エレミヤ書 8

1 神様はこうお語りになります。 その時、敵は歴代のユダの王の墓、指導者、祭司、預言者、住民の墓をあばき、 2 骨を掘り出して、わたしの国民が愛して拝んだ太陽や月や星の前にさらす。 骨は再び集められて葬られることもなく、肥やしのように地面にばらまかれる。 3 それでもまだ生き残る者は、わたしが追いやる国で生きのびるより、むしろ死ぬことをひたすら願うようになる。 こう天の軍勢の主は宣告なさいます。 4-5 もう一度、わたしの言うことを伝えよ。 人は倒れたら、起き上がり、まちがった道を歩いていると気づいたら、もと来た道を引き返す。 ところがこの国民は、わたしの警告があるにもかかわらず、悪い道をどんどん進んで行く。 6 わたしは彼らの会話をじっと聞いていたが、いったいどんなことが耳に入ったと思うか。 自分の罪を悔いている者は、一人もいない。 「なんと恐ろしいことをしたのだろう」と言う者は、一人もいない。 みな、戦場に突進して行く馬のように、罪の道を全速力で走って行く。 7 こうのとりは、生まれ故郷に帰る時を知っている。 山鳩、鶴、つばめも同じことで、毎年、神の定めた季節がくると、帰って行く。 しかし、わたしの国民はそうではない。 彼らは神のおきてを受け入れようとしない。 8 どうしておまえたちは、「われわれは神様のおきてを知っている」と言えよう。 なにしろ、教師連中が、そのおきてをひねくり回し、わたしが言ったこともないようなものにしているのだから。 9 このりこうな教師どもは、神のことばを変えた罪のために遠い国へ流され、恥をさらす。 その時になっても、相変わらずりこうだと言えるだろうか。 10 わたしは、彼らの妻と畑をほかの者に与える。 彼らはみな、身分の高い者も低い者も、預言者も祭司も、人のものを自分のふところに入れることだけを目的に生きてきたからだ。 11 彼らは、実際には平安などどこにもないのに、すべてがうまくいくと保証する。こうして、わたしの国民のひどい傷に、効き目のない薬を塗っている。 12 偶像を拝むことを恥じるどころか、顔を赤らめることさえ知らない。その報いで彼らは死に、倒れた者の間に転がる。 13 いちじくとぶどうは姿を消し、くだものの木は枯れ、わたしが与えたすべての良いものは、すぐになくなる。 14 その時、人々はこう言うだろう。 「ここでじっと死を待つ法はない。 さあ、城壁のある町へ行って、そこで死のう。 神様は、われわれを滅ぼすことに決め、われわれの罪と引き替えに、毒薬を盛った杯を下さったのだ。 15 平和を期待したが、平和はこなかった。 健康の回復を待ち望んだが、あるのはただ恐怖だけだ。」 16 戦争の音が北の国境から聞こえる。 全地は、恐ろしい軍隊が近づく音に震えおののく。 敵が来て、国中の町や住民を滅ぼし尽くすからだ。…

エレミヤ書 9

1 ああ、私の目が涙の泉であったら、殺された同胞のために、昼となく夜となく、永久にすすり泣くものを! 2 ああ、どこか遠くへ行って何もかも忘れ、砂漠の掘っ立て小屋に住めたら、どんなに気が楽か! 彼らはみな姦淫の罪を犯し、裏切り者になり下がってしまった。 3 「彼らは舌を弓のように曲げ、不真実という矢を射る。 正しいことには縁もゆかりもない者で、悪から悪へと進み、わたしのことなどいっこう心に留めない」と、神様は言います。 4 隣人や兄弟に気をつけなさい。 だれもかれも互いにつけこもうとし、まことしやかに嘘を並べ立てるからです。 5 彼らは、よく訓練された舌で、互いにだまし合い、罪を犯し続けて、自分をすり減らします。 6 「彼らは悪に悪を、偽りに偽りを積み重ね、絶対にわたしのところへ来ようとしない」と、神様は言います。 7 そのため、天の軍勢の主は、さらにこうつけ加えます。 「わたしは彼らを悩みの炉に入れてとかす。 彼らを精錬し、金属のように試す。 これ以外にどんなことができよう。 8 彼らの舌は毒矢のような嘘を射る。 口先ではおじょうずを言うが、心の中では相手を殺そうとたくらむ。 9 この事実に目をつぶり、罰しないで放っておけるだろうか。 このような国に復讐しないでおれようか。」 10 私は泣きながら、山や牧場を指さします。 なんということでしょう。 そこには住む者もなく、すっかり荒れ果てているのです。 家畜の鳴き声は絶え、鳥や獣も姿を消しました。 11 「わたしはエルサレムを、瓦礫の山にする。 そこを住みかとするのは山犬だけだ。 ユダの町々は、だれひとり住む者もない廃墟になる。」 12 このことを悟る知恵者は、どこにいますか。 このことを説明してくれる神様の使者は、どこにいますか。 どうしてこの国は荒れ地となり、通行人さえいなくなったのですか。 13 「それは、わたしの国民がわたしの戒めを捨て、おきてに従わなかったからだ。 14 それどころか、好き勝手なことばかりして、先祖が伝えたバアルの偶像を拝んだ。 15 そこで、イスラエルの神であるわたしは言う。 彼らに苦い物を食べさせ、毒を飲ませる。…

エレミヤ書 10

1 イスラエルよ、神様のことばを聞きなさい。 2-3 天宮図を作って、星占いで、自分の運命や将来を読もうとする者のまねをしてはいけない。 彼らの予言を聞いておびえてはいけない。そんなものは、うその詰め合わせにすぎない。 彼らの生き方はむなしく、ばかげている。 彼らは木を切り倒して偶像を刻み、 4 それを金と銀で飾り、金槌と釘で動かないように打ちつける。 5 畑のかかしのように立っている神は、ものも言えない。 歩けないから、だれかが運んでやらなければならない。 そんな神は、人に災いを下すことも助けることもできず、わずかの利益を与えることもできないのだから、少しもこわがることはない。 6 神様。 あなたのような神はほかにいません。 神様は偉大な方で、御名には力があふれています。 7 神様だけが、国々の王と呼ばれるのにふさわしい方です。 神様を恐れない者がいるでしょうか。地上の知恵者の中にも、世界の王国の中にも、神様と並ぶ者は一人もいません。 8 どんなに知恵があろうとも、偶像を拝む者はみな、まぬけで、とんまです。 9 彼らはタルシシュから銀の延べ板を、ウファズからは金を運んで来て、偶像を作る熟練した細工人に渡します。 それから、でき上がった神々に、仕立ての名人の作った、王の着る紫の衣を着せます。 10 しかし、主はただ一人のまことの神、生ける神、また永遠の王です。 ひとたび主が怒れば、全地は震えます。 このお方の不興を買えば、世界は御前を離れて隠れます。 11 ほかの神々を拝む者に言ってやりなさい。 天と地を造ったのでもない神々は、地上から姿を消す運命にあります。 12 しかし私たちの神様は、ご自分の力と知恵によって世界を造り、すぐれた知性によって星を空間にちりばめ、天を張り広げました。 13 嵐を運ぶ雲から聞こえる雷鳴は、御声の響きです。 神様は地からもやを立ちのぼらせ、いなずまを送り、雨を降らせ、倉から風を呼び出します。 14 神様を知らず、偶像に頭を下げる者は、義理にも利口とは言えません。 むしろ恥ずかしいことをしています。 いのちも力もない、いんちきな神々を作っているからです。 15 そんなものはみな、まるで値打のない、ばかげたものです。 刑罰の下る時には粉々にこわされます。 16 しかしイスラエルの神様は、こんなくだらない偶像とは違います。 神様はあらゆるものを造ったお方であり、しかもイスラエルは神様に選ばれた国なのです。 天の軍勢の主というのが、そのお名前です。…

エレミヤ書 11

1-3 神様はまた、エレミヤにお語りになりました。 ユダの国民と、エルサレムの全住民に、わたしが彼らの先祖と契約を結んだことを思い出させよ。 その契約を守らない者はのろわれる。 4 わたしは、エジプトの奴隷だった彼らを助け出した時、わたしの言いつけを守りさえすれば、彼らも子孫も共々にわたしの国民となり、わたしは彼らの神となると言った。 5 だからわたしに従え。そうすれば、誓いどおり、すばらしいことをしてやろう。 今日あるとおり、「乳と蜜の流れる地」を与えたいのだ。 これを聞いて、私は「神様、ぜひ、そうしてください」と答えました。 6 すると、神様は命じました。 以上のことをエルサレムの町中で、大声で伝えよ。 国中の町々を巡って、「ご先祖が神様と結んだ契約を思い出し、約束どおりに行なえ」と言え。 7 わたしは、おまえたちの先祖をエジプトから助け出した時から今日まで、口がすっぱくなるほど、「わたしのすべての命令に従え」と言い続けてきた。 8 だがおまえたちの先祖は、従うどころか聞こうとさえせず、頑として、好き勝手に振る舞った。 彼らが従うことを拒否したので、わたしは契約の中にある災いをみな下した。 9 神様はまた、私にお語りになりました。 わたしは、ユダとエルサレムの住民の間に、わたしに対する陰謀のあることを知った。 10 彼らは先祖の道にあと戻りし、わたしの命令をやぶり、偶像を拝んだ。わたしが彼らの先祖と結んだ契約を破棄したのだ。 11 だから、彼らに災いを下す。 それから逃げることはできない。 あわれみを叫び求めても、わたしは耳を貸さない。 12 そこで彼らは、偶像の前で香をたいて祈る。 だが、そんなことをしても、悩みと絶望からは救われない。 13 ああ、わたしの国民よ。 おまえたちの神々は掃いて捨てるほどあり、バアルに香をたく恥の祭壇は、エルサレムのどの通りにもある。 14 だからエレミヤよ、もう、この国民のために祈ってはならない。彼らのために、泣いたり嘆願したりしてはならない。 わたしは、彼らが最後の土壇場になって助けを求めてきても、耳をふさぐことに決めた。 15 わたしの国民は、どんな権利があって、わたしの宮に来るのか。 おまえたちは裏切り者で、ほかの神々を拝んできた。 おまえたちのいろいろな約束やいけにえが、今になって、滅びの運命をいのちと喜びに変えることができようか。 16 わたしはかつて、おまえたちを「おいしい実をたくさんつける、美しい緑のオリーブの木」と呼んだ。 ところが今度は、おまえたちを焼き焦がし、丸坊主にするために、敵という火を送り込んだ。 17…

エレミヤ書 12

1 神様。 これまでどんな問題を持ち出しても、神様はいつも正義をもって答えてくださいました。 今度は苦情を言う番です。 どうして、悪人がこんなに栄えているのですか。 どうして、心の曲がった者がこんなにも幸福なのですか。 2 神様が彼らを植えると、彼らは根を張り、その事業は発展します。 大きな利益をあげ、大金持ちになります。 彼らは、口では「神様ありがとうございます」と言いますが、心の中では舌を出しているのです。 3 ところで、神様は私の心をご存じです。 私がどんなに神様を慕っているか、ご存じです。それに、私は貧乏です。 神様、どうか彼らを、哀れな羊のように、屠殺場に引いて行ってください。 ああ神様、彼らをさばいてください。 4 いつまで、神様のものであるこの地は、彼らのなすままになるのですか。 野の草でさえ、彼らの悪事のためにうめき、泣いています。野獣や鳥は姿を消し、地は荒れ果てました。 それでもなお人々は、「神様がわれわれをさばくはずがない。 われわれは全く安全だ」と言います。 5 神様は私に、こう答えました。 もしおまえが、このアナトテの住民のような、ただの人間と競走して息を切らせるとしたら、どうして、馬や王、その家来、悪い祭司を相手に競争できるだろうか。 平地でつまずき、倒れるとしたら、ヨルダンの密林では、どうなるのか。 6 兄弟や家族の者さえ、おまえに背いたのだ。 彼らは、暴徒を呼んでおまえにリンチを加えようとした。 だから、彼らがどんなに愛想よく話しかけても、信じてはならない。 7 神様は、続けて言いました。 わたしは、わたしの相続財産である国民を見限った。 いちばん愛している者たちを、敵の手に渡した。 8 わたしの国民は、密林のライオンのように、わたしに向かってうなり声をあげた。 そのため、わたしは彼らを、毛ぎらいしている者のように扱った。 9 わたしの国民は倒れた。 わたしは、はげたかと野獣の群れに、その死体の肉を食べさせる。 10 多くの外国の支配者が来て、私のぶどう園を荒らし、ぶどうの木を踏みにじり、美しい地所を草木の生えない荒野にしました。 11 彼らはそこを荒れ地としました。 それが痛々しそうに泣いている声が、聞こえます。 全地は荒れ果てているのに、だれひとり心に留めようとしません。 12 あらゆるものを破壊する軍隊が、全地を荒らします。神様の剣が国の端から端まで暴れ回るので、だれも逃げることができません。 13 小麦をまいても、刈り取るのはいばらです。 どんなに汗水流して働いても、少しの足しにもなりません。 ただ恥を刈り取るだけです。 激しい神様の怒りが注がれるからです。 14 今度は、ご自分の国民イスラエルに与えた地を包囲する悪い国々への宣告です。 わたしはおまえたちを、ユダにしたと同じように、おまえたちの国から引き抜く。 15 だが、あとになって同情を寄せ、おまえたちの相続地である国へ連れ戻す。…

エレミヤ書 13

1 神様は私に、こう命じました。 行って、リンネルの帯を買い、それを締めよ。 ただし、水で洗ってはいけない。 2 私はさっそく帯を買って、それを締めました。 3 すると、またお告げがありました。 4 その帯を取り、ユーフラテス川に持って行き、岩の割れ目に隠せ。 5 私は言われたとおりにしました。 6 かなりしてから、また命令がありました。 もう一度でかけ、あの帯を取り出せ。 7 私はすぐさま出かけ、隠しておいた岩の割れ目から帯を取り出しました。 ところが、かびが生えて、ぼろぼろになり、とても使いものになりません。 8-9 すると、神様がきっぱり言いました。 わたしはこのように、ユダとエルサレムの誇りを腐らせる。 10 この悪い国民は、わたしのことばを聞こうともせず、悪い願望のままに生活して偶像を拝んでいる。だから、この帯のように全く役に立たなくなる。 11 帯を腰に巻きつけるように、わたしはユダとイスラエルをわたしに結びつけた。 彼らはわたしの名の栄光を現わすための、わたしの国民である。 ところが、彼らはわたしから離れて行った。 12 彼らに告げよ。 おまえたちのつぼには、ぶどう酒がいっぱい詰まっている。 これを聞いて、彼らは答えるだろう。 そんなことぐらい、わかっているさ。 われわれがどんなに富んでいるかを、別に教えてもらう必要はない。 13 そこで、こう言ってやれ。 おまえたちの性根は腐っている。 わたしは、ダビデの王座につく王、祭司、預言者、それに全国民を途方にくれさせる。 14 父と息子をいがみ合わせる。 少しもあわれみをかけず、徹底的に滅ぼす。 15 そんなに思い上がり、強情を張るものではありません。 神様がお語りになったのだから、素直に聞きなさい。 16 視界ゼロの暗やみを送り込まれる前に、手遅れにならないうちに、神様に栄光をお返ししなさい。 その時になれば、あなたがたは暗い山につまずき、倒れます。 その時には、光を捜し求めても、あるものは身の毛のよだつ暗やみだけです。…

エレミヤ書 14

1 神様は日照りについて、次のようにエレミヤに説明なさいました。 2 ユダは嘆き悲しむ。 いっさいの仕事の手を止め、だれもかれも地にひれ伏す。 エルサレムから大きな叫び声があがる。 3 貴族たちは召使に井戸の水をくませようとするが、井戸は干上がっている。しかたなく召使は手ぶらで帰り、悲しみながら頭をかかえこむ。 4 水不足で地面はからからに乾き、あちこちに地割れができる。 農夫はおびえきる。 5 どこにも草がなく、鹿は子供を置き去りにする。 6 野ろばは裸の丘に立ち、のどの渇いた山犬のように肩で息をする。目を大きく見開いて草を捜し求めるが、一本の草も見つからない。 7 ああ神様。 私たちはひどい罪を犯しました。 ですが、神様ご自身の評判のために、私たちを助けてください。 8 イスラエルの望みであるお方、困った時に助けてくださる神様。 どうして、一夜の宿を求める旅人のように、この国をあわただしく通り過ぎて行かれるのですか。 9 とまどっておられるのですか。 力がないので、救ってくださることができないのですか。 神様は私たちの真ん中におられます。 だれもが知るとおり、私たちは神様の名をいただいた国民です。 どうぞ私たちを見捨てないでください。 10 ところが神様は、こうお答えになりました。 おまえたちはわたしを離れてさすらうのを得意とし、わたしの道を歩こうとしなかった。今さら、わたしの国民として受け入れることはできない。 わたしは今、おまえたちのしたいっさいの悪を思い出し、おまえたちの罪を罰する。 11 神様はまた、私に命じました。 これ以上、この国民を祝福してくれと願ってはならない。 二度と彼らのために祈ってはならない。 12 彼らが断食しても、見て見ぬふりをする。 供え物やいけにえをささげても、受けつけない。 わたしのお返しは戦争とききんと病気だ。 13 そこで、私は申し上げました。 神様。 彼らの預言者は、戦争もききんもなく、平穏無事だと告げています。 神様はまちがいなく平和をもたらし、祝福してくださると伝えています。 14 神様はお答えになりました。 預言者どもは、わたしの名をかたって嘘をついている。 わたしは彼らを送り出しもせず、何か話すようにと命じもしなかった。 彼らは、見たことも聞いたこともない幻と啓示について預言している。 口から出まかせに、まやかし事を話す。 15 わたしはこの預言者どもを罰する。 戦争もききんも起こらないと言うが、そう言う彼らが、戦争とききんで死ぬ。…

エレミヤ書 15

1 すると神様は、こう私にお語りになりました。 たといモーセとサムエルがわたしの前に立ち、この国民のために嘆願しても、わたしは彼らを助けない。 彼らのことなど放っておけ。 わたしの目の届かない所へ追っ払え。 2 もし彼らがおまえに、どこへ行ったらいいのかと尋ねたら、わたしがこう言ったと告げてやれ。 死に定められた者は死に、剣で殺される運命にある者は剣に、ききんに定められた者はききんに、捕虜になる者は捕虜に。 3 わたしは彼らのために、四種類の殺し屋を決めておく。 切り殺す剣、食いちぎる犬、残ったものをきれいに平らげるはげたかと野獣だ。 4 ユダの王、ヒゼキヤの子マナセがエルサレムでなした悪事のために、おまえたちを厳しく罰する。 おまえたちの身に起こることは、世界中の人々に、鳥肌が立つほどの恐怖を与える。 5 エルサレムよ。 だれが、おまえのために心を痛めて泣くだろうか。 だれが、おまえの安否を尋ねるだろうか。 6 おまえはわたしを捨て、わたしに背いた。 だからわたしは、おまえを打ちすえようと、こぶしを振り上げる。 おまえに立ち直る機会を与えるのには、もう疲れた。 7 おまえを町の門でふるいにかけ、おまえが大切にしているものをみな奪い取る。 わたしの国民は悪の道を振り切ってわたしに立ち返ろうとしないので、彼らを滅ぼす。 8 未亡人の数はかぞえきれなくなる。 わたしは真昼に若い男を死に渡し、母親を嘆かせる。 彼らに突然、苦痛と恐怖を与える。 9 七人の子をもつ母親は、息子がみな死ぬので半狂乱になる。 まだ昼だというのに、目の前は真っ暗だ。 子供がみな殺されるので、子供がない女となり果て恥をかく。 10 その時、エレミヤはこう言いました。 「お母さん、なんてことでしょう。 こんな悲しい思いをするくらいなら、生まれてすぐ死んでいたらよかったのに。 どこへ行っても、私は憎まれ者です。 やかましく返済を迫ったことも、人から借りた物を返さなかったこともないのに、だれもかれも私をのろいます。 11 彼らがのろうままにしておこう。 神様。 あなたは、敵対する彼らのために私がどんなにとりなし、どんなにその助命を嘆願したかをご存じです。」 12-13 北の国の鉄や青銅のかんぬきは、どのようにしてもこわれない。同じように、この国民の強情な心も、砕くことはできない。 わたしへの罪のために、おまえたちの富と財宝を戦利品として敵に与える。 14 敵がおまえたちを捕虜とし、おまえたちの知らない国へ連れて行くにまかせる。 わたしの怒りは火のように燃え上がり、おまえたちを焼き尽くす。 15 これに答えて、エレミヤが言いました。 「神様。 私がこんなに苦しんでいるのは、神様のためであることをご存じですね。 神様のおことばを伝えたので、人々は私を迫害します。 どうか、彼らの手にかかって殺されるようなことがありませんように。 私を彼らの強い力から救い出し、彼らにふさわしい罰を加えてください。 16 神様のおことばは、私をしっかり支えます。 それは、ひもじい私のたましいにとっての食べ物です。 私の重い心に喜びをもたらし、有頂天にさせてくれます。 神様。 私は、神様の預言者にされたことを誇りに思います。…

エレミヤ書 16

1 別の機会に、神様はこうもお語りになりました。 2 おまえは妻をめとり、この地で子供をもうけてはならない。 3 この町で生まれる子供も、その両親も、 4 恐ろしい病気にかかって死ぬからだ。 彼らのために嘆いたり、埋葬してくれる者は、一人もいない。 死体は地面に放り出されたままで腐り、地の肥やしになる。彼らは戦争やききんで死に、死体は、はげたかや野獣につつかれ、引き裂かれる。 5 彼らのために嘆いたり、泣いたりするな。 わたしは彼らを保護するのをやめ、平安を取り上げたばかりか、恵みとあわれみをかけることさえやめたからだ。 6 国民は身分の高い者も低い者も、死んでも埋葬してもらえず、悲しんでもらえない。 友人でさえ、髪を刈ったり、頭をそったりして悲しみの気持ちを表わそうとしない。 7 だれ一人、悲しむ者に食事を出して慰めず、相手の両親の死を悼むしるしに一杯のぶどう酒を与えようともしない。 8 こんな悲惨なことが待っているのだから、そのしるしとして、宴会やパーティーに二度と顔を出してはならない。 彼らと食事を共にすることも許されない。 9 イスラエルの神、天の軍勢の主であるわたしが、こう言うのだ。 おまえの生きている間に、しかもおまえの見ている前で、わたしはこの国から笑い声を絶やす。 楽しい歌声、結婚の披露宴、それに花婿と花嫁の歌声はとだえる。 10 これらのことを包み隠さずに話すと、彼らはこう聞き返すだろう。「どうして神様は、こんなに恐ろしいことをなさるのか。 こんなひどい目に会わせられる覚えはない。 いったい私たちが神様に、どんな罪を犯したというのか。」 11 そうしたら、わたしの返事を知らせてやれ。 おまえたちの先祖がわたしを捨てたから、こんなことになったのだ。 彼らはほかの神々を拝み、それに仕えた。 わたしのおきてを守らなかった。 12 そればかりか、おまえたちも、先祖より悪いことをしてきたではないか。 自分たちの心のままに悪の道へ走り、わたしの言うことを聞こうとさえしなかった。 13 だから、おまえたちをこの国の外に放り出し、だれも知らない異国の地に追い払う。そこで、好きなだけ偶像を拝むがいい。 ただし、わたしは少しも恵みを与えない。 14-15 しかし、栄光に輝く日がくると、神様は宣言なさいます。 その時の話題の中心は、神様がご自分の国民を、みせしめのために奴隷として追いやった北の国々から、連れ戻すということです。 その時、おまえたちはもはや、わたしがおまえたちをエジプトから連れ戻した時のことを、なつかしそうに振り返らなくなる。 あの時の大きな奇蹟でさえ、ほとんど話の種にならなくなる。 わたしがおまえたちを、先祖に与えたこの地に連れ帰るからだ。 そう神様は断言なさいます。 16 わたしは大ぜいの漁師をやり、わたしの憤りから逃げて深い所に隠れているおまえたちを、網で引き上げる。 狩人をやって、森の中の鹿や、近づくことのできない断崖の上に立つ野やぎを狩り出すように、おまえたちを低地へ追い立てる。 わたしのさばきをのがれて逃げ出しても、必ず見つけ出して罰する。…

エレミヤ書 17

1 鉄のペンかダイヤモンドの先端で、石の心と祭壇の端に、悪いおきてが刻み込まれているかのように、わたしの国民は吸い寄せられるようにして罪を犯す。 2-3 若者でさえ罪を犯すことだけは忘れず、木々の下で偶像を拝み、高い山でも平地でも偶像に仕えている。 だから、おまえたちの全財産を、罪に見合う代価として、敵に渡す。 4 こうして、わたしがおまえたちのために取っておいたすばらしい相続財産は、おまえたちの指の間からすべり落ちる。 わたしはまた、おまえたちを奴隷として、遠くの敵国へ売り渡す。 それというのも、おまえたちが、いったん燃えたら永久に消えないわたしの憤りに、火をつけたからだ。 5 神様はこう告げます。 死んでいく人間を頼りとし、心が神から離れる者は、のろわれる。 6 そのような者には、砂漠のずんぐりした灌木のように、将来の希望など少しもない。 古き良き時代から永久に見放された彼は、草木も生えない、塩分の多い荒野に住む。 7 だがわたしを頼りとし、わたしを望みとする者は、祝福される。 8 彼は川の土手に沿って植えられた木のように、深く張った根で川から直接水分を吸収するので、暑さにもしおれず、長いかんばつでも弱らない。 葉はいつも青々と茂り、みずみずしくおいしい実をつける。 9 人の心は何ものよりも欺きやすく、芯まで腐っている。 それがどんなに悪質なものであるかは、だれにもわからない。 10 ただわたしだけが人の心を知っていて、すみずみまで探り、いちばん奥に隠された動機まで調べ上げる。 そして、一人一人にそれぞれの生き方に応じた報いを与える。 11 自分でかえさなかったひな鳥を抱く鳥は、やがて、そのひなに逃げられる。 不正な手段で富を手に入れる者も同じだ。 遅かれ早かれ富を失い、結局は哀れなおいぼれになる。 12 私たちの逃げ場は、永遠の栄光に輝く、高くあげられた神様の御座です。 13 イスラエルの望みである神様。 神様に背く者はみな、面目を失い、恥をかきます。 そのような者の名は、地上の名簿には載っていますが、天の名簿には載りません。 いのちの泉である神様を見捨てたからです。 14 神様。 私を健康にし、救ってくださるのは、神様だけです。 ですから、ただ神様だけをほめたたえます。 15 人々は私をあざけります。 「おまえがしきりに口にしていた神様のことばとやらは、いったいどうなったんだい。 おまえの言っていた脅しが、ほんとうに神様から出たのなら、どうしてそのとおりにならないんだい。」 16 神様。 私は人々が恐ろしい災難の下敷きになるのを見たくありません。 そのような計画は神様が立てたので、私が立てたのではありません。 私が彼らに伝えたのは、神様のおことばであって、私のことばではありません。 彼らが滅びるのを見るに忍びません。…