 けれども、あなたがたを苦しめたのは、つかの間にすぎませんでした。 9 今では、あの手紙を送ってよかった、と思っています。 苦しませたからではなく、その苦しみのおかげで、あなたがたが神様に立ち返ったからです。 それは、神様がご自分の民に経験させたいと望んでおられる、良い意味での悲しみだったのです。 もうこれで、そちらに行ってきびしくしからないですみます。 10 罪と縁を切らせ、永遠のいのちを求めさせるために、時々、神様は、悲しみを与えます。 そのような悲しみを、嘆いてはなりません。 しかし、クリスチャンでない人の悲しみは、真の悔い改めの悲しみではなく、永遠の死を食い止める力がありません。 11 考えてもごらんなさい。 主が与えられたこの悲しみは、どんなに益となったことでしょう。 あなたがたはそこで絶望せず、かえって、私が手紙で指摘した罪を取り除こうと、真剣に誠意をもって、しかも熱心に努力しました。 あんな出来事が起こったことに恐れをいだき、私の来訪と助けとを心から願うに至りました。 正面からこの問題に取り組み、罪を犯した者を処罰して、問題を解決しました。 実際、事態を正しく処理するために、あなたがたは、できる限りのことをしたのです。 12 あの手紙は、あなたがたが、どんなに私たちのことを心にかけていてくれるか、主の前で明らかにするために書きました。 実は、これこそ、例の罪の張本人や被害者である父親を助けること以上に、私が願ったことなのです。 13 こうして、あなたがたの愛を知り、私たちは大いに勇気づけられました。 その上、テトスの喜びが加わって、喜びも倍増しました。 あなたがたがテトスをあたたかく迎え入れ、くつろがせてくれたおかげです。 14 テトスの出発前に、私は、あなたがたのことを誇りに思っていると話しておきましたが、よくぞ信頼にこたえてくれました。 私はいつも真実を語ってきましたが、テトスに誇ったことも、うそではなかったと証明されたのです。 15 テトスは、あなたがたが彼のことばに喜んで耳を傾け、非常な心づかいと深い関心をもって受け入れてくれたことを思い出しては、今まで以上に、あなたがたへの愛を深めています。…

コリント人への第二の手紙 8

1 ところで、神様が、マケドニヤの諸教会にどんな恵みを施されたか、お知らせしたいと思います。 2 多くの試練や困難のただ中にあったマケドニヤの諸教会が、ひどい貧しさにもかかわらず、喜びに満ち、その結果、惜しみなく、あふれるほど他の人々に施すようになりました。 3 自分たちの力に応じてささげたばかりでなく、力以上にささげました。 誓ってもいいのですが、私がやかましく催促したからではなく、自発的にそうしたのです。 4 「エルサレムのクリスチャンを援助できるなんて光栄です。 ぜひその献金の仲間に入れてください」と、熱心そのものでした。 5 何よりもすばらしいのは、彼らが期待をはるかに超えることをしてくれた点です。 まず、自分自身を主にささげ、また私たちにもゆだねてくれました。 つまり、神様が私たちを通して、どんなことをお命じになっても、それに従うためです。 6 このような献金に対する彼らの熱意を見て、私たちはテトスに、あなたがたのところへ行くよう強く勧めたのです。 初めに献金を勧めたテトスが、この際、あなたがたを励まして、献金の奉仕を完了させるのがよいと思ったからです。 7 あなたがたは、多方面にわたって指導的立場にある人々です。 あつい信仰も持っています。 すぐれた説教者も大ぜいいます。 広い知識、燃えるような熱心、私たちに対するあふれるほどの愛も持っています。 そこで今、喜んでささげるという精神においても、指導者になっていただきたいのです。 8 これは命令ではありません。 献金しなければならない、と言っているのではありません。 ただ、ほかの人々の献金に対する熱心さを話しているのです。 でも、この献金の奉仕は、あなたがたの愛が、単に口先だけにとどまらず、真実のものだと証明する、一つの手段にはなるでしょう。 9 あなたがたは、主イエス・キリストが、どんなに愛と恵みに満ちておられたかを知っています。 あれほど富んでおられた主が、あなたがたを助けるために、あれほど貧しくなられました。 その貧しさによって、あなたがたを富む者とするためでした。 10 一年前に始めたことを、この際、やり遂げてみたらどうでしょう。 この献金を最初に申し出たのも、最初に実行に移したのも、あなたがたなのですから。 11 あんなに熱意をもって始めたのですから、自分の持っているものの中から、ささげられるものは、みなささげ、喜んでこの計画を完成すべきです。 最初の熱意が、現在の行動にも現われてほしいものです。 12 ささげる熱意がほんとうにあるなら、いくらささげるべきかは、問題ではありません。 神様は、持っていないものまで、ささげるようにとはおっしゃいません。 13 私は、献金を受ける人たちが、あなたがたの犠牲によって楽をするのは当然だと言っているのではなく、 14 両者が分け合うべきだと言っているのです。 現在あなたがたは豊かなので、彼らを援助できます。 そして、今度いつか、あなたがたに助けが必要な時は、彼らが助けてくれるでしょう。 こうして、互いに、必要なものを受け取るのです。 15 このことについて、旧約聖書に何と書いてあるか、覚えていますか。 「多く集めた者も余ることがなく、少ししか集めなかった者も足りないことがなかった」とあります。 ですから、困っている人たちと分け合いなさい。…

コリント人への第二の手紙 9

1 神の民である人々を援助することについては、今さらとやかく言う必要はありません。 2 その件についての、あなたがたの熱心さを知っているからです。 一年も前から献金を送る準備を進めてくれていることを、私はマケドニヤの友人たちに誇ってきました。 実際、その影響を受けて、多くの人が、他者への援助を始めたい気持ちに駆り立てられたのです。 3 ところで、今度、この友人たちに行ってもらうことにしたのは、私の誇りどおり、あなたがたが、ほんとうに献金をすっかり集めて準備しているか確かめるためです。 私の自慢が今度は当てはずれになった、などということのないよう願っているのです。 4 もしマケドニヤの人たちが私といっしょに行って、あなたがたが、まだ準備していないのを見たら、どうでしょう。 あれだけ信じきっていた私は、赤恥をかくことになるでしょう。 そしてもちろん、あなたがたも、恥ずかしい思いをするでしょう。 5 そこで、あなたがたが前に約束した贈り物の準備が、すっかり整っているかどうか見るために、この友人たちにお願いして、先発隊として行ってもらうことにしました。 それが真心からの贈り物であって、強制されたものでないようにと願っています。 6 しかし、次のことは心にとめておいてください。 すなわち、少ししか与えない者は、少ししかもらえない、ということです。 少ししか種をまかない農夫は、わずかの収穫しかあげられません。 たくさんまけば、たくさん刈り取ります。 7 いくらささげたらよいかは、各自が決めるべきです。 自分はこれだけささげようと思っている人に、もっとたくさんささげるように強制してはいけません。 神様にとっては、喜んで与えるかどうかが大事なのです。 8 神様は、必要なものは何でもあり余るほど与えて、不足がないようにしてくださいます。 それで、必要が満たされたあと、なお十分な余裕があるので、他の人々に喜んで分けることができるのです。 9 聖書にこう書いてあるとおりです。 「神を敬う人は、貧しい人々に惜しみなく与える。 その良い行ないは、永遠に名誉となる。」 10 農夫にまく種を与え、そのあとに、食べるための収穫物をふんだんに与えてくださる神様は、あなたがたにも、まく種をもっとたくさん下さり、それをふやしてくださいます。 すると、あなたがたはその収穫の実をもっともっとたくさん、人に与えることができるのです。 11 そうです。 神様からたっぷりいただいたあなたがたは、人にもたくさん贈ることができるのです。 そして、私たちが、その贈り物を必要としている人々に届ける時、そこには感謝が満ちあふれ、あなたがたの援助のゆえに神様への賛美がわき上がるのです。 12 そういうわけで、その贈り物は、二つのすばらしい結果を生み出します。 すなわち、困っている人々が助けられること、そして、彼らの神様に対する感謝の念が満ちあふれることです。 13 援助を受けた人々は、自分たちや他の人々に対する気前のよい贈り物に大喜びするだけでなく、あなたがたが教えに忠実に行動している証拠を見て、神様をあがめることでしょう。 14 また、あなたがたを通して神様のすばらしい恵みを知り、熱心に真心から、あなたがたのために祈るようになるでしょう。…

コリント人への第二の手紙 10

1 お願いがあります。 このパウロが、キリスト様の態度にならって、おだやかにお願いします。 あなたがたの中には、今でも、「パウロは遠く離れていると、ずいぶん強気じゃないか。 ところが面と向かうと、大きな声も出せないほど、弱気になるんだからなあ」と言っている人がいます。 2 私がそちらに行って、わざわざ、きびしく大胆にふるまってみせなくてもすむように、と願っています。 もっとも、私の言動が普通の人間と少しも変わらないと、たかをくくっている人々に対しては、きびしく大胆にふるまうつもりですが……。 3 私がごくあたりまえの弱い人間であることは事実です。 しかし私は、戦いに勝つために、人間的な計画や方策を用いません。 4 悪魔の要塞を打ち破るために、人間の手によらない、神様の強力な武器を使います。 5 この武器は、神様に逆らう、あらゆる高慢な議論と、人々の目から神様を隠している、あらゆる壁を打ち砕きます。 この武器を用いて、私は、反抗する者を捕虜として神様に連れ戻し、回心させて、キリスト様に従わせます。 6 まず、あなたがたにこの武器を向け、キリスト様に従わせたあとで、残りのすべての反抗する者に、挑戦するのです。 7 あなたがたは私を、弱々しく無力な人間だと思っています。 それが問題なのです。 うわべしか見ていません。 けれども、もし必要があれば、私だってキリスト様の力と権威を見せることができるのです。 8 あなたがたに対する権威――それは人を助けるためのものであり、傷つけるためではありません――を、必要以上に誇っているように見えるかもしれません。 しかし、それについては多少誇りすぎても、恥とはならないでしょう。 9 こう言うのも、手紙での叱責が、ただの脅しと受け取られたくないからです。 10 こう言う人もいます。 「パウロの手紙なんか気にするな。 偉そうなことを言っても、口先だけさ。 実際に会ってみればよくわかるよ。 いかにも頼りなげで、あれほどへたな説教者はいないな。」 11 こんな人たちに対しては、今度そちらに行ったら、手紙の文面どおり、きびしくふるまうつもりです。 12 よく、自分はたいへんすぐれた人物だと、自己宣伝をする人がいますが、私は、そのまねをするつもりはありません。 彼らは、ただ、お互いに比較し合ったり、つまらない尺度で、自分を評価したりするのです。 なんてばかげたことでしょう! 13 しかし私たちは、持ってもいない権威を誇るようなことはしません。 私たちの目標は、神様が立ててくださった計画を実行することです。 それには、そちらであなたがたのために働くことも含まれています。 14 私たちは、自分の分もわきまえずに、権威をふり回しているわけではありません。 キリスト様についての良い知らせを、最初にあなたがたに伝えたのは、私たちなのですから。 15 ほかの人の業績を、自分のものだと主張しているのではありません。 ただ、あなたがたの信仰が成長し、〔私たちに許された限度内であっても〕あなたがたの間での私たちの働きが、大いに広がることを望んでいるのです。…

コリント人への第二の手紙 11

1 私が愚か者のように話し続けるのを、こらえてください。 私の心のうちを、我慢して聞いてください。 2 神様の深い思いやりをもって、あなたがたのことを心にかけています。 ちょうど清純なおとめが、やがて夫となる人に愛をささげるように、あなたがたが、ただキリスト様だけをひたむきに愛するよう願っているのです。 3 しかし、エバがエデンの園でサタンに惑わされたように、キリスト様に対する、きよい純真な献身の思いが消えてしまうのではないかと、心配でたまりません。 4 あなたがたときたら、どうもだまされやすくて……。 だれかが、私たちの伝えたのとは違う教えを伝えたり、あなたがたが受けた聖霊様とは違う霊を伝えたり、あなたがたが救われたのとは違う救いの道を教えたりしようものなら、それを信じてしまうのですから。 5 けれども、そんなお偉い自称「神の使者たち」が私よりすぐれているとは思いません。 6 たとい口べたであっても、少なくとも、自分が話している内容は、よく知っています。 それは何度も証明してきたことなので、もうよくわかっていることと思います。 7 あなたがたから何の報酬も受けずに、神様の良い知らせを宣べ伝えたことは、まちがいだったのでしょうか。 そのために自分を安っぽく見せて、見下げられてしまったのでしょうか。 8-9 何の負担もかけないで奉仕したいと、あなたがたのところにいる間、他の諸教会から送ってもらって、つまり「奪い取って」、その費用をひねり出していたのです。 それが底をついて、食べる物に事欠いた時も、あなたがたにはいっさい要求しませんでした。 マケドニヤのクリスチャンたちが、別の贈り物を持って来てくれたからです。 あなたがたに、ただの一円も求めたことのないこれまでと同様、今後もそのつもりでいます。 10 このことは、あらん限りの真実にかけて、ギリシヤに住むすべての人に約束します。 11 なぜそうするのでしょう。 あなたがたを愛していないからだとでも? とんでもない。 どれほど愛していることか! 神様がご存じです。 12 しかし、今のやり方を、これからも続けるつもりです。 それは、私たちと同じように神様のために働いている、と誇る人たちの根拠を、くつがえすためです。 13 彼らは、決して神様から遣わされた者ではありません。 「ぺてん師」です。 人をだまして、てっきりキリスト様の使徒だと思い込ませるのです。 14 しかし、今さら驚きもしません。 サタンでさえ、光の御使いに変装できるのです。 15 ですから、サタンの手下どもがまねして、敬虔な牧師になりすましたとしても、別段、驚くことはありません。 最後には、その悪事にふさわしい罰を、徹底的に受けるのです。 16 もう一度お願いします。 こんなことを言う私が、理性を失ったなどとは、思わないでください。 しかしまた、それならそれで、「理性を失った愚か者」のことばに、とにかく耳を傾けてください。 あの人たちみたいに、私も少しばかり誇ってみせます。…

コリント人への第二の手紙 12

1 こんな自慢話は全くばかげていますが、もう少し我慢してください。 私の見た幻と、主から示されたことについてお話ししたいのです。 2-3 十四年前、私は天に引き上げられました。 肉体のままか、それとも霊だけがか、なんてことは、聞かないでください。 私にはわからないのです。 答えられるのは、神様お一人です。 しかしいずれにしても、私はパラダイスに引き上げられたのです。 4 そこで、人間にはとうてい表現できない、驚くべきことを耳にしました。 〔とにかく、その内容を人に話すことは、禁じられています。〕 5 こんな経験こそ、自慢するに値します。 しかし、自慢しようとは思いません。 私が誇ろうとしているのは、自分の弱さと、そして、こんなに弱い私を、ご自分の栄光のために使ってくださる、神様の偉大さだけです。 6 私には誇るべきことが、たくさんあるのですから、たとい誇っても、愚か者にはならないでしょう。 しかし私は、だれにも、私の生活やことばから実際に見聞きする以上に、買いかぶってほしくないのです。 7 このことも、つけ加えておきましょう。 この経験があまりにすばらしかったので、神様は、私が高ぶってはいけないと心を配られました。 それで、肉体に一つのとげを与えられたのです。 それは、高慢にならないように、苦痛を与え、悩ますための、サタンの使いです。 8 私は、もとどおりに回復させてくださいと、三度も神様にお願いしました。 9 そのつど返ってくる答えは、こうでした。 「いや、治すまい。 しかし、わたしはあなたと共にいる。 それで十分ではないか。 わたしの力は弱い人にこそ、最もよく現われるのだから。」 今では、私は、自分の弱さを喜んで誇ります。 力や才能を見せびらかすのではなく、喜んでキリスト様の力の生き証人になりたいのです。 10 すべてはキリスト様のためであることを知っているので、その「とげ」も、侮辱も、苦しみも、迫害も、困難も、大いに喜んでいます。 なぜなら、弱い時にこそ、私は強いからです。――無力であればあるほど、それだけしっかりと、キリスト様によりすがるようになるからです。 11 結局、私を、自慢ばかりする愚か者にしてしまいましたね。 ほんとうは、こんなに私に書かせるべきではなく、あなたがたが私のことを書くべきなのです。 たとい私が全く価値のない者であるとしても、あのお偉い先生方と比べて、劣る点は何一つありません。 12 私はあなたがたのところで、自分がほんとうに神様から遣わされた使徒である証拠を、すべて明示したではありませんか。 つまり、多くの驚くべきこと、しるし、力ある働きを、忍耐強く行なったのです。 13 私がほかのどの教会の場合とも違って、あなたがたには、しなかったことが、一つだけあります。 負担をかけなかったことです。 食物や住む場所のことで、何一つやっかいになりませんでした。 この不公平については、どうか赦してください。 14 今、私はあなたがたのところに行こうと、三度目の計画を立てています。 今度も、あなたがたには負担をかけないつもりです。 私がほしいのは、お金ではなく、あなたがた自身だからです。 いずれにしても、あなたがたは私の子供です。 小さな子供は親を食べさせる必要はありません。 その逆です。 親が子供を食べさせるのです。 15 私はあなたがたを霊的に養うためなら、喜んで自分自身でも持ち物すべてでも、すっかり差し出します。 たとい、私が愛すれば愛するほど、ますます、うとまれるようになっても、そうします。 16 あなたがたの中には、こう言っている人がいます。「確かに、パウロは来ても、何の負担もかけなかったように見える。 だが、あいつは卑劣なやつだから、きっと陰で、うまいこと金をまきあげていたに違いない。」…

コリント人への第二の手紙 13

1 あなたがたのところへ行こうとするのは、これで三度目です。 旧約聖書には、「二人か三人に目撃された悪事は罰せられなければならない」とあります。 〔ところで、これは、今度の訪問にあたっての、三度目の警告です。〕 2 私は、前回の滞在中、前から罪を犯していた人たちに、すでに警告しておいたはずですが、今また、彼らばかりか、あなたがた全員にも、同様に警告します。 今度あったら、きびしく罰するつもりです。 容赦はしません。 3 あなたがたは、キリスト様がほんとうに私を通して語っておられるかどうか、知りたいのでしょうから、その証拠を示します。 キリスト様は、あなたがたに弱い態度をとられるのではなく、あなたがたの内部で強大な力を発揮なさいます。 4 キリスト様の人間としての弱い体は、十字架上で死にました。 しかし今や、キリスト様は、神様の偉大な力を受けて生きておられます。 私たちもキリスト様同様、肉体的には弱い者でしたが、今はまた、キリスト様に似て、強く生きる者となっています。 そして、あなたがたに対処するに十分な神の力を、いただいているのです。 5 よくよく自分を吟味しなさい。 ほんとうにクリスチャンだと言えますか。 クリスチャンとしてのテストに合格していますか。 自分の内に住まれるキリスト様と、そのあふれる力とを、いよいよ強く実感していますか。 それとも、事実とは裏腹に、ただクリスチャンのふりをしているだけですか。 6 私たちはこのテストに合格し、確実に主のものとなっています。 このことを、あなたがたに認めてほしいのです。 7 あなたがたが正しい生活をするように祈っています。 それは、私たちの教えの正しさが証明され、面目を施したいからではありません。 たとい私たちは軽べつされようとも、あなたがたには、正しい行ないをしてもらいたいからです。 8 私たちの務めは、いついかなる時にも、正しいことを勧めることであって、悪を望むことではありません。 9 自分は弱くて軽べつされても、あなたがたがほんとうに強くなってくれれば、うれしいのです。 最大の願いと祈りは、あなたがたが一人前のクリスチャンになってくれることです。 10 今この手紙を、そちらに行って、しかったり罰したりしないですむようにと願いつつ、書いています。 私に託されている主の権威を、あなたがたを罰するためにではなく、強くするために使いたいからです。 11 最後に、次のように書いて、筆を置きます。 喜びなさい。 キリスト様に属する者として成長しなさい。 私のことばを心にとめなさい。 互いに仲よく、平和に過ごしなさい。 どうか、愛と平和の神様が、あなたがたと共にいてくださいますように。 12 主にあって、互いに親しみをこめて、あいさつを交わしなさい。 こちらのクリスチャン全員が、心からよろしくと言っています。 13…

ガラテヤ人への手紙 1

1-2 伝道者パウロと、こちらにいるクリスチャン全員から、ガラテヤの諸教会の皆さんへ。 私は、どこかの団体から伝道者に任命されたのではありません。 イエス・キリストと、彼を死人の中から復活させた父なる神から、直接任命されたのです。 3 どうか、父なる神と主イエス・キリストが、平安と祝福をあなたがたに与えてくださいますように。 4 キリスト様は、父なる神の計画どおり、私たちの罪のために死に、この悪の世界から、救い出してくださいました。 5 この神様に、すべての栄光が世々かぎりなくありますように。 アーメン。 6 私は、こんなにも早く、あなたがたが神様から離れていくことに驚いています。 神様はあなたがたに、キリスト様を通して永遠のいのちを与えようと、愛と恵みをもって招いてくださったのではありませんか。 それなのに、もうあなたがたは、別の「天国への道」に踏み込んでいます。 そんなものは、全く天国への道からかけ離れています。 7 私が教えた道が、唯一の天国への道なのですから。 あなたがたはキリスト様に関する真理をゆがめ、変質させる者たちに、だまされているのです。 8 私たちが伝えた救いの道以外の道を説くような者は、だれでも――この私であろうと――神様にのろわれるべきです。 そうです。 天から下って来た御使いであっても、永遠にのろわれるべきです。 9 もう一度言います。 だれであっても、あなたがたが受けた良い知らせとは違うものを伝えるなら、神様にのろわれるべきです。 10 おわかりと思いますが、私は、甘いことばやおせじで、人の歓心を買おうとはしません。 ただ、神様に喜ばれようとしているのです。 もし私が今もなお、人の歓心を買いたがっているのなら、キリスト様に仕える者とはなれません。 11 愛する皆さん。 これは厳粛なことなのですが、私が伝えた天国への道は、単なる人間の思いつきや夢に基づくものではありません。 12 イエス・キリストから示された教えにほかなりません。 語るべきことは、イエス・キリストが教えてくださったのです。 この方以外のだれからも、指示されたわけではありません。 13 以前、ユダヤ教徒であったころの私については、よくご存じのことでしょう。 情け容赦なくクリスチャンを追い回して迫害し、その壊滅に全力を尽くしました。 14 国中捜しても、同年輩で、私ほど熱心なユダヤ教徒はいなかったでしょう。 とにかく、古くからある、先祖伝来のユダヤ教の規則を全部守ろうと、やっきになっていました。 15 ところがその時、あることが起こったのです。 生まれる前から、私をご自分のものとして選んでおられた神様が、驚くべき愛と恵みをもって、召し出してくださったのです。 16…

ガラテヤ人への手紙 2

1 それから十四年たって、私はもう一度、エルサレムに上りました。 その時はバルナバもいっしょで、テトスも同行させました。 2 このエルサレム行きは、神様からの明確な指示に基づいたもので、私が外国人に伝えている教えについて、エルサレムのクリスチャンと話し合うのが、目的でした。 私は、教会の指導者たちと個人的に話し合いました。 それは、私の教えてきた内容を、正しく理解してもらい、また、その正統性を認めてもらいたかったからです。 3 彼らは、それを承認してくれました。 そればかりでなく、私の仲間のテトスにも――彼は外国人であったのに――割礼(男子の生殖器の包皮を切り取る儀式)を強要しませんでした。 4 だいたいこの問題は、いわゆる「クリスチャン」の連中――ほんとうは偽クリスチャンなのですが――さえ、もぐり込んで来なければ、生じなかったはずです。 実は、彼らはスパイのように偵察し、私たちがキリスト・イエスを信じて得た自由がどんなものか、また、はたしてユダヤ教のおきてに従っているかどうかを、探ろうとしていたのです。 奴隷を鎖でつなぐように、彼らの規則で私たちをがんじがらめにしようと、たくらんだわけです。 5 しかし私たちは、ほんの一時も、連中に耳を貸しませんでした。 「割礼を受け、ユダヤ教のおきてを守ることによって救われる」などという考えで、あなたがたを混乱させたくなかったからです。 6 エルサレム教会のおもだった指導者たちも、私の宣べ伝えている内容に、何もつけ加えたりしませんでした。〔ついでに言えば、彼らがおもだった偉い指導者であることは、問題ではありません。 神様の前では、みな同等だからです。〕 7-9 事実、教会の柱として知られている、ヤコブとペテロとヨハネは、外国人を救いに導くために、神様がどんなにすばらしく、私を役立ててくださったか〔ちょうど、ユダヤ人伝道のために、ペテロが大いに祝福され、役立てられたように〕を認めてくれました。 というのも、同一の神様が、私たちに特別の賜物を与えてくださるからです。 彼らは、バルナバと私に握手を求めました。 そして、「われわれは、ユダヤ人を対象として伝道します。 あなたがたは、外国人への伝道をそのまま続けてください」と、励ましてくれました。 10 ただ一つ、貧しい人たちを援助することをいつも忘れないように、との申し出がありましたが、そのことなら、私も熱心に努めてきたところです。 11 ところが、そのペテロがアンテオケに来た時、非常に誤った行動をとったので、私は面と向かって激しく非難しました。 12 実は、ペテロは、初めのうち、割礼にもユダヤ教のさまざまなおきてにも煩わされない外国人のクリスチャンと共に、食事をしていたのです。 ところが、あとからヤコブの友人であるユダヤ人が何人かやって来ると、彼らにとやかく言われるのを恐れて、外国人と食事をするのをやめてしまいました。 そのユダヤ人たちは、おきてを守ることを重んじる形式主義者で、救われるためには割礼を受けなければならない、と主張していたからです。 13 すると、ほかのユダヤ人クリスチャンも、心中うしろめたさを感じるくせに、ペテロのまねをして、本心を偽った行動をし、バルナバまでが、その偽りの行動に巻き込まれてしまいました。 14 私はそれを見て、彼らが自分の信じていることに対して不誠実であり、福音の真理に従っていないことを知りました。 そこで、皆の面前で、ペテロに言ったのです。 「あなたは生まれながらのユダヤ人なのに、もうずっと前から、ユダヤ教のおきてに束縛されないで生きてきたではありませんか。 そのくせ、どうして急に、ここの外国人にそれを守らせようとするんですか。 15 もちろんあなたも私も、生まれながらのユダヤ人で、外国人のような罪人ではありません。 16 けれども、私たちユダヤ人クリスチャンだって、ユダヤ教のおきてを守ることによって、神様の前で正しい者と認められたのではなく、ただ、罪を取り除いてくださるキリスト・イエスを信じる信仰によってのみ、認められたのではありませんか。 だからこそ、私たちもキリスト・イエスを信じたのです。 それは、おきてによってではなく、信仰によって、神様に認められるためです。 おきてを守って救われる人など、一人もいないのですから。」 17 しかし、もし、キリスト様の救いを信じた私たちに、あとになって、それはまちがいだった、やっぱり割礼を受け、ユダヤ教のおきてもみな守らなければ救われない、とわかったとしたら、どうなるでしょうか。 キリスト様を信じたおかげで、さんざんな目に会ったことになるわけです。 しかし、私たちの主に関するかぎり、そんなことは、絶対にありえないのです。…