ヘブル人への手紙 11

1 信仰を、どう定義したらよいでしょう。 それは、願い事が必ずかなえられるという、不動の確信です。 また、何が起こるかわからない行く手にも、望みどおりのことが必ず待ち受けていると信じて、疑わないことです。 2 神様を信じた昔の人たちは、この信仰で名高いのです。 3 信仰によって、すなわち神様を信じることによって、私たちは、この世界と天体のすべてが神様のことばによって造られ、しかもそれらはみな、無から創造されたことを知るのです。 4 アベルが神様の命令に従い、カインより、はるかに神様に喜ばれる供え物をささげたのは、信仰があったからです。 アベルの供え物が喜ばれたのは、神様が彼を受け入れてくださったことの証明にほかなりません。 アベルは、はるか昔に死にましたが、今なお彼から、神様への信頼について、多くの教訓を学べます。 5 エノクも、神様に信頼しました。 それで神様は、死を経験させずに、彼を、天に引き上げてくださいました。 神様が連れ去ったので、彼は、突然、姿を消したのです。 神様は、ご自分がどんなにエノクを大切に思っているかを、前々から告げておられました。 6 信仰がなければ、神様に喜ばれることはできません。 神様のもとに来ようとする人はだれでも、神様の存在と、熱心に神様を求めれば必ず報いられることとを、信じなければなりません。 7 ノアも、神様を信じた人です。 将来の出来事について、神様から警告を受けた時、洪水のきざしなど何一つなかったにもかかわらず、そのことばを信じました。 そして、時をむだにせず、すぐに箱舟の建造に取りかかり、家族を洪水から救いました。 神様を信じたノアの態度は、当時の人たちの罪や不信仰と比べて、ひときわ輝いています。 この信仰のゆえに、ノアは、神様に受け入れられたのです。 8 アブラハムは神様を信じました。 ですから神様に、生まれ故郷を離れて、新しく与えられる地に向かうようにと指示された時、そのことばに従いました。 彼は、行く先も知らずに出て行ったのです。 9 そして、神様の約束された地に入ったあとも、外国からの旅行者のように、天幕生活を送りました。 神様から同じ約束を受けた息子のイサクと孫のヤコブも、この地で、同様に天幕生活を送りました。 10 アブラハムがこうした生活に耐えられたのは、揺るがぬ土台を基とした天の都に、神様は必ず連れて行ってくださると確信して、待ち望んでいたからです。 その天の都を設計し、建設されたのは、神ご自身にほかなりません。 11 アブラハムの妻サラの信仰も、すばらしいものでした。 サラはすでに年老いていたにもかかわらず、母親になることができました。 神様の約束は必ず実現すると、堅く信じていたからです。 12 このようにして、年を取りすぎ、子供を生むことなど、全く絶望と思われていたアブラハムから、天の星や海辺の砂のように、数えきれないほどの子孫が生まれたのです。 13 信仰に生きたこの人たちは、神様が約束されたものを手にしてから、死んだのではありません。 しかし彼らは、約束のものが待ち受けているのを見て、心から喜びました。 この地上がほんとうの故郷ではなく、自分がほんのつかの間、ここに滞在する旅人にすぎないことを、自覚していたのです。 14 そう認めた時、彼らは心から、天にある故郷を慕い求めました。 15 もし彼らに、この世の魅力ある生活に帰る気があったら、いつでも帰れました。…

ヘブル人への手紙 12

1 このように、数えきれないほどの信仰の勇者が、競技場の正面観覧席で、私たちの競技を見つめているのです。 だから、スピードを落とさせたり、うしろへ引き戻そうとする力に目を光らせなさい。特に、足にうるさくまつわりついて、つまずかせようとする罪をふり捨てなさい。 そして、神様の用意された特別のコースを、忍耐して走り抜こうではありませんか。 2 私たちの指導者であり教師であるイエス様から、目を離さないようにしなさい。 イエス様は十字架の死のあとの喜びを知って、恥をもいとわず十字架にかかられました。 そして今は、神様の王座の隣、名誉ある座についておられるのです。 3 気力を失い、弱り果てることがないように、いつも、罪人の恐ろしい仕打ちを忍ばれた、イエス様のことを思っていなさい。 4 あなたがたは、罪や誘惑と戦っています。 けれどもまだ、血を流すほどのきびしい戦いを、経験したことはありません。 5 その上、あなたがたは、神様の激励のことばを、すっかり忘れてはいませんか。 神様は、こう声をかけてくださるのです。 「わたしの子よ。 主に懲らしめられて、腹を立ててはなりません。 主にあやまちを指摘されて、気落ちしてはなりません。 6 主が懲らしめるのは、あなたが憎いからではなく、 あなたを愛しているからです。 主がむち打つのは、 あなたが真に神の子供だからです。」 7 進んで神様の訓練を受けなさい。 神様は、父親として当然のことを、子供のあなたがたに、しておられるのです。 父親から一度も懲らしめを受けたことのない子供が、どこにいるでしょうか。 8 神様は、ほんとうの子どもであればこそ、必要に応じて懲らしめるのです。 もしそうでなければ、あなたがたは、ほんとうは神様の家族でないことになります。 9 この世では父親が子供を罰しても、子供から尊敬されなくなるようなことはありません。 だとしたら、私たちは真に生きることを学ぶために、喜んで神様の訓練を受けるべきではないでしょうか。 10 肉親の父親は、私たちの将来のために、ほんの短い間だけ、それも、限られた知識に基づいて、訓練してくれます。 ところが神様は、私たちの最善を願って、神様のきよさを共有させようと、いつも、正当な懲らしめを与えてくださるのです。 11 罰を受けた当初は、だれも気持ちがいいはずはなく、むしろ、傷つけられたと感じるものです。 しかしあとになれば、それが自分の益となり、信仰の面でも、性格の面でも、プラスとなっていることが、わかるのです。 12 ですから、弱った手をしっかり握りしめ、震えるひざをまっすぐにして、立ち上がりなさい。…

ヘブル人への手紙 13

1 真実の兄弟愛をもって、愛し合いなさい。 2 よそから来た人を、親切にもてなしなさい。 中には、そうして、気づかないうちに御使いをもてなした人もいます。 3 獄中にある人たちのことを忘れてはいけません。 その境遇を思って、同じ気持ちになり、苦しみを共に分け合いなさい。 また、しいたげられている人たちの悲しみを、思いやりなさい。 あなたがたは、その苦しみがどんなものか経験ずみなのですから。 4 結婚とその誓約を尊びなさい。 純潔を保ちなさい。 神様は不品行な者、姦淫する者を、まちがいなく、さばかれるからです。 5 お金を愛する心を捨て、現在、与えられているもので満足しなさい。 神様は、こう約束しておられるからです。 「わたしはどんな場合にも、あなたの期待にそむかず、あなたを見捨てない。」 6 ですから、私たちは確信をもって、こう答えることができます。 「主は私を助けてくださいます。 だから、何もこわくありません。 ただの人間が、私にどんな手出しができましょう。」 7 神様のことばを教えてくれた指導者たちのことを、思い出しなさい。 その生活からにじみ出た、すべての良いものに心をとめなさい。 そして、彼らに見ならって、主を信じなさい。 8 イエス・キリストは、昨日も今日も、いつまでも変わることがありません。 9 ですから、いろいろの珍しい教えに心を奪われてはなりません。 あなたがたの霊的な力は、神様からの贈り物であって、ある特定の物を食べる、儀式上の規則によって得られるものではありません。 そのような規則は、たとい厳守しても、その人を助けてくれません。 10 私たちには、キリスト様がいけにえとなられた十字架という祭壇があります。 ユダヤ人のおきてにしがみついて、救いを見いだそうとする人は、この祭壇から助けを受けることはできません。 11 ユダヤ人のおきてによると、大祭司は罪のためのいけにえとして、殺された動物の血を携えて聖所に入りますが、動物の体は、町の外で焼かれることになっています。 12 イエス様も、町の外で苦しみを受けて死なれました。 この、町の外で流された血によって、私たちの罪は洗いきよめられたのです。 13 だから私たちは、町の外に出て〔この世の人たちの関心事をあとにし、人々からさげすまれることも覚悟して〕、キリスト様のはずかしめを身に受け、共に苦しむために、この方のもとに行こうではありませんか。 14 この世は、私たちの住む所ではなく、私たちは、天にある永遠の住まいを待ち望んでいるからです。 15 イエス様に助けられながら、神様のすばらしい御名を宣べ伝えることによって、常に、賛美の供え物をささげましょう。…

ヤコブの手紙 1

1 神様と主イエス・キリストに仕えているヤコブから、国外にいるユダヤ人のクリスチャンに、ごあいさつ申し上げます。 2 愛する皆さん。 あなたがたの人生は、多くの困難と誘惑に満ちていますか。 そうであれば、喜びなさい。 3 行く道の険しさは、忍耐を養う良いチャンスとなるからです。 4 忍耐力を十分に養いなさい。 さまざまな問題が持ち上がった時、そこから逃げ出そうと、もがいてはいけません。 忍耐力が十分身につけば、完全に成長した、どんなことにもビクともしない、ねばり強い性格の持ち主になれるでしょう。 5 神様が何を望んでおられるか知りたいなら、遠慮なく、直接たずねなさい。 神様は喜んで教えてくださいます。 願い求める人には、いつでも惜しみなく、あふれるばかりの知恵を授けてくださるからです。 そのことで、決してとがめ立てはなさいません。 6 ただし、その場合、神様は必ず答えてくださると確信して、願い求めなさい。 疑う心は、風に波立つ水面のようで、少しの落ち着きもありません。 7-8 そんな状態でなした決心は、猫の目のように、くるくる変わる不安定なものです。 必ず与えられるという信仰がなければ、主に何を期待してもむだです。 9 クリスチャンの中で、この世で見下されている人は、かえって、そのことを喜びなさい。 主の目からは、高く評価されているからです。 10-11 また裕福な人は、財産が主にとっては無一文に等しいことを知って、喜びなさい。 金持ちの一生は、真夏の太陽の下で色あせ、美しさを失い、ついには枯れてしまう花のように、はかなく過ぎ去ってしまうからです。 忙しく飛び回っていても、その働きの完成を見ないうちに死ぬことになるのです。 12 誘惑に負けて悪に走らない人は幸いです。 なぜなら、神様を愛する人に約束された、いのちの冠を、ほうびにいただけるからです。 13 悪事に手を出したくなった時、神様から誘惑されたなどと、言ってはなりません。 神様が悪事を望まれるはずはありませんし、また、悪事へ誘ったりもなさるわけもないのです。 14 人は自分の悪い考えや願いに引きずられて、誘惑されるのです。 15 その悪い考えが悪事へと駆り立て、ついには、神様から永遠に引き離される、死の刑罰へと追いやるのです。 16 ですから、愛する皆さん、決して道を誤ってはいけません。 17 すべて良いもの、完全なものは、光を造られた神様から来るのです。 神様には、わずかの変化もくもりもなく、いつまでも輝いているのです。…

ヤコブの手紙 2

1 愛する皆さん。 人をえこひいきし、相手が金持ちか貧しいかによって、態度をがらりと変えながら、どうして臆面もなく、「私は主イエス・キリストを信じています」などと言えるでしょう。 2 たとえば、教会に、りっぱな身なりで高価な金の指輪をはめた金持ちと、みすぼらしい身なりの貧乏人とが、同時に入って来たとします。 3 その時、金持ちには、ちやほやして、教会の特等席へ案内し、貧しい人には、「あんたはあそこに立つか、床にでも座るがいい」と言うなら、どうでしょう。 4 そんな態度は、あなたがたのクリスチャンとしての信仰を、根本から疑わせるものであり、悪い動機にふり回されている証拠です。 5 愛する皆さん、よく聞きなさい。 神様は貧しい人を選んで、豊かな信仰を持つ者としてくださいました。 天国は、そういう人のものです。 それは、神様を愛する者に約束された贈り物だからです。 6 それなのに、あなたがたは、貧しい人を軽べつしたのです。 あなたがたをひどい目に会わせ、裁判所に訴えるのは、金持ち連中ではありませんか。 7 また、あなたがたが仕える、イエス・キリストの尊い名をあざ笑うのも、彼らだと知っているでしょう。 8 「自分を愛し、気遣うように、隣人を愛し、親身になって世話をしなさい」という主の命令を、ほんとうに守っているなら、けっこうなことです。 9 しかし、えこひいきして、金持ちにはおせじを言うなら、主のおきてを破り、罪を犯していることになります。 10 神様のおきて全体を、注意深く守っていても、一点ででもつまずけば、全部破った人と同罪です。 11 なぜなら、「他人の妻と結婚してはならない」と言われた神様は、「殺してはならない」とも要求されるのです。 ですから、ちゃんとした結婚生活を送っていても、だれかを殺せば、それで、おきての全部を破ったことになります。 そして、明らかに罪ある者として、神様の前に立たせられます。 12 あなたがたは、キリスト様の言いつけを守ったかどうかで、判決を下されるのです。 ですから、よくよく注意してものを考え、行動しなさい。 13 思いやりのない人には、容赦なくさばきが下ります。 しかし、情け深い人は、神様にあわれんでいただけるのです。 14 愛する皆さん。 クリスチャンの信仰を持っていると主張しても、他人を見捨てていたら、どうしてその信仰を実証できるでしょう。 そんな信仰では、一人も救えません。 15 あなたがたの中に、着る物ばかりか、その日の食べ物にも事欠いている人がいたとします。…

ヤコブの手紙 3

1 愛する皆さん。 人の欠点をあばくのに、やっきになってはいけません。 自分だって、欠点だらけではありませんか。 たとえば、人よりもすぐれた判断力を持つべき私たち宗教の教師が、もし悪を行なうなら、ほかの人より、はるかにきびしいさばきが下るのは当たり前です。 2 舌を思いどおりコントロールできる人は、すべての点で、自分を完全に制することができる人です。 3 馬を意のままに引き回したい時は、口に、小さなくつわをかけるだけでよいのです。 4 また大きな船も、小さなかじ一つで、どんな嵐の中でも、思いのままに進路を変えることができます。 5 同様に、舌もちっぽけなものですが、使い方を誤ると、途方もなく大きな害を生じます。 小さな火でも、大森林を焼き尽くすのです。 6 舌は炎です。 それは悪のかたまりで、体全体を毒します。 舌には地獄そのものの火が燃えさかり、私たちの人生を、滅びと災いの炎で包み込むのです。 7 人間は、あらゆる獣、鳥、魚、地をはうものをも、思いのままに支配できます。 8 しかし、自分の舌だけは思いどおりにできません。 舌はいつでも、死の毒を吐き出そうと身構えているのです。 9 私たちは、この舌で、ある時は天の父なる神をほめたたえ、またある時は神様に似せて造られた人間をのろいます。 10 つまり、祝福とのろいが、同じ人の口から出ているのです。 愛する皆さん。 こんなことがあっていいでしょうか。 11 同じ泉の水が甘くなったり、苦くなったりするでしょうか。 12 いちじくの木にオリーブの実がなったり、ぶどうの木にいちじくの実がなったりするでしょうか。 もちろん、ありえないことです。 塩水の池から、真水を汲むこともできません。 13 たくさんの善行を施している人は、賢い人です。 しかもその善行を鼻にかけなければ、真の意味での賢さを、身につけていると言えるでしょう。 14 もし自分に、苦々しい思いやねたみや利己心があるとわかれば、決して善人ぶったり、賢さをひけらかしたりしてはいけません。 それは、最もたちの悪いうそをつくことです。 15 ねたみや利己心は、神様からの知恵ではなく、地上のものであり、真理に逆らえとたきつける、悪霊のものです。…

ヤコブの手紙 4

1 あなたがたの口論や争いは、いったい何が原因ですか。 心にうず巻く、悪い欲望から出たものではありませんか。 2 あなたがたときたら、人殺しをしてでも、欲しいものを手に入れたがります。 うらやんでも手に入れることができないと、力ずくででも取ろうとして、けんかになるのです。 結局、原因は、神様に願い求めることを忘れている点にあります。 3 いくら願い求めても、手に入らない場合は、その目的や動機が、まちがっていると考えなさい。 ともすれば、自分を楽しませるだけのものを求めがちだからです。 4 あなたがたは、まるで、夫の敵に媚びるふしだらな妻みたいです。 この世の快楽という、神様の敵と馴れ合うのは、神様を敵に回すことを意味します。 念を押しますが、もし不信仰なこの世の快楽を第一に求めるなら、神様の友になど、なれっこありません。 5 「神様が私たちのうちに住まわせてくださった聖霊様は、ねたむほどの愛をもって、私たちを見守っておられる」と書いてある聖書のことばを、どう理解しているのですか。 6 神様は私たちに、すべての悪い欲望に立ち向かうための強い力を、さらに与えてくださいます。 聖書に約束されているように、神様は、謙そんな者には力をお与えになりますが、高慢な者は敵視なさるのです。 7 ですから、神様の前に謙そんになりなさい。 そして、悪魔に立ち向かいなさい。 悪魔はしっぽを巻いて逃げるでしょう。 8 神様に近づきなさい。 そうすれば、神様も近づいてくださいます。 罪ある人たちよ。 罪の生活から足を洗いなさい。 純粋で真実な心の持ち主だと認めていただけるように、神様への思いで、心を満たしなさい。 9 悪いことをした時には、涙を流して、心から悲しみなさい。 笑いを悲しみに、喜びを憂いに変えなさい。 10 こうして、主の前で、自分がいかにつまらない存在か、いやというほど思い知らされる時、主はあなたがたを助け起こし、力づけてくださるのです。 11 愛する皆さん。 批判や悪口に明け暮れてはいけません。 これが守れないようなら、「互いに愛し合いなさい」という神様のおきてを踏みにじるだけでなく、恐れ多くも、おきてのほうがまちがっていると、さばくことになるのです。 あなたがたのなすべきことは、おきての良し悪しを決めることではなく、それに従うことです。 12 正しくさばくことのできる方は、おきてを造られた神様お一人です。 神様だけが、意のままに、私たちを救ったり、滅ぼしたりなさるのです。 それなのに、あなたは何の権威によって、人をさばいたり、批判したりするのですか。 13 「今日か明日、あの町に出かけ、一年ぐらい腰をすえて、一もうけしてやろう」ともくろむ人よ。 よく聞きなさい。 14 明日どんなことがわが身に起こるか、どうしてわかるでしょう。 あなたがたのいのちは、朝霧のように、はかないものです。 今は見えても、次の瞬間、消えてしまいます。 15 ですから、こう言うべきです。 「もし主がお許しくださるなら、私は、あのこと、このことをしよう。」…

ヤコブの手紙 5

1 金持ちよ、よく聞きなさい。 今や、迫り来るさまざまの恐ろしい災いのために、声をあげて泣き叫びなさい。 2 あなたがたの富は腐り、せっかくの美しい着物も虫に食われて、ぼろぼろになるからです。 3 手持ちの金銀は、たちまち値打を失います。 しかも、そのことが、かえってあなたがたに不利な証拠となり、まるで火のように全身をなめ尽くすでしょう。 今まで後生大事にしてきたものがすべて、やがて到来する審判の日には、このような運命をたどるのです。 4 聞きなさい。 農場労働者の叫び声を。 あなたがたはその労賃を搾取したではありませんか。 彼らの叫びは、万軍の主の耳に達しているのです。 5 この地上でぜいたく三昧に暮らし、ありとあらゆる快楽にふけったあなたがた。 まるで、屠殺場送りになるために、心を肥え太らせてきたようなものです。 6 あなたがたは、自分を守るすべもない善良な市民に、罪をかぶせて殺してきたのです。 7-8 ですから、愛する皆さん。 主が再び来られる時まで、忍耐していなさい。 貴重な秋の収穫を期待する、農夫の忍耐に学びなさい。 勇気を出しなさい。 主は、もうすぐ帰って来られるのですから。 9 皆さん。 互いにぶつぶつ文句を言ってはいけません。 自分だけは、人から非難されない自信でもあるのですか。 見なさい。 偉大な裁判官である主が、すぐそこまで来ておられます。 だから、非難は主にお任せしなさい。 10 どんな苦難の中でもじっと忍耐した、主の預言者を見ならいなさい。 11 彼らは、地上で非常な苦しみに会いましたが、最後まで忠実に主に従いました。 それで今、天国で幸福に満ちあふれているのです。 ヨブは、悲しみの中で主を信じ続けた模範です。 私たちは、ヨブの生き方から、主のご計画の結末には必ず祝福が伴うことを知ったのです。 主は、恵みとあわれみにあふれたお方だからです。 12 しかし、愛する皆さん。 何よりも大切なことは、天にしろ地にしろ、とにかく何を指しても、いっさい誓わないことです。 ただ「はい」、または「いいえ」とだけ言えばいいのです。 誓ったばかりに、罪を犯して、神様のさばきを受けないためです。 13 悩んでいる人がいますか。 その人は、神様に祈り続けなさい。 また、喜んでいる人がいたら、昼も夜も、主を賛美しなさい。 14 病気の人はいませんか。 その人は教会の長老を招き、主が治してくださるように、油を注いで祈ってもらいなさい。 15 その祈りが、信仰によってささげられたものなら、病気は治るでしょう。 主が、病状を回復させてくださるからです。 もし病気の原因が罪によるものなら、主はその罪をも赦してくださいます。 16 ですから、互いに罪を告白し、祈り合いなさい。 正しい人の熱心な祈りには、大きな力があり、驚くほどの効果があります。…

ペテロの第一の手紙 1

1 イエス・キリストの宣教者ペテロから、エルサレムを追われて、ポント、ガラテヤ、カパドキヤ、アジヤ、ビテニヤの各地方に分散したユダヤ人のクリスチャンへ。 2 愛する皆さん。 父なる神は、ずっと昔からあなたがたを選び、自分の子供にしようと、決めておられました。 そして、聖霊様の働きかけにより、あなたがたの心は、イエス・キリストの血によってきよめられ、神様に喜ばれるものと変わったのです。 どうか、神様があなたがたを祝福し、すべての不安と恐れから、解放してくださいますように。 3 主イエス・キリストの父なる神こそ、すべての賞賛を受けるにふさわしい方です。 私たちは、神様の測り知れないあわれみによって、新しく生まれ変わる特権を与えられ、今では神様の家族の一員として、迎えられたのです。 キリスト様が死人の中から復活してくださったおかげで、私たちは永遠のいのちの希望にあふれています。 4 神様は自分の子供たちのために、お金では買えない永遠のいのちを贈る、と約束してくださいました。 それは純粋で、しみ一つない完全な状態で、天に保管されており、絶対に変質したり、腐敗したりしません。 5 神様は超自然的な力によって、あなたがたが、まちがいなく天で永遠のいのちをいただけるよう、守ってくださいます。 あなたがたが、神様を信じているからです。 やがて来る終わりの日に、この永遠のいのちは、あなたがたのものとして、だれの目にも、はっきり示されるでしょう。 6 ですから、心から喜びなさい。 今しばらくの間、地上での苦しみが続きますが、行く手には、すばらしい喜びが待ち受けているからです。 7 これらの試練は、あなたがたの信仰をテストするためにあるのです。 それによって、信仰が、どれほど強く、純粋であるかが量られます。 それはちょうど、金が火によって精錬され、不純物が取り除かれるのに似ています。 しかも神様には、あなたがたの信仰は、金などより、はるかに貴重なのです。 ですから、信仰が火のような試練のるつぼの中で鍛えられ、なお強化されるなら、あなたがたは、イエス・キリストの再び来られる日に、多くの賞賛と栄光と名誉とを、受けることになるでしょう。 8 あなたがたは、イエス・キリストに一度も会ったことがないのに、愛しています。 今、姿を見ているわけでもないのに、信じています。 地上に生きている今も、天からの、ことばに表わせない喜びに満たされ、幸福感に浸っているのです。 9 それだけではありません。 主を信じれば、たましいの救いが与えられるのです。 10 この救いについては、預言者も完全に知っていたわけではありません。 救いの預言はしましたが、それが実際には何を意味しているのか、自分でも、よくわからなかったのです。 11 心の中のキリスト様の霊が、何を語っておられるのか、納得できませんでした。 聖霊様は、やがてキリスト様の身にふりかかる苦難と、それに続く大きな栄光とを書きとめるように、命じられたのです。 彼らは、いったいそれが、いつ、だれに実現するのだろう、といぶかったのです。 12 彼らは、これらが自分たちの時代にではなく、ずっとあとに、すなわち、この時代に実現することを、あとになって知らされました。 そして今やついに、このすばらしい知らせは、私たち全員に、はっきり告げ知らされたのです。 これは、預言者に語られた時と同様、天から遣わされた聖霊様の力によって、伝えられたのでした。 それは、またとない、すばらしいものだったので、天の御使いでさえ、何とかして知りたいと願ったほどでした。 13 そういうわけですから、あなたがたは、イエス・キリストが再び来られる時を、これまで以上の恵みを期待して、真剣に、身を慎んで、ひたすら待ち望むことができるのです。 14 あなたがたは、神様の子供なのですから、神様に従いなさい。 何も知らずに悪事を重ねた昔の生活に、舞い戻ってはいけません。 15 かえって、子供として招いてくださった、きよい神様にならい、あらゆる点できよい行ないをしなさい。…

ペテロの第一の手紙 2

1 ですから、憎むこと、善人ぶること、不正直、ねたみ、陰口をきくことなどはやめなさい。 2-3 すでに、主の恵みといつくしみを経験したのですから、泣いてミルクを欲しがる赤ん坊のように、熱心に救いの完成を祈り求めなさい。 4 キリスト様に近づきなさい。 キリスト様は生ける土台石となり、神様はその上に、神の家をお建てになるのです。 キリスト様を、人々は拒絶しましたが、神様は最も重要な存在として選ばれたのです。 5 そして今、あなたがたは、神の家を建て上げるための生ける石となったのです。 そればかりか、神様のきよい祭司となりました。 イエス・キリストによって、神様に受け入れられたあなたがたは、喜ばれる供え物を神様にささげなさい。 6 旧約聖書にこう書いてあります。 「見よ。 わたしはキリストを、教会の尊い土台石とするために、特に選んで遣わした。 彼に信頼する者は、決して失望しない。」 7 そうです。 キリスト様は、信じる者にとって、何よりも尊いお方です。 しかし、キリスト様を拒絶する者にとっては、どうでしょう。 聖書に、「建築士たちの投げ捨てた石が、家を建てる時になくてはならない土台石となった」と書いてあるとおりです。 8 また、聖書には、キリスト様は彼らにとって、「つまずきの石、妨げの岩」となられた、ともあります。 彼らのつまずきの原因は、神様のことばに耳を傾けず、従おうとしないことです。 それで彼らは、罰を受けて倒れるほかなかったのです。 9 しかし、あなたがたは、そうではありません。 あなたがたは、神様から選ばれた王なる祭司であり、きよい民として、神様のものとされた人たちです。 それはすべて、どうして自分が、暗やみから神様のまばゆいばかりの光へと招き入れられたかを、人々に語り伝えるためなのです。 10 あなたがたは、以前は全くなきに等しい者でしたが、今は神様のものとされています。 以前は神様のいつくしみからは縁遠い者でしたが、今はそのいつくしみによって、生活そのものを変えられています。 11 愛する皆さん。 この地上では、あなたがたは単なる旅人にすぎません。 ほんとうの故郷は天にあるのですから、この世の快楽から遠ざかりなさい。 そんな快楽は、身のためにならず、かえって、あなたがたのたましいに戦いをいどむのです。 12 救われていない人の前では、日常のふるまいに、くれぐれも注意しなさい。 そうすれば、今はあなたがたを疑いの目で見たり、悪口を言ったりしている彼らも、やがて、キリスト様が来られる時には、あなたがたのりっぱな行ないを認めて、神様をほめたたえるでしょう。 13-14 主のために、国家の定めたすべての法律に従いなさい。 主権者である王が定めた法律にはもちろん、王の役人が定めた法律にも、従うべきです。 なぜなら、王に任命された役人の使命は、悪い者を罰し、正しい者に栄誉を与えることだからです。 15 神様が望まれることは、あなたがたの行ないが、良い知らせのすばらしい影響力に目をつぶってあざ笑う者どもに、うむを言わせないほど、りっぱなものとなることです。 16 あなたがたは、法律からも解放された自由人です。 しかし、だからといって、好き勝手なまねをしていいわけではありません。 ただ神様に従うという一点で、自由人であるべきなのです。 17 だれをも尊敬しなさい。 クリスチャンはお互いに深く愛し合いなさい。 神様を恐れ、国家を尊びなさい。…