エゼキエル書 1

1-3 ブジの息子エゼキエルは祭司でしたが、バビロンに連れて来られた捕囚のユダヤ人の一人として、ケバル川のほとりに住んでいました。 六月も終わろうとするある日、突然、天が開いて、私は神様からの幻を見たのです。 その時、私は三十歳になっていました。 4 その幻の中で、北の方から、燃える火のような巨大な雲を前面に押し出しながら、激しい嵐が私を目がけて突進して来るではありませんか! 雲に包まれた火は絶えず閃光を発し、火の中には、みがき上げた真鍮のように輝くものがありました。 5 すると、その雲の真ん中から、人間のように見える奇妙な姿をした四つのものが現われました。 6 その四つのものは、それぞれ四つの顔と二対の翼をもっているのです。 7 足は人間の足のようですが、先が子牛のひづめのように分かれていて、みがいた真鍮のように輝いているのです。 8 また、それぞれ翼の下から人間の手が出ているのが見えました。 9 この四つの生きものは翼を連ねて、曲がらずにまっすぐ飛んで来ました。 10 それぞれ正面は人の顔、右側はライオンの顔、左側は牛の顔、背面はわしの顔をしていました。 11 二対の翼は背中の中央から広げられ、一対は両側の生きものの翼に連なり、他の一対は体をおおっていました。 12 そして、彼らの霊が行く所はどこへでも、曲がることなく、まっすぐに進んで行きました。 13 これらの生きものの間を、赤く燃える炭火のように、明るいたいまつのように輝く別の生きものが行きつ戻りつしていました。 それらの生きものから、いなずまが出ていました。 14 生きものは、いなずまのひらめきのように速く、あちこちへと突き進んでいました。 15 私がこの光景に見入っていると、四つの生きものの下に、地上でそれらを支えるように、四つの輪があるのが見えました。 それぞれの生きものに一つの輪がついているのです。 16 輪はまるで、みがき上げた琥珀でできているように見え、輪の中にもう一つの輪が交叉するようにはめ込まれていました。 17…

エゼキエル書 2

1 その方は私に、「ちりの子〔「死んでちりに帰る人間」の意。 この書に特有の表現〕よ、立て。 わたしはおまえに語ろう」と言いました。 2 その方が語ると、御霊が私の中に入り、私を立たせました。 3 「ちりの子よ、おまえをイスラエルの国、すなわち、わたしに反逆している国に遣わす。 彼らも、彼らの先祖も、この時まで、わたしに罪を犯し続けてきた。 4 彼らは恐ろしく強情で頑固者だ。 それでも、わたしは、神であるわたしのことばを伝えるために、あなたを遣わす。 5 だが忘れるな。 彼らは反逆者なのだ。 しかし彼らが聞こうが、聞くまいが、少なくとも、彼らの間に預言者がいたことだけは知るだろう。 6 ちりの子よ、彼らを恐れるな。 どんなに彼らの脅しがきいて、とげとげしく、さそりのように突き刺しても、びくともするな。 険悪な顔つきをされても、たじろぐな。 彼らは反逆者なのだ。 7 彼らが聞こうが、聞くまいが、おまえはわたしの言うことを語れ。 もっとも彼らは骨の髄まで反逆者だから、聞きはしまいが……。 8 ちりの子よ、わたしが語ることを聞け。 おまえが反逆者になってはいかん! 口を大きく開けて、わたしが与えるものを食べるがいい。」 9-10 そこで私が見ていると、両面に字が書いてある巻物を持つ手が、目の前に差し出されたのです。 その方は巻物を広げましたが、そこには警告や、悲嘆や、審判の宣告などが、びっしり書き込んでありました。

エゼキエル書 3

1 その方は命じました。 「ちりの子よ、わたしが与えるものを食べよ。 さあ、この巻物を食べるのだ! それから出て行き、そのことばをイスラエル国民に告げよ。」 2 私は巻物を手に取りました。 3 「それを残らず食べよ」と、その方は言います。 食べてみると、なんと蜜のように甘い味がするではありませんか。 4 命令はさらに続きます。 「ちりの子よ。 おまえをイスラエルの人々に遣わす。 わたしのことばを携えて行け。 5 ことばが通じない遠い外国へ遣わすのではない。 6 とにかく、難しい外国語を話す部族に遣わすのではない。 だが、もしそうしたなら、彼らは耳を傾けるだろう! 7 わたしが遣わすのは、イスラエル人のところだ。彼らはわたしの言うことを聞こうとしないのだから、あなたの言うことも聞こうとはしない! 彼らの面の皮は厚く、ずうずうしく、頑固なのだ。 8 ところで、わたしもまた、おまえを、まるで彼らと同じように、面の皮の厚い頑固者にした。 9 おまえの額を岩よりも堅くした。 だから、彼らがどんなにしぶとい反逆者でも、恐れるな。 どんなにいやな顔、おこった顔をされても、たじろぐな。」 10 その方は続けて言いました。 「ちりの子よ、まず、わたしのことばを余すところなく心の奥底に収め、注意深くそれに聞き従いなさい。 11 それから、捕囚とされた同胞のところへ行き、彼らが聞こうが、聞くまいが、『神様はこう言う』と告げるがいい。」 12 すると、御霊が私を持ち上げました。 大きな地震の響きを伴って、神様の栄光が移り始めました。 13 その響きは、生きものたちの翼が互いに触れ合う音であり、輪がきしむ音でした。 14-15 御霊は私を持ち上げると、ケバル川のほとりにある、別のユダヤ人居留地テル・アビブに連れて行きました。 私は憤り、苦々しい思いで行きましたが、神様の御手が強く私の上に置かれていました。 七日間というもの、私はただ呆然と、彼らの中に座っていました。 16 七日目の終わりに、神様はこうお語りになりました。…

エゼキエル書 4

1 さて、ちりの子よ、大きなれんがを一枚、前に置き、その上にエルサレムの町の地図を描け。 2 この町を包囲し、攻撃するために築かれるとりで、その回りの敵軍の陣営、さらに城壁を取り囲む破城槌(城壁破壊用の武器)を描け。 3 また、おまえと町との間に、鉄の壁のように一枚の鉄板を立てよ。 こうして、敵軍がどのようにエルサレムを攻略するかを、実証して見せるのだ。 わたしが命じた一つ一つのことには、それぞれ特別の意味がある。 というのは、それはイスラエルの民に対する警告だからだ。 4-5 さあ、捕囚と破滅によって三百九十年間、イスラエルが罰せられることを示すために、三百九十日間、左わきを下にして横になれ。その一日は、イスラエルにやがて訪れる一年間の刑罰を表わしている。 6 次に、向きを変え、ユダに対する刑罰の期間を示すために、四十日間、右わきを下にして横になれ。 やはり一日が一年の勘定だ。 7 とにかく、エルサレムの包囲の様子を実演して見せるのだ。〔その包囲と攻撃がどんなに強烈なものかを教えるために〕、腕をまくって横になれ。 これはエルサレム滅亡の預言だ。 8 わたしがおまえの体を麻痺させるので、包囲の全期間が終わるまで、寝返りもできない。 9 初めの三百九十日間は、小麦、大麦、そら豆、レンズ豆、あわ、裸麦の粉をつぼに入れて混ぜ合わせ、その粉でパンを作って食べよ。 10 一日に一食、一回二百三十グラムずつに分けて食べよ。 11 そして、水は一日に一リットルだけ飲め。 それ以上飲んではならない。 12 毎日、たるから粉を取り出し、大麦のパン菓子を作れ。 みんなの見ている前で、かわいた人糞の火の上で焼いて、それを食べよ。 13 わたしの命令だ。 わたしが捕囚とする異国の地で、イスラエルは汚れたパンを食べるのだ!」 14 「おお神様。 私は人糞で身を汚さなければならないのでしょうか。 今まで、一度も身を汚したことがありません。 子供の時から今まで、病気で死んだり、傷ついたり、死んで見つかったりした獣を食べたことはありません。 また、おきてが禁じている種類の獣を食べたこともありません。」 15 「そうか。 それなら、人糞の代わりに牛の糞でもよい。」 16…

エゼキエル書 5

1 ちりの子よ、鋭い刃の剣を取り、床屋のかみそりのようにそれを使って、頭とひげをそれ。 また、その毛をはかりにかけて、三等分せよ。 2 その三分の一をエルサレムの地図の真ん中に置き、包囲の期間が終わったら、そこで燃やせ。 次の三分の一を、地図に描いた町の回りに広げ、ナイフでめった切りにせよ。 残りの三分の一は、風で吹き散らせ。 わたしは剣をもってわたしの国民を追いかけるからだ。 3 その毛を少し取っておき、衣のすそで包め。 4 そのうちから数本の毛を取り出し、火に投げ込め。 この残りの毛から出る火が、全イスラエルを焼き滅ぼすのだ。」 5-7 神様は言います。 「これはエルサレムに起こることを例証している。 エルサレムはわたしのおきてから離れ、周囲の国々よりも悪くなってしまったからだ。」 8 そこで、神様は言います。 「今、このわたしが、自らおまえを攻め、すべての国々が見守る中で罰する。 9 おまえが犯した恐ろしい罪のゆえに、今までにも下したことがなく、これからも下さないような重い刑罰を下す。 10 父親はわが子を食べ、息子も実の父親を食べるようになる。 幸いにして生き残った者も、世界中に散らされる。 11 おまえに約束する。 偶像や忌まわしいいけにえによってわたしの聖所を汚したからには、おまえを惜しんだり、あわれんだりしない。 12 おまえの三分の一はききんと伝染病で倒れ、他の三分の一は敵に殺される。 残りの三分の一は風に散らされるが、そのあとから敵の剣が追いかける。 13 こうして、わたしの怒りもようやくおさまる。 全イスラエルは、わたしが警告どおりに実行することを悟るであろう。 14 わたしは、周囲のすべての国々に、また、廃墟となったこの地を通り過ぎるすべての旅人に、おまえを見せしめとする。 15 おまえは全世界の笑い草となり、すべての人に対する恐ろしい見せしめとなる。 すべての人が、神が一つの国を激しく譴責し、その国全体に立ち向かう時、どのようなことが起こるかを見るからだ。 神であるわたしが、これを語っている。 16 わたしは恐ろしいききんの矢を雨と降らせて、おまえを滅ぼす。 ききんはますますひどくなり、一切れのパンも残らなくなる。 17 ききんばかりでなく、野獣がおまえとおまえの家族を襲って、かみ殺す。 伝染病と戦争が国中を闊歩し、敵の剣がおまえを虐殺する。 神であるわたしが、これを語っている。」

エゼキエル書 6

1 再び、神様からお告げが与えられました。 2 「ちりの子よ、イスラエルの山々に預言せよ。 3 ああ、イスラエルの山々よ、おまえたちに、また、川や谷に語られる神様のお告げを聞け。 わたしが、神であるこのわたしが、おまえたちの偶像を滅ぼすために戦争を起こすのだ。 4-7 町々はすべて打ち砕かれ、焼かれる。 偶像の祭壇は捨て去られる。 神々の像は粉々に砕かれ、その礼拝者たちの骨も祭壇の回りにまき散らされる。 その時、ようやくおまえたちは、わたしこそ神であることを知る。 8 だがわたしは、わたしの国民のうち少数の者を逃れさせ、世界の国々に散らそう。 9 そうすれば、国々に捕囚として連れて行かれる時、彼らはわたしを思い起こすだろう。 わたしが彼らの姦淫の心、偶像を愛する心を取り去り、ほかの神々を慕うみだらな目を見えなくするからだ。 その時になってやっと、彼らは自分が犯した悪のゆえに、自分自身をいとうようになる。 10 彼らは、わたしだけが神であり、わたしがこれらすべてのことが起こると語った時、決していい加減なことを言ったのでないと気づくだろう。」 11 神様はこうお語りになります。 「恐れおののきつつ両手をあげ、深く、激しい自責の念にかられ、頭を振って叫べ。 『ああ、なんという悪事をしでかしたことか!』と叫ぶがいい。 おまえたちは、戦争とききんと伝染病で滅びようとしているからだ。 12 捕囚の地にある者は伝染病で死に、イスラエルの国にいる者は戦争で倒れ、生き残っている者もききんと籠城で死ぬ。 こうして、わたしの憤りも、ついに出尽くしてしまう。 13 殺された者が、すべての丘や山の上にある偶像や祭壇の回りに、また、神々に香をたいた青い木や茂った樫の木の下に、散り散りに横たわる時、おまえたちは、わたしだけが神であることに気づく。 14 わたしはおまえたちを押しつぶし、南は荒野から北はリブラまで、町々を荒廃させる。 その時、わたしが主であることを知るだろう。」

エゼキエル書 7

1 続いて、神様からのお告げが私に与えられました。 2 「イスラエルに告げよ。 『おまえたちの見る所はみな、東も、西も、南も、北も、もう終わりだ。 おまえたちの国はもうおしまいだ。 3 わたしは、偶像を拝んだおまえたちに怒りをぶつける。 もう絶体絶命だ。 4 目をそむけたり、あわれんだりはしない。 とことんまで罰する。 そうすれば、わたしが神であることを、おまえたちも知るようになろう。』」 5-6 神様は言います。 「次から次へと災いを送って、おまえたちにとどめを刺そう。 終わりはすでに来ている。 終局の破滅が待っているだけだ。 7 ああ、イスラエルよ。 滅亡の日のきざしは現われ、時はきた。 患難の日は近い。 それは喜びの声をあげる日ではなく、苦しみもだえて叫ぶ日だ! 8-9 やがて、わたしは憤りをぶちまけ、おまえたちの悪事のすべてを徹底的に罰しよう。 もはや、おまえたちを惜しまず、あわれまない。 これをしているのが、実に神であるわたしであることを、おまえたちは知るようになろう。 10-11 ついに、さばきの日がきた。 朝日がのぼってくる。 おまえたちの悪と高ぶりは頂点に達し、行き着くところまで行ったからだ。 富におごり、誇りに酔いしれた悪者は、一人も生き長らえない。 おまえたちの高慢の鼻は完全にへし折られ、おまえたちの運命を嘆く者もいなくなる。 12 さあ、その時がきた。 その日が近づいた。 神の怒りがその地に臨むので、買う物もなく、売る物もなくなる。 13 神がイスラエル国民全体にさばきを宣言したので、たとい商人が生き長らえても、商売はできなくなる。 すべての人が滅ぼされる。 罪に満ちた生活をしている者は、だれも立ち直れない。 14 イスラエル軍に、『進め!』とラッパを吹き鳴らしても、だれも聞こうとしない。 わたしの怒りがすべての者に臨むからだ。 15 城壁の外に出れば、敵がおまえたちを殺そうと待ちかまえている。 城壁の内側にとどまれば、ききんと伝染病で滅ぼし尽くされる。 16 運よく逃れた者も、山々にひそむ鳩のように、その寂しさを嘆き悲しみ、自分の罪のために泣き悲しむ。 17 手も弱くなり、ひざもがくがく震えるようになる。 18 おまえたちは荒布を着、恐怖と恥で包まれ、悲しみと自責の念にかられて頭をそる。…

エゼキエル書 8

1 それから、エホヤキン王の捕囚の六年目の八月末のこと、私が家でユダの長老たちと話していると、神様の力が私に臨みました。 2 私は人の姿のようなものを見たのです。 腰から下は火で、上は琥珀色に輝いていました。 3 その方が手の形をしたものを伸ばして私の髪の毛をつかむと、御霊が私を宙に持ち上げ、エルサレムの北の門の入口に連れて行ったのです。 そこに、神様の激しい怒りを引き起こした偶像がありました。 4 すると突然、前に谷間で見たのと同じ、イスラエルの神様の栄光が現われました。 5 その方は私に、「ちりの子よ、北の方を見よ」と命じました。見ると、祭壇の門の北にある入口に、なんと偶像が立っているではありませんか。 6 その方はさらに言いました。 「ちりの子よ、彼らのしていることが見えるか。 わたしを神殿から追い出すために、イスラエル国民がここで犯している大きな罪が見えるか。 さあ、もっと大きな罪を見せてやろう。」 7 こう言うと、その方は私を神殿の庭の入口に連れて行きました。そこの壁に穴がありました。 8 するとその方は、「さあ、壁を掘り抜け」と命じます。 そのとおりにすると、隠れた部屋に通じる入口があるではありませんか。 9 「入って行って、そこで行なわれている悪事を見よ。」 10 入って、びっくりしました。 あらゆる種類の蛇やとかげ、ぞっとするような獣の絵が、イスラエル国民が礼拝する各種の偶像とともに、壁一面に描かれているのです。 11 そこに、イスラエルの七十人の長老が、シャファンの息子ヤアザヌヤとともに立ち、それらの絵を拝んでいます。 長老たちはそれぞれ香をたく香炉を持っており、一同の頭上には、香の濃い煙が雲のように立ちこめていました。 12 「ちりの子よ、イスラエルの長老たちが自分から進んでしていることを、よく見たか。 彼らは、『神様は見ておられない。 神様は去って行った』とうそぶいている。 13 さあ、もっと大きな罪を見せよう。」 14 その方は私を、神殿の北の門に連れて行きました。 そこには婦人たちが座って、異教の神タンムズのために泣いていたのです。 15 「見たか。 だが、もっと大きな悪事を見せよう。」…

エゼキエル書 9

1 それから、その方は大声で叫びました。 「わたしがこの町を与えた者たちを呼べ。 武器を持って攻めて来るようにと言え。」 2 六人の男が、この呼び声に答えて、おのおの剣を持って北側の上の門から現われました。 そのうちの一人はリンネルの衣を着、腰に筆入れをつけていました。 彼らはみな神殿に入り、青銅の祭壇のそばに立ちました。 3 その時、イスラエルの神様の栄光がケルビム(神の契約の箱を守る天使)から立ち上り、神殿の入口の上にとどまりました。 神様は筆入れを持った男を呼び寄せ、 4 「エルサレム中を行き巡り、この町で行なわれるすべての罪悪のために泣き悲しむ者の額に、しるしをつけよ」と命じました。 5 また、ほかの男たちにはこう言うのが、聞こえました。 「彼について町中を行き巡り、額にしるしがついていない者を、片っぱしから殺せ。 惜しんだり、あわれんだりするな。 6 老若男女を問わず、小さい子供も、残らず殺すのだ。 ただし、しるしのついている者には触れるな。 まず、この神殿から始めよ。」 そこで彼らは、七十人の長老たちから殺し始めました。 7 さらに神様は命じました。 「神殿を汚せ! おまえたちが殺す者たちの死体で庭を満たせ! さあ、行け!」 彼らは出て行って、命令どおりにしました。 8 その間、私はひとり残されました。 私は地にひれ伏し、思わずこう叫びました。 「ああ神様。 エルサレムに対する憤りのあまり、イスラエルに残された者たちを皆殺しになさるのでしょうか。」 9 「イスラエルとユダの罪は非常に大きく、国全体に虐殺と不正行為が満ちている。 彼らは、『神様は見ておられない。 神様は去って行った』と言っているのだ。 10 だから、わたしは彼らを惜しまず、あわれみもしない。 彼らがしたことに対して、十分なお返しをする。」 11 ちょうどその時、リンネルの衣を着て、筆入れを持った男が、戻って来て、「ご命令のとおりにいたしました」と報告しました。

エゼキエル書 10

1 突然、ケルビムの頭上の大空に、青く輝くサファイヤの王座が現われました。 2 神様はリンネルの衣を着た者に命じました。 「ケルビムの下で回っている輪の間に入り、真っ赤に燃える炭火を両手いっぱいに持ち、町の上にまき散らせ。」 私の見ている前で、彼はそのとおりにしました。 3 その男が入って行った時、ケルビムは神殿の南端に立っていて、栄光の雲が内庭いっぱいに広がっていました。 4 すると、神様の栄光がケルビムから立ちのぼり、神殿の入口に向かいました。 神殿は栄光の雲に包まれ、庭は神様の栄光で輝いています。 5 ケルビムの翼の音も、全能の神様の声のように、外庭にまではっきり聞こえます。 6 神様がリンネルの衣を着た男に、「ケルビムの間に入り、輪の間から燃える炭火を取りなさい」と命じた時、その人は入って行って、一つの輪のそばに立ちました。 7-8 ケルビムの一つが翼の下から手を伸ばして、燃えさかる火の中から炭火を取り出し、リンネルの衣を着た男の両手に盛りました。 彼はそれを受け取ると出て行きました。 9-13 四つのケルビムのそばにそれぞれ一つの輪があり、それが「車輪」と呼ばれているのを、私は聞きました。 第二の輪が交叉して第一の輪の中にはめ込まれており、その輪は黄緑の輝きを放ち、緑柱石のように光って見えました。 このような輪の構造から、ケルビムは四方八方どこへでも、まっすぐ進むことができました。 向きを変えなくても、ケルビムの顔の向く方向に進めるのです。 四つの輪はどれも、縁や輻まで全部、目でおおわれていました。 14 四つのケルビムはそれぞれ四つの顔があり、第一の顔は牛の顔、第二の顔は人間の顔、第三の顔はライオンの顔、第四の顔はわしの顔でした。 15-16 これらの生きものは、かつてケバル川のほとりで見たのと同じものでした。 ケルビムが飛び立つと、輪も同じように飛び立ちます。 ケルビムが飛んでいる間、輪もそばについています。 17 ケルビムが立ち止まると、輪も立ち止まります。 ケルビムの霊が輪の中にあったからです。 18 その時、神様の栄光が神殿の入口から移動して、ケルビムの上にとどまりました。 19 そのまま見ていると、ケルビムが輪とともに神殿の東の門に飛んで行き、イスラエルの神様の栄光がその上をおおったのです。 20 これらの生きものは、かつてケバル川のほとりで、イスラエルの神様の下にいるのを見たのと同じものでした。 同じケルビムであることはすぐわかります。 21…